一条の光・天井から降る哀しい音 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061961272

作品紹介・あらすじ

脳軟化症の妻は"私"を認識できない。-何度目かに「御主人ですよ」と言われたとき、「そうかもしれない」と低いが、はっきりした声でいった。50年余連れ添った老夫婦の終焉近い困窮の日常生活。その哀感極まり浄福感充ちる生命の闘いを簡明に描く所謂"命終三部作"ほか、読売文学賞受賞「一条の光」、平林賞「この世に招かれてきた客」など耕治人の清澄の頂点六篇。

感想・レビュー・書評

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  •  「天井から降る哀しい音」は本当に哀しい。どうやら、他人ごとではなくなってきた自分の暮らしを振り返ると、耕治人の境地のすさまじさが哀しく思い浮かぶ。
     それでも、彼は、書くことをやめなかった。それが小説を書くということなのだろうか?

  • インドカレー屋で読んで、隣の席がデイケアのグループ客で、介護されながらインドカレー食べて、おいしいおいしいって言うの聞いていたら、なんだかもうとても悲しい気持ちに。

  • 初読。文学に人生を賭した青年がいた。その腕前は確かであると評価された。しかし読者を獲得する喜びは得られず、大きな権威から理解されて一時代を築くことも叶わなかった。晩年の貧困は過酷であった。糟糠の妻は認知症のため「私」が夫であるかどうかもあやふやで、「私」もまた迫り来る死の気配を老いと病で知らされる。本書は死の香る人生の冬を、しめやかに描いた晩年の作品群だが、それらが内容の悲痛さ故に「闘病もの」として、かえって大衆的評価を受け、映画化もしたことは最早皮肉でしかない。

  •  この短篇小説は私小説なので事実が元になっていると思われる。50年間連れ添った妻が認知症となる。奇妙な行動が徐々に、だが確実にエスカレートしてゆく。まさしく、「壊れてゆく」有り様が静かな筆致で綴られる──

    http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20100322/p2

  • 老いという避けられない宿命の果てに見えてくるものってあるんですね、きっと。「愛する」ってこういうことなんじゃないだろうか。

  • 何回読んでも泣けます。

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