- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061961111
作品紹介・あらすじ
蝸牛庵・幸田露伴との若き日の出会いから、その凄絶、荘厳な終焉の日までの"日常"の比類なき記録。該博な知識、不羈の精神、巨大な文学空間を展開する"文豪"露伴の、慈父のごとき姿をあざやかに捉える、小林勇のエッセイ文学の名著『蝸牛庵訪問記』。
感想・レビュー・書評
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1926年からその死まで、岩波書店の編集者として幸田露伴に親しく交流した著者が、露伴によって語られたことばを記している本です。
幸田文のエッセイでは、掃除のしかたをはじめ生活のなかの心がけについて教え諭す厳父のイメージが強い露伴ですが、著者との気の置けない会話のなかでは博識に裏づけられたユーモアを示しており、また、ときにわがままになったり気弱なところを見せたりと、思いがけない露伴の側面が記されています。
露伴の娘の文が、「墨子」を「牧師」とカン違いした若いころのエピソードも紹介されており、いまでは日本語の名手として名高い文も著者にかかれば形無しです。その一方で、露伴の死が近づいてくるなかで切迫した状況に置かれている文をはじめ周囲の人びとの心遣いなども、多少当事者から離れた視点から記されています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
247夜
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名作。年若い編集者(筆者)と幸田露伴との交流を描いている。
全体の流れや個々の文章には、少々不味い部分も垣間見えるのだけれど、そういった技術を凌駕して光るものがある。
是非、ラストまで読んで欲しい。
機会があれば映像化して欲しいんだけど、無理かね。
ちなみに小林勇は岩波書店社長。岩波新書の発行など、現在の岩波の体制を築いた。