宿澤広朗 運を支配した男

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062140669

作品紹介・あらすじ

サラリーマンとして、男として、頂点をきわめる寸前で急逝した宿澤広朗の、知られざる苦闘の生涯。天才ラガーにして名監督。巨大銀行専務取締役。

感想・レビュー・書評

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  • 「加藤仁」が元ラグビー日本代表監督「宿澤広朗」の生き方をドキュメントした作品『宿澤広朗 運を支配した男』を読みました。

    『日仏ラグビーとエリサルド』、『気づかせて動かす 熱情と理のマネジメント』に続きラグビー関係の本です。

    -----story-------------
    2006年6月17日、三井住友銀行専務「宿澤広朗」は群馬県内で山登り中に突然倒れ、急逝した。
    享年55。
    ラガーとして頂点を極め、銀行マンとしても大銀行頭取の座まで指呼の間まで迫りながらの無念の夭折だった。

    宿澤の告別式には4000人を超える人々がつめかけ、故人の人脈と人望の厚さを示した。
    地方の進学校から名門・早稲田大学ラグビー部に進み、あっという間にレギュラーを獲得しただけでなく、社会人を破って日本一に。
    日本代表選手にも選ばれ、卒業時には多くの社会人チームから勧誘された文字通りの天才ラガーだった。
    戦局を見通す目の確かさは指導者としても発揮され、1989年日本代表監督に就任するやいなや強豪スコットランドを破る金星を挙げた。
    この勝利は、いまも日本ラグビー最大の金字塔として語り継がれている。

    「宿澤氏」は、サラリーマンとしても別格の決断力、実行力を示した。
    住友銀行に就職するとたちまち頭角を現し、ロンドン支店時代にはディーラーとして銀行に巨大な利益をもたらした。
    帰国後も重職を歴任、とくに9・11テロでは卓抜な危機管理を示した。
    松下電器グループ子会社の整理、江崎グリコ、ワールドなどの企業防衛にも手腕を振るうなど、金融のまさに第一線で活躍した。

    「宿澤広朗」は、人並みはずれた強運の持ち主だっただけでなく、想像を絶する努力によって「運を支配した男」でもあった。
    本書は、「宿澤広朗」の銀行内での活躍や私生活上の知られざるエピソードを、膨大な取材によって掘り起こした傑作評伝である。
    -----------------------

    ラグビーの指導者、プレーヤーとして尊敬する「宿澤広朗」の生き方、生き様が以下の十章で綴られている作品です。

     ■プロローグ 神々の嫉妬
     ■第一章 伝説の男
     ■第二章 文武両道
     ■第三章 二足のわらじ
     ■第四章 全戦全勝のディーラー
     ■第五章 空中戦と地上戦
     ■第六章 取締役への道
     ■第七章 書斎なき家庭人
     ■第八章 突然の解任
     ■第九章 松下電器との攻防
     ■第十章 最後のプロジェクト
     ■エピローグ 真っ赤な薔薇を抱いて
     ■あとがき 

    以前、「永田洋光」の著書『勝つことのみが善である - 宿澤広朗 全戦全勝の哲学』を読んだときにも感じたのですが、、、

    仕事とラグビーを両立させながら猛スピードで駆け抜け、いずれも成果を挙げながら突き進んだ人生には憧れますね… 真似したくても真似できないですねぇ。

    印象に残った言葉、、、

    「勝つことのみが善である」

    「努力が運を支配する。
     たゆみない努力と、それによって生まれた実力と、それらを活かす恵まれた運、この三つがうまく相関した時に一つの大きな力となって相手に打ち勝つことができる」

    特に後者については、日々意識しておきたいなぁ… と感じました。


    「宿澤広朗」という人物のことが、益々、好きになったし、見習う部分が多いなぁ… と気付きのあった一冊でしたね。

  • 宿澤全日本監督のことは、NHKのサンデースポーツの解説を通してしか知らなかったので、銀行マンとしても頭取の一歩手前(55歳で専務なので、長生きされていれば、本当に三井住友銀行の頭取になられた可能性は十分あった筈)まで行かれた稀有の人であることは全く知らなかった。凄い人がいるもんです。
    スコットランドとのテストマッチで(銀行マンをやりながら)代表監督としていきなりの大金星をあげる場面はメチャクチャかっこいい。もう漫画のようです。
    晩年は(といっても2006年に55才で早逝されたわけですが)、ラグビー界から干された、というか、距離を置かれたようですが、2019年のラグビーワールドカップベスト8進出に対する感想を是非聞いてみたかった。。

  • ご存じラガーマン(プレーヤであり日本初勝利を導いた指導者)でありバンカーであった宿澤さんの生き様を描いた本。

  • ★2008年12月11日 98冊読了 『運命を支配した男』加藤 仁著 評価B
    ラグビー全日本元監督、早稲田の名スクラムハーフそして住友銀行専務まで上り詰めた宿澤広朗氏のドキュメンタリーである。凄まじいばかりの生き様、全ての面において一流だった事がよく分る。勿論宿澤さんの存在、素晴らしさは早稲田OBの父から聞いていたものの、その詳細をこの本で知るにつけ、本当に惜しい人材を失った気がする。もしかしたら、三井住友銀行だけでなく、金融界、財界を変えられたかも知れない逸材であったと知りました。あまりにも早い彼のノーサイドホイッスル。本当に残念。合掌。

  • スポーツ系ノンフィクションは色々あるが、その中でもラグビーと将棋は殆ど外れがない。
    この本も、やはり面白かった。

    しかしこの本が他と違う点は、ラグビーと仕事(銀行マン)の両方で成功した人であり、途中からはラグビー協会から(真相はわからないが)解任されるなど失意や遺恨残しながら、逆にそれをばねにサラリーマンとして結果を出し続ける過程についても書かれていたことで、ただのスポーツノンフィクションとは違った。

    自分の中で宿澤さんと言えば、NHKの土曜のスポーツコーナーなどに出演してラグビーについて語っている姿であり、ラグビー協会で理事などをしているが、サラリーマンなんだとという事と、執行役になったという報道を新聞で見て「すごいなぁ」と思った程度だが、本書を読んでみると「すさまじいな」という印象の方が強くなった。

    「努力は運を支配する」「全力疾走しないと失速する」という考えや感覚があったようで本書からは何度も書かれている。
    特に「全力疾走しないと失速する」という言葉が見て、自分にはそんな感覚になった事が人生で一度でもあったのだろうか?と考え反省しながら読んでいた。

  • ラガーマンとしては、日本代表選手、日本代表監督と頂点を極め、ビジネスマンとしてはメガバンクの専務取締役まで登りつめた男。ビジネスマンとして頂点を極める寸前で急逝した男の生涯を描いた作品。
    「努力は運を支配する」。この言葉通り、宿澤さんは人知れぬ努力によって、ラガーマンとしてもビジネスマンとしても成功を収めていった。
    そんな誰もがうらやむ経歴を持った宿澤さんだが、その陰では人知れぬ重圧と孤独に戦っていた姿があり、リーダーとしての苦悩がうかがえる。
    真っ直ぐで、負けず嫌いで、シャイで、孤独な男。そんな宿澤さんの魅力を存分に味わえる作品である。

  • 天才ラガーにして三井住友銀行専務取締役。熊谷高校から早稲田大学そして、日本代表監督としてスコットランドと戦い史上初勝利を収める。
    日本ラグビーの改革者であり敏腕ディーラー。昨年のエディ・ジョーンズジャパンがW杯で3勝するまでの唯一の1勝をジンバブエから奪った監督でもある。
    55歳で逝ってしまうには早すぎ、日本ラグビー界は貴重な人材を失った。

  • 「努力は運を支配する」がこの本の超概要。
    とりあえず読みました。

    宿澤広朗という「天才ラガーにして名監督。巨大銀行 専務取締役。」のお話。

    この方の現役時代の活躍を知らない世代の人でも、ラグビーか銀行に多少の縁がある人は読んで損しない内容かと。

    【感想・メモ】
    チームをまとめる能力に長け、ラグビー・銀行業で伝説的な功績を残してきたが、ラグビー協会の大きな改革という点ではその手腕が通用しなかった。

    ボランティア(無償の善意)に対しては、成果評価できないという問題点を指摘。

    自伝ではなく、生前の姿を描くノンフィクションという位置づけだけに、宿澤広朗氏が演じてきた「宿澤広朗」像、が描かれているという印象をうける。

    多くの方が取材に応じ、宿澤広朗氏とのアツい思い出を回顧していることから、その人望の厚さをうかがい知れる。

    246ページというページ数は、この方の実績や魅力を伝えるにはあまりに少なく、その短い生涯を表すようだ。

  • コーポレートアドバイザリー業務を銀行業界で最初に立ち上げたのが宿澤さんだったのか。
    清水喜彦副頭取や現楽天球団社長の立花さんの話などの話も出てきて面白く読めた。

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著者プロフィール

名古屋大学大学院教育発達科学研究科研究生

「2015年 『社会的ネットワークを理解する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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