- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061826144
感想・レビュー・書評
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再読(再再読?)
タナトスシリーズ、というか汀先生というか
文章のテンポが自分にはあっていて読み出すと止まらない。残り数ページになって次々と明らかになっていくこと。新たな展開。着地。
何回か読んだにもかかわらず、久々に読んで泣いてしまった。年齢を重ねて読むと、また違った切なさと面白さを感じる。
好みが分かれるのはわかっているけど、このシリーズ、好きだなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小さい頃、うちにもたくさんの水槽がありました。なんの魚がいたのかは覚えていません。全編通して生と死を考えさせられて少しキツかったけれど、視点がカナちゃんなのは読みやすかった。古代魚から歴史を感じるのはロマンチックですね。
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本格のぶち壊し、学園ミステリーときて今作は家族ミステリーであり恋愛ミステリーだったなあという印象。彼方さんいいキャラしてる。
あと高槻さんが早くもガンガン荒んできていて大変においしい一冊。
凄惨に派手に人死にが出ないかわりといってはなんだけれども精神的に抉られるような嫌な感じの話。誰も間違ってないのだけれども誰もが別々の方向を向いていて、それ故の悲劇というか凄惨劇。狭い世界のなかで殺意を抱いたり抱かなかったり間違ったり間違ってなかったり。正しいことがいつも人を救うとは限らないやつ。
文中にスナーク狩りの言葉がことあるごとに出てくるけれど、そんな感じに思惑が混沌としていた話だった。
でもこれも読後感は悪くない。寧ろ爽やかでほんの少し切ない余韻が残る感じがいい。
一途な恋心の果ては胸をうったし、人でなし達が集う館の最後は意外と穏やかで明るいとおもう。希望が見えるラストで、すごくよかった。 -
相変わらず、と言うべきなのか終盤におけるスイッチの切り替え方が凄まじいですね。読み手をどん底に叩き落します。これ、鬱の時に読んじゃ絶対駄目な1冊だと思います。「ノルウェイの森」の次くらいに。褒め言葉ですが。
前作までとは語り手が変わった上に、キャラの印象も少々異なるような気がします。シリーズ物の3冊目、という位置づけからするとちょっと微妙な部分もあるのですが、物語自体はとんでもなく面白いですし、痛々しい病み方だったと思います。
あ、でも「武装錬金」ネタはさすがにマニアックかと。読者がついて…来そうですねえ。 -
タナトスシリーズは蘊蓄とか濃いセリフによるカロリー過多みたいなそれだけでは成立しない脂身みたいなのが、最終的にエンディングにまで昇華されるのを見るのが好きだったんだけど、今回はそれが薄いように感じられた。あと、シリーズ唯一の良心であった高槻のご乱心には普通にびびってしまった。
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08/17/2014 読了。
高槻さんが錯乱してるよ…。
彼方が登場して、感情が入れやすいというか
視点をおきやすかったので、読みやすく感じました。
彼方がいいキャラしてるなぁ…。
皆、決して善人ではなくて、悪人でもなくて。
それぞれの思うところに沿って突き抜けてるから、
仕方ないのかもしれない。
美樹と彼方が付き合うエンドは見えないのですが、
彼方の想いが叶うのも想像できない。
皆、長生きするといいな。 -
THANATOSシリーズ二作目
3作読んで、この作品が一番好きかもしれない。
全員の歪んだ愛情。全員が犯罪者。けれど憎めない。最後の最後にはっとさせられる展開で、とてもおもしろかった。 -
あれ?普通に面白く…なってきた…ような…
キャラに慣れたからか、蘊蓄が控えめだったからか、視点が高槻では無かったからか…。
ミステリでは無いかなという感じなんだけれども。
はたして彼女はレギュラーとして生き残れるのか… -
ところどころ文章が難解だったけど、おもしろかったー!!
肺魚みたい。早速水族館に行ってみよう!!
作者の言葉があったけど、ハチクロではないよなー(笑) -
ちょっと読みにくかった……。ストーリを追うことはできたけれど、読むのにやらた時間がかかった。タナトスシリーズを読むのは初めてだったからだろうか。ただ、熱帯魚の薀蓄はおもしろい。
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どこがサワヤカラブストーリーなのか!
肺魚と奇蹟。アクアリストはロマンチストだ。 -
シリーズ3作目。カナさんが日給5万円で死神に魂を売るお話。
病死に自殺と、タナトスの本領としては、おとなしめの印象。
前半はほとんど美樹の出番なしだし、その分魚のうんちくも少なめ。後半は今まで唯一まともだと思ってた高槻さんまでがまさかのご乱心。
タナトスは破壊の衝動。誰の心にも潜んでる。何かきっかけがあれば、誰でも発動する可能性はあるってことか…。 -
タナトスシリーズ第3弾。
今作の語り手は、立花家の魚の世話をする美大生・浅岡彼方。
いつもより蘊蓄少なめだからか、わりと楽しめた。 -
まだ唯一、まとも、だと思っていた高槻さんがまさかのご乱心。
高槻さんは毒沼に足引っ張られてはまった感じだけど、
彼方は奥底にあった毒がじわじわ滲み出てきたようなぶっ壊れ方。
まともとかまともじゃないとかどうでもよくなるな。
美樹がどんどん人間臭くなってきて面白い、けど「一人殺したくらいでもう仲間になったつもりか」ってセリフには死神を垣間見て心臓キュッてなった。
湊さんが結構良いひと。良いひと?この人が一番人間らしいのかもしれない。 -
タナトス三作目。作者曰く、ハチクロを意識しているらしいが、わからなくもない…かもしれない。
一作目、二作目と時期的にまたがっている本作。途中までは美樹が出てこず、なんか小野不由美の「魔性の子」みたいな雰囲気。そして美樹がいないので例の小噺は少なめ。悲しい。
最後の方は急展開。高槻さん壊れてたのか。彼方もだけど。どうせならオチで空砲とかいらなかった気も。そして思い出したようにアネクが…。でも唯一タナトスに囚われなかった象徴か。
相変わらず漫画好きですね。次作も読みます。 -
悩み事もある、友達だっている、趣味だってある女子美大生が「だって私も人でなしなんだもの」と言い切るまでのめくるめく事件・魚・謎・魚・魚の薀蓄が中毒的に心地いいシリーズ三作目。
シリーズ通して暴かれるキャラ一人一人の多面的な性格の一端を覗き込むような野次馬じみた好奇心に負けて一気に読了。
四人の会話がどこか狂気的に優しくて好きです。 -
お魚とヱヴァが大好きなことがすごくよく伝わってきます。
前半のまったり感を過ぎ、後半の展開はかなりのスピードで迫ってきて飲み込まれます。
カナちゃんが自分を人でなしと言った時にはぐさっときました。
誰もがやるせなく壊れていくように見えるのですが。
それでも生きていくのが彼らの逞しさの表れかなと思います。 -
THANATOSシリーズで一番平和でぶっ飛んでると思う
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しばらくぶりに味わった、柔らかな鈍器で側頭部をゴォーンと飛ばされたような気持ち。
そんな作家がメフィスト賞から時折出現してくると思う(そろそろ出尽くしたんじゃないかと思っていても、いい意味で期待を裏切ってくれる)。
みっちり作り込まれている魚設定に、何らか人死にが絡まるミステリが軸ではあるのだけれど、謎解きミステリというより、散りばめられた理不尽に暴力的(と言えそう)な力技で結論を出されたり出されなかったり、全く綺麗に解決できていない。
ジタバタな物語にまくし立てられて一気に読まされてしまったような、煽られるドキドキ感が楽しかったです。
出版は第3弾だけれど、本書が応募作を加筆改題したものだそうです。