「感謝」と「謝罪」--はじめて聞く日中"異文化"の話

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062141758

作品紹介・あらすじ

日中間のイライラの正体とは?「感謝」に敏感な日本人vs.「謝罪」を重んじる中国人-中国語教育の第一人者が説く異文化理解へのガイダンス。

感想・レビュー・書評

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  • 中国語の先生が見る日中の文化の違い。興味深い話がいろいろあった。
    過去の事実を重視する中国人と相手の立場にたって考え、すんだことは忘れる日本人、ということか。
    日本人はトラブルをさけるためにすぐに謝る。中国人は謝罪は実を伴う物なので簡単には謝らない。遅刻しても、日本人はまず謝るが、中国人は延々と遅れた理由をまくし立てる。
    中国は階層社会なので、東京や大阪にしか行きたがらないし、出身を聞くと皆大都市出身と答えるそうだ。階層社会は職業にもあり、チップが何の問題も無く受け入れられる世界がある。
    「恩」の考え方も違う。お金はサラ金でなく、身近な人から借りる。恩は一生かかって返す物と考え、大事にする。それを知っているから、勘定は先を争って払おうとする。中国は先の戦争で賠償はいらないという大恩を与えたのに、日本はちっともそれを感じていない、と思っている。しかも先生だったのに。
    中国の教育は型を徹底して覚え込ませる。創造性は重視しない。
    中国では悪人には情けをかけてはいけない、という寓話がある。日本は悪人なおもて往生するという大団円が落ち着く風土があり、特に死んだ人は皆仏さんになる。靖国問題の解釈の違いはここにもあるのかもしれない。
    日本は目立つことを嫌う社会だが、中国は少しでもぬきんでようとする競争社会だ。
    食事の仕方。日本人はいただきますを言いたくてしかたないが、中国人は言いたがらない。それよりも、相手に食べさせたがる。己の欲するところを他人に施すことが好きで、一人一人の膳よりも大勢で食べることを好む。自分が食べたいと他人に勧め、酒が飲みたいと乾杯して他人に飲ませる。また、おごり、おごられが基本なので、食事に誘ったらおごらなくてはいけない。食事は少し残さなくてはいけない。中国人にとって料理とは暖かい物、手の込んだもの。客は料理を事細かく注文する。できあいのものやパッケージで満足しない。
    中国人の招待は本気。(一ヶ月分くらいの給料を使う)。お土産を渡すとき日本人は「つまらないものですが」というが、中国人はいかに素晴らしい物でいかに自分が苦労したかを自慢する。
    信用できないことを前提にして、証拠をみせるのが誠意。ごまくしていないことを料理人も鉄道職員も重視する。子供料金は身長で決まる。中国では大盛りはグラム単位で注文し、それが普通。日本の田舎の無人の道ばた野菜売り場は中国人には信じられない。福袋の感覚もわからないらしい。
    中国人にとっては床が大きなゴミ箱。
    友達の意味は大きい。日本人は誰に対しても平等に丁寧に対応するが、中国人は友達で無いと丁寧に対応しない。逆に友達になると融通を聞いてくれる。日本では用件を尋ねられるが、中国では誰に会いに来たかを訪ねられる。中国人はその与えられた小さな権力を使いたがる。
    日本では他人に迷惑をかけるなと教えられるが、中国や韓国では他人に迷惑をかけながら恩を感じていきてゆきましょう、となる。だから、礼儀正しく尊敬されるが遠ざけられる日本人のやり方は水くさいと感じられる。

  • 言語行動についての日中対照のために通読。
    差異の要因となる「文化」「視点」の違いが、体験談から面白く知ることができる一冊。

    また、ただ文化の差を述べるだけでなく、
    そこから見える現代日本の問題についても様々な提言をしている。

  • 相原先生はNHKの中国語講座以来何冊かのテキストを愛用している。
    日中の平和と友好を願い、何か自分にも出来ないかと思い、ささやかな活動をしている者にとって、「日中異文化」の話は大変興味深い。
    日本人は「感謝すること」に敏感、中国人は「謝ること、謝られること」に敏感。
    遅刻したときの謝り方の違い、日中行動対照論。
    著者の専門外であるが、政治的問題に対する発言の仕方については、納得できない。

  • 1日で読了。エッセイなのでつれづれなるままに書かれているが、意外に辛らつ。
    言いたいことは言っている。
    ただ、重複して、いらっとすることも多い。もう少し、きれいにまとめられなかったかなと思うくらい。

  • 「感謝」に敏感な日本人と.「謝罪」を重んじる中国人。

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著者プロフィール

元お茶の水女子大学教授。中国語コミュニケーション協会代表。中国語に関する著書多数。『中日辞典』『日中辞典』(ともに講談社)の編者。

「2012年 『中国語1000本ノック 入門編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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