親になるほど難しいことはない

著者 :
  • 講談社
3.33
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 12
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062054324

作品紹介・あらすじ

医師はわが目を疑った。なぜここまで子どもにむごたらしくできるのか。そしてなぜそれでも子どもは親を慕うのか。家族とは何か、人の優しさとは何かを問う、日本初、衝撃のドキュメント。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『凍りついた瞳』の原作となった本である。
    初版は1993年と、20年以上も前だ。それだけに、本書で描かれている児童相談所や警察の動きなどは歯痒いばかりだし、本書の事例は「極端な例」ともされていて、当時の感覚ではそう見えたのかもしれない。現在の状況を考えると、そうでもないのではないかと感じられる。
    それでも、当時ならこんな風に放り出されていた事例が、今はもう少し突っ込んだ対処ができるようになったのだと思えば、少しは気が晴れる。

    虐待は根が深い。対応の難しさもある。子どもに残す心の傷も恐ろしく深刻だ。本書が書かれた当時よりは改善しているとはいえ、制度や法律の壁、対応する職員の抱える件数の多さや専門性など、関係各所の努力だけでは簡単に解決できない問題は相変わらずだ。
    家族を孤立させない、知らぬふりをしない地域の目、子育てを見守る社会の目というのが、その予防には欠かせない。

    問題提起としての役割は十分果たしていると思うが、一読者として残念なのは、ほとんどが虐待が発覚してまずどう取り組んだかまでで、その先がないこと。それは親子関係が改善に向かわず、失敗した例(つまり、支援者との関係が断ち切れてしまっている)を中心に紹介しているからで致し方ないのだけれど、この子どもたちがどうしているのかが、本当に心配だ。無事でいてくれるだろうか。どこかで救いの手が差し伸べられて、それにすがっていてくれることを切に願う。

  • 一人でも登録者がいたことに驚くべきか。久々にこの人の本を読んだな。1993年の本なので、児相の動きもだいぶ遅い。こうやって初めは医療関係者が児童虐待に警鐘を鳴らしていたんだろう。しかし親を責めずに、ってのが私にできるだろうか。親とは分離するのが一番だ、と思ってしまわないだろうか。今Tを担当してて、本当にかわいい。でも一緒に暮らすとなったら、やっぱり腹立つんだろうなぁ。虐待しちゃうだろうか。父親の存在が希薄ってとこ、今も変わらないんだろうか。当時に比べたら格段に児童虐待は知られるようになった。防げなかった関係者が責められる構図は何とかしたいけど。マスコミは無責任だからなー。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

作家・ジャーナリスト。
主な著書に、『凍りついた瞳2020』(編著、集英社、2019)、『がれきの中の天使たち』(集英社、2012)、『愛されたいを拒絶される子どもたち』(集英社、2007)、『新凍りついた瞳』(集英社、2003)、『親になるほど難しいことはない』(集英社文庫、2000;講談社、1993)、『虐待で傷ついたこころのための本』(大和書房、1998)、『ちいさなわたしをだきしめて』(集英社、1998)、『家族「外」家族』(集英社、1997)、また、著書を原作とした漫画化作品に『愛ときずな』(絵:ごとう和、秋田書店、2010)、『凍りついた瞳』(絵:ささやななえ、集英社、1995)など多数。

「2019年 『イギリスの子ども虐待防止とセーフガーディング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

椎名篤子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×