首鳴り姫

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 51
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062110426

作品紹介・あらすじ

若いときに若かった人たちは幸いである-。そう言ったのはプーシキンでしたが、冨来子とともにすごす日々が明るい陽光の下にあってこそ、私たちが若くあることもできるのだ、と私は考えていたのでした。しかし私たちは、夜の中でしか出会いえなかったのです。書下ろし恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 男子大学生の日々を描いた作品と言い捨てればそれまでだ。しかし、日々のさびしさ、美しさ、やるせなさ、それらを丁寧に紡ぐ作者の筆致(主人公の目線と重なる)はこれ以上なく不器用ながら、優しい。ストーリー上に大きな事件はないと言ってしまえばないが、非常に豊かな読後感を得られる。日々の生活が積み重なり、それが人生という地平を紡ぐのだということを考えさせられる。

    重ね重ねになるが、文章が美しい。主人公が暮らすのは、自身の劣等感や厭世観のフィルターを通して見る世界で、そこでは日中のまぶしい光が目を焼くため、彼はしばしば夜の闇に逃げ込まねばならない。だがその世界は、この上なくはかない美しさに満ちている。

    図書館で読み、単行本を購入し、引っ越しの際は携え、何度も読み返している大切な作品。

  • せつない恋のお話だと思う。
    誰もが学生時代に経験したことがあるような懐かしさも感じる。とても良いです。

  • 2011/5/31読了。

  • 図書館で借りました。

    恋愛小説。現代。
     普通の恋愛ってこんな感じなのか。
     という、目から鱗な小説。
     愛の告白までに114ページかけました。この本の半分です。
     そして残り半分は、同棲にこぎつき、そして破局するまで。

     一人称「私」カタガイ君。二浪して大学に入った、優柔不断で消極的な青年。
     冨来子。ミステリアスな女性。やや鬱っぽく見える。
     もっと陰惨かと期待したのに、淡々と日常が続く。
     食べるものが美味しそう。ふろふき大根とか。雑穀ご飯とか。
     これはもしかして私小説ではないのかなあ。
     イケイケゴーゴーって感じのカタガイのばあちゃんも好き。

     それにしても、タイトルと表紙の絵がここまで内容を表さない本も珍しい。

  • 1人のときは1人、2人のときは2人。それだけのことだよ。あんたには1人の影が落ちてるみたいだけどね。

  •  衝撃的なまでに傑作であった。
     不器用な男女の進展の遅い恋愛が淡々と描かれるのですが、全体を貫くシンとした静けさが素晴らしい。特に、夜の街を彷徨い歩く場面とかね。
     他人の気持ちが分からない男と、社会にイラつき傷つく女。あぁ、まるで学生時代の自分を見ているかのようなリアルさに襲われます。僕だけかもしれないですけど。
     冨来子が挙げる好きな音楽家の名前を見て、さらに共感を覚える。時代も同じなんだ。
     そういや、A.R.Kaneってあんな耽美な音楽をやってるのに黒人だったよな、とかどうでもいいことまで思い出してまたまた胸キュン。

  • 角田さんのエッセイにレビューが載ってたので読んでみました。フキコの魅力がイマイチ分からんかったなー。そんな理由の為に働くって理解不能。

  • 2007.01.03

  • 夜学生の恋、青春、暗い路地の街頭。
    この空間は今の自分はよく理解できた。

  • 文章へただし、ややもするとちょっとダサいんだけど、なぜだかひどく共感する。労働と恋愛が両立しないことを説いた小説。

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著者プロフィール

岡崎祥久(おかざき・よしひさ)
1968年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。1997年「秒速10センチの越冬」で第40回群像新人文学賞、2000年『楽天屋』で第22回野間文芸新人賞受賞。著書に『バンビーノ』『南へ下る道』『首鳴り姫』『独学魔法ノート』『ctの深い川の町』『文学的なジャーナル』などがある。

「2014年 『ファンタズマゴーリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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