トキワ荘の青春: ぼくの漫画修行時代 (講談社文庫 い 43-1)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061837522

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  • これも古本屋で見つけた本。1986年第1刷発行。1998年第7刷発行。この98年に石ノ森章太郎は亡くなっている。まだ60歳だった。思えば、手塚治虫と同歳で、手塚の9年後に亡くなったのだ。2人は違う才能で一つの世界を創り上げて夭折した。そして石ノ森の死から、既に19年が経った。

    この本の最初の単行本は1981年、トキワ荘が取り壊される時に書かれたらしい。だから、石ノ森の書き方もまだまだマンガは輝き続けるという感じで書かれている。私は90年代の中頃に、一度トキワ荘があったところに行ったことがある。もちろん外観は全然違う。私は、うら寂しいような私鉄の駅から歩いてそこにたどり着いた。その時に、石ノ森たちの「青春」をほんの少し感じ取れた気がした。

    石ノ森の文章は巧くはない。あまりにも話がいったり来たりする。彼は常に映像で話を創るタイプなのだ。そして、文字よりもマンガでならば、その速いイメージの点滅をそのまま絵に出来る、稀有の才能も持っていた。しかし石ノ森のトキワ荘マンガを見ると、あまりにも台詞がなくて、説明不足だった。やはりこういうエッセイも必要だったのだろう。少なくとも藤子不二雄の「マンガ道」も参照しないと、トキワ荘とは何だったのか、全体像はわからないかもしれない。

    「転」の巻の、突然の長期外国旅行と最愛の姉の死をぐちゃぐちゃに書いた章は、おそらく石ノ森が一度は書いておきたかった「告白」なのだろう。私も初めて知った。石ノ森にとって姉の死は、やはり青春の転機だったのだろう。ただし終わりではない。なぜならば、「エピローグ」に書いているが、「マンガとは青春時代そのもの」だからだ。マンガは常に未完成。一つ生まれれば、直ぐにそれを破って新しいモノが生まれる。今はデジタルで描くのが当たり前になっている。やがてはアニメとマンガは融合して、どちらで呼ぶかわからなくなるだろう、となど、石ノ森が生きていた頃には想像できなかった世界が広がりつつある。

    この本も「マンガ道」もマンガ読者には基本文献である。この本の中で、「幸いにも映画化の計画は頓挫した」と書いているが、この文庫化の数年後に正に「トキワ荘の青春」という題名で、石ノ森を主人公にではなく寺田ヒロオを主人公に見事な作品が出来上がった。私は、それもマンガ読者は基本文献として観ておくべきだと思う。

    マンガは常に変わる、だからこそ、その始まりの世界を、マンガの読者は知っておくべきだとも思うのである。

    2017年3月10日読了

  • 大御所と呼ばれる漫画家たちの青春時代を綴ったもの。現在は雲の上の存在である人たちが、当時は貧乏生活だったり、若き故に悩んだりしているのが等身大で感じることができる。確かドラマ化もされた。

  • 2018/11/18購入
    2019/1/11読了

  • 石ノ森先生は神です!

  • 貧乏な中で創作意欲に掻き立てられながら暮らしていた漫画界の大御所たちの青春時代を綴った本。

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