計画破産国家アメリカの罠 -そして世界の救世主となる日本

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062154611

感想・レビュー・書評

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  • "アメリカ金融は、「金」と「銀」に二分される。


    <銀派>

    反銀行論
    →「地域主義」「共同体主義」を信奉するキリスト教原理主義者(金儲けを善としない)がこの立場を取り
    貨幣は必要最低限流通すればよく、銀行はむやみに活動すべきでないと考える。地域金融機関が貨幣にしてきたのが隣国メキシコの銀。現在もその伝統は地域銀行のネットワークとして残っている。
    リベラルな民主党寄り、モンロー主義(内向き外交)


    <金派>
    プロテスタント系、プロフェッショナル経営管理論者(越境する投資主体、国際通貨である金本位制)。
    利殖OK



    アメリカ債務総額 ソース

    http://www.usatoday.com/educate/college/polisci/articles/20070603.htm


    戦争による経済効果の条件は1、その国が戦争前に低い経済成長で遊休リソースが多くあり2、戦時中に巨額の政府支出が続いており3、自国が戦場にならず、期間が短く、節度を持った資金調達が行われていること。また、戦争はほぼ例外無くインフレを起こす。-ポール・ポースト『戦争の経済学』

    2015年までに国土安全保障ビジネスは1780億ドルにまで
    拡大

    http://www.usatoday.com/money/industries/2006-09-10-security-industry_x.htm


    天下りと言うと日本だけが盛んなように思えるがそうではない。90年代、ビル・クリントン元大統領は国防総省とインテリジェンス機関の人員・予算を徹底的に削減し、その職員達は民間セクターへと飛び出して行った。
    しかし、逆に人員削減によって業務の円滑な遂行に支障が出てしまい親元の省庁・軍は民間に業務を発注し始めた。これが米系インテリジェンス機関に纏わるアウトソーシングビジネスであり、所謂天下り先になってしまった。




    <ドイツ統一>

    旧西ドイツは西欧圏における貿易の中心地であり、
    さらには旧西ドイツ・マルクが比較的乱高下しない
    通貨であったことから為替媒介通貨としての機能もあった。


    旧東ドイツを無関税・障壁なしで利用できるエマージング・マーケットとして使い倒した
    →先進国が通貨統合して
    エマージングマーケットを取り込みビジネスにする。
    EURO,アメロ?




    ソチ会談(2008/04/06)
    米露戦略枠組み合意
    ロシア→低濃縮ウラン供給 
    アメリカ→高濃縮ウラン供給

    (原子力ビジネス)核燃料を世界中で使わせたい
    →気候変動問題、地球温暖化問題を喧伝

    【温暖化効果ガスの削減が必要】

    オバマ→代替エネルギーへの転換、原子力発電を促す。



    【富と繁栄のサイクル】



    東アジア→USA①輸出③超低金利の米国債購入
    USA→東アジア②米ドル支払い(外貨準備)
    USA→米企業④低金利で貸付(米企業の資金調達活発)
    米企業→国内&国外マーケット(特に東アジア)
    越境する投資/事業主体が
    直接投資(FDI)/有価証券投資を行い、東アジアで
    マーケットが高騰"

  • つい最近GMの解体が決まってアメリカ経済はどうなっていくのでしょう、昨年同様に9月決算日あたりを乗り切れるかが注目されます。タイトルをみると計画破産(デフォルト宣言に続くアメロ新通貨の導入:p129)という内容ですが、帯に書かれている日本に最後のバブルが来ると言うものにわかには信じられないものです。

    アメリカと言うのは大統領のもとで一枚岩になっているとばかり思っていたのですが、金融一つとっても、2つの勢力が争ってきた(p61)という記述には認識を新たにさせられました。

    単位が大きすぎてイメージできていなかった公的救済額の4.6兆ドルも、アメリカがこの60年間で行ってきた多くの事業の合計額(4・0兆ドル:インフレ換算済み)よりも多いという事実(p71)に驚きました。

    以下は気になったポイントです。

    ・現在起きている問題はサブプライムローンに基づく金融商品だけが問題なのではない、ところがアメリカ由来のリスク資産全体に基づく損失額を会計基準の濫用でごまかし、他方では問題はアメリカでのみ起きているように説明している(p36)

    ・ゴールドマンサックスも決算発表時に、”管理下にある試算とは当社が管理する諸ファンドに対する投資は含んでいません”と記述していて、損失額が把握できていない、これが「減収・減益・黒字決算」ができる根拠(p38)

    ・暴落とはいえ、株価が成立しているということは、誰かがそこで買っているということ、なぜ買うかといえば、それは「空売り」によって巨額の利益をあげるため(p54)

    ・銀を地域通貨として「国内」に基盤をもつ地域銀行の勢力(利殖をよしとせず反銀行論的な立場)と、国際通貨である金本位制を促進して「国外」への打って出る「越境する投資主体」が激しい闘争を繰り広げてきた国である(p61)

    ・オバマ大統領が何を打ち出したいと思っていようとも、アメリカには肝心な「カネ」が全くない、2007年5月末で連邦と地方政府の財政赤字の累積額は5910兆円(p68)

    ・アメリカが戦前から多くの政策に対して行ってきたインフレ換算した合計額:3.95兆ドル(マーシャルプラン、ルイジアナ購入、アポロ計画、朝鮮戦争、イラク、ベトナム戦争、NASA関連)よりも、2008年度のサブプライム公的救済額(4.62兆ドル)のほうが多い(p71)

    ・アメリカのデフォルト宣言には2通りあって、1)バーチャル通貨単位をつくって米ドル価値の切り下げ、2)FRBによるアメリカ財務省債券の引き取り加速によるハイパーインフレ、がある(p75)

    ・アメリカと比べて国力の劣るカナダ、メキシコと組んで新通貨(アメロ)を発行すると主要通貨よりも大幅に安くなる、しかしそれにより輸出(特に中国へ)は有利になる(p124)

    ・ヒラリークリントンの真の役割は、アメロ導入だけでなく、新たなアメリカ覇権の道筋をつけること、その足がかりが「知的所有権」と「原子力」である(p132)

    ・世界のブロードバンドをリードしているのは、情報共有の自由な韓国などのアジアであり、世界一厳重に著作権を保護している米国は後進国へ転落した(p146)

    ・1994年の「米朝枠組み合意」とは、北朝鮮がそれまで旧ソ連由来の核開発を放棄する代わりに、アメリカの技術が詰まった軽水炉を受け取る(原子力協力協定)である(p154)

    ・2008年4月で米露で合意された「米ロ戦略枠組み合意」では、低濃縮ウランはロシアが、高濃縮ウランはアメリカが世界に供給することが決まった(p156)

    ・アメリカの人口構成は40代後半の世代が比較的大きな山となっていて、30代前半が圧倒的に少ない、働き盛りの少ない時代が続き経済が低迷する可能性あり(p184)

    ・日本円の独歩高という現象こそ、アメリカがデフォルト、欧州が国家破産と走る中で、最後に選ばれたということを意味する(p237)

    ・アメリカでは金銀交換レートの変動がネックとなっていたので、1873年に銀による貨幣鋳造を中止した、地域通貨として大いに流通していた貨幣の鋳造中止はアメリカ内で世界恐慌とあいまって強烈なデフレを起こした(p257)

    ・アメリカは金本位制法にもとづき、植民地通貨を金貨幣へ転換することに高い優先順位を置いた、その地域とは中国、メキシコ、パナマ、キューバ、ドミニカといった銀本位制の国であった、しかし失敗に終わった(p259)

  • 2010/1/6
    これだけでは情報不足。コマーシ​ャル的な本なのだろうな
    http://shadow-c​ity.blogzine.jp​/net/2009/05/21​gm_3159.html”

  • 計画的破産しようとするアメリカ、その後北米通貨「アメロ」の登場、という話。
    世界を救う日本、と大げさに書いてある割に具体的にどう救うのか書かれてない。まさか世界の投資が日本に集まるから世界を救う、って事なんだろうか。
    全体的に大げさというかトンデモ話に近い感じがした。でもEUも駄目だし中国も恐らく近年中に大変な事になるのは誰もが分かってる事なので、消去法的に日本が選ばれるのは分かる。

  • なるほど♪

  • オープンソースインテリジェンスという言葉が出てくるのですが、この著者の説明だと、オープンソースが、当初無料で会員を集めて、会員数が増えると有料化するビジネスモデルと誤解されている様な気がしました。たくさんの眼でバグをつぶすという様なプログラマ側の都合とは無関係です。
    日本株が3ヶ月で30%上昇という現在(2009/6/12)の局面を正確に説明してはいると思うのですが、周天円を重ねて精度を上げているのではないかという気がします。あと、経済のメカニズムを説明している部分になると、日本語が変になっている気もします。金融を動かしてる現場に理論など似合わないのかも知れません。

  • 【2009/5/1】
     アメリカの賢い人々は現在の大きなリセッションを視野に入れて行動しているのだという。ベースはアメリカ国家破産→ドルの衰退、新通貨の登場。
     もう少したつと日本株が上がると言っているが、どうだろう。

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著者プロフィール

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役CEO。東京大学法学部在学中に外交官試験に合格、外務省に外務公務員Ⅰ種職員として入省。アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)などを歴任し、2005 年、外務省を自主退職。2007年、株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)を設立。2017年より国際商業会議所(ICC)G20 CEO AdvisoryGroupのメンバーを務める。2022年より学習院女子大学で教鞭を執る。『PAX JAPONICA The Resurrection of Japan 』を英国にて出版(2017年)。その他、日独英で著書・翻訳書多数。2023年に立教大学大学院人工知能科学研究科にて修士号取得。独自の手法により作成・提示する「未来シナリオ」は、大きな反響を呼んでいる。

「2023年 『図解でわかる! 2030年の未来予想図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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