- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062048088
感想・レビュー・書評
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記憶を1日に2日分ずつ忘れ蝶に食べられてしまった彼女は、20歳の誕生日にすべての記憶を失なってしまう。しかも、それは明日なんだ!!不思議な少年といっしょに帆立貝転送機に乗った私は、忘れ蝶をさがして記憶装置の迷宮へ。取り戻したのは彼女の?それとも私の記憶?俊英が放つ異色の長編作。
もろにファンタジー。
現実味はほとんどなく内容の雰囲気は女の子向けなのかな。そうゆう意味では新鮮だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
10歳の頃、1日に2日分ずつ記憶を失う病にかかり20歳で今までの全ての記憶が消える恋人を持つ「僕」は、出逢った少年と共に彼女の記憶を食べている忘れ蝶を捕獲しに彼女の記憶の中に旅立つ。また10年後、20歳から後の記憶を失った彼女に再会した「私」は彼女と共に10年前過ごしたリンゴの街に滞在する。20歳の彼女の記憶の中の地下鉄の街、アンネ・フランクの街、ギョウザの街、文字と記号の街、未来の街等を巡る旅と、30歳の彼女と私がリンゴの街で過ごす日々が並行して描かれる。記憶を取り戻せるかとみせて、どんでん返しが用意されています。
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○2008/04/18 ★4つ
あぶなくギャグに分類してしまうところだった…。新井さんほんとに素敵だ。センスがそこらじゅうにちりばめてあって、読むごとににんまり。爆笑。吹き出し。
ラストは、おうおう、とさらっとした感じで終わってしまったけど、ぶっとんだ世界や登場人物はこのころからしっかりあったんだとなんだかすごく嬉しい。早く他の作品も読みたい。
”なんて言ってみたりして。”のところのセリフがどれもすごく好き。馬鹿話が好きなのかな。
文字と記号の遊園地がとりあえず最高だった。始終笑ってた。
”「彼らにとって死者が本当に死ぬのは、その人を記憶している人間が一人もいなくなった時なの。だから部族の人々は一生懸命に死んだ人のことを覚えていようとするの」「あなたは私の中で一度死んだのよ」”アンネ・フランクの街が、なんだか妙にリアルな気がした。
○2010/04/05 読み直し
なんと!読んだの2年前か。ずっと好き好き思っていたからそんなに前だとは思いもしなかった。2年経って、上に引用した部分の民族のことを触りだけだけど学んでいてびっくり。ほんとにほんとの話だったんだもんな。
読み直してみると、楽しい面白いだけじゃなくて、なんかこう、チープになりすぎるので言いたくないんだけど「ちょっぴり切ない」みたいな。哀愁とはまた違うけど、そんな部分もあってまたギャップがたまらない。やっぱり好きだなあと一文進むたび再認識。マイナー・デス合戦とか植物の広場での喩えとか、センスがすばらしくいいし。星1つ増やした。
彼女がガハラさんみたいでつい笑ってしまった。性格が好きだ(笑)
以下色々抜粋とか。
”「うるさいわね。そういうことを言うと脳ミソにアイロンをかけてシワをなくすわよ」””「何となく秩序の中に混沌を感じる話ね」「何となく混沌の中に秩序を感じる話ね」”
”夜の空気は湿っていて、濃い緑の匂いがした。小瓶につめて媚薬として売り出したいような匂いだ。”
”包帯の代わりにブラジャーをしたいくらいの大きなコブができている。”
165ページの表現というか隠喩がすごく好き。
宇宙にある原子の数は、十二かける十の七十八乗らしいです。