氷海からの生還 (講談社文庫 な 30-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061846784

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  • 昭和60年(西暦1985年)4月20日正午に出港した沖合底引き漁船「第七十一日東丸」がオホーツク海で遭難し、16人中3人が厳寒の氷海を救命ボートで16日間漂流した末に、生還した奇跡の実話。
     突然の転覆時に、極寒の海で、救命ボートへ辿り着いたのは5人。内2人は漂流の過程で、ボートの中で、力尽きて亡くなっている。
     救命ボートの中には「生き抜くために」というサバイバル書があった。
    その中で「海水は絶対に飲んではならない。飲料水と混ぜて飲んでもならない。海水を飲むことは体をつくっている水分が失われ。大脳を刺激して、ますます水が欲しくなり、また海水を飲むという悪循環を起こす。この結果、体は衰弱し、意識はこんだくし、気が狂ってしまう。(ボタンをなめたりして)がまんしよう」とある。
     別件の話で、海水だって、一日八百ミリリットルから九百ミリリットルなら、5日間は飲んでも大丈夫だと、ボンバールというフランス人医師が云っている。
    これを証明しようとして、日本人冒険家の斎藤という人物が人間は海の水を飲んでも生きられるのかという実験で、一人で何度も漂流実験をした体験話が載っている。
     斎藤は、最初は3日間だけ船内食を食べ、飲料水は海水を飲んでみたが、酷い渇きを覚えることもなく、嘔吐や下痢も起こらなく、気も狂わなかったそうだ。

     漂流途中で3人は、ボートに用意してあった食料を食べ尽くしたあと、ボートの上にとまったカモメを捕まえて食べた。少し生臭かったが、飢餓状態の喉にはすんなり通ってしまった、とある。
     極限状態になれば、人間は何でも食べて生きようとする。氷塊の上にいるアザラシを食べたかったが、ボートの中からでは、どうにもならなかった、とある。
     「板子一枚下は地獄」と言われる海の上で、今日も仕事をしている漁師の人達を思うと、凄いなと思う。金槌の自分には、出来ない仕事だ。
     
     

  • 遭難したのはやっぱり寒いオホーツクの海
    救命ボートに乗れたのは5人だけ
    あとの11人はそんな暇もなく船と一緒に沈んでしまう
    助かった5人のうち2人は体力を消耗し次々と亡くなってしまう
    やっぱり寒い海は過酷だ
    わし震える
    16日間漂流しソ連に流れ着き奇跡的に助かるが話はそこで終わらない。
    亡くなった遺族の苦しみ
    生存者のその後の生活の困窮
    船会社の補償問題等生々しい話は続く
    昭和60年に起きた海難事故

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