- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062171717
作品紹介・あらすじ
日本初の快挙、「世界記憶遺産」登録。世界が認めた「ヤマ人の記憶」。
感想・レビュー・書評
-
読了…読了っていうのかな。
まだこの地底の生に少し触れただけ。折に触れて眺める本だろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
山本作兵衛さんは60歳を過ぎてから「ヤマ」に生きた事実を孫に知らせる為1000枚もの絵を書いたそうです。こんな貴重な絵をできるならオールカラーで見たいものです。
-
世界記憶遺産に日本で初めて登録された山本作兵衛さんの画集復刻版。知られざるヤマの姿を届ける一級の史料であると同時に、素朴でプリミティブなタッチは芸術としても一級品である。
-
先頃、世界記憶遺産に登録された山本作兵衛の炭鉱画を中心に、作兵衛自身の文による記録、関係する人々による解説を加えた画文集。
明治から昭和に掛けての炭鉱の記録。
美しい絵とは言えないが、詳細・的確で味わい深い絵である。炭鉱(ヤマ)の地底の作業、貧しい暮らし、時折訪れる行商や芸人、当時の迷信、逃亡者や不義者に対するリンチなどが生き生きと描き出されている。
石炭を運ぶ船頭であった父親が蒸気機関車に職を奪われて(「陸蒸気に飯食い茶わんをたたき割られて」)炭坑夫となったため、幼少の頃から炭鉱で働いてきた作兵衛が、孫に記録を残したいと描き始めた記録画である。
数十年の年月を経て、記憶に頼って描いたとは信じられない詳細さ・綿密さには感嘆するほかない。
狐が火傷負傷者の皮膚をはぎ取って食べてしまい、負傷者が死んでしまったという話や、狸が炭鉱の中に現れていたずらをするなどという話もあって、狐狸妖怪が身近な世界であったのだと思わせる。
著者は、生真面目で几帳面であり、公平で透徹した目を持った人なのだろう。そしてまた好奇心旺盛で観察力・記憶力に優れ、そこはかとないユーモアと内に秘めた強さを感じさせる。
一文を寄せた人々の文面からも、作兵衛の飾らない、慕わしい人柄が感じられる。息を引き取った後の様子を綴った菊畑茂久馬のエッセイには目頭が熱くなった。
描いた作兵衛もすばらしいが、その絵に惹かれ、守ってきた人々あっての記憶遺産登録だったのだろう。
実際の絵がどれほどの大きさのものかちょっとわからないが、書籍に載せるにあたって、縮小されていることは確かだろう。所々、作兵衛の直筆の解説が読みにくい。いずれ本物を見る機会があればなぁと思う。
*作兵衛が一時働いていた上三緒炭鉱の炭鉱主は麻生太吉であったという。そうか、麻生元総理は炭鉱王の家系なんだ・・・。筑豊の炭鉱の歴史というのも興味深そう。
*直筆部分に「后山」というのが何度も出てきて、少々戸惑った(その后がまたちょっと癖字だったので)。「後山」だった。「後」を「后」と書くのは、そういえば見たことある(「午后」とか)。 -
すこし前に、『「フクシマ」論』(http://booklog.jp/users/otr_uhy/archives/4791766105)という本を読んでいて、そしてこの本を読んだ。もしかしたら(もしかしなくても)、このくには何も変わっていないのでは、と考える。それを考えることができたのは、考えることなど、考えるひまなど、なかった、と思える炭鉱のひとびとのくらしのなかにも、楽しいことやなにかしら思うことや機会があったのだ、と、このひとが書き残しておいてくれたからだ、と思う。それはたしかに大きなことだと思う。それができるひとなど限りなく少ない、と思うからだ。
-
この画文集は日本初のユネスコの「記憶遺産」になったことをNHKのクローズアップ現代で知って、是非観たいと思っていたところです。画集を必ず手に...この画文集は日本初のユネスコの「記憶遺産」になったことをNHKのクローズアップ現代で知って、是非観たいと思っていたところです。画集を必ず手に入れます。2011/08/05
-
-
炭鉱に生きた人々の息遣いが感じられる一冊。政治的社会的に暗いものとして語られがちな炭鉱だが、そこは人が生きた場所。労働、うた、ケンカ、恋、風呂、子供、遊び、酒、博打、家事、迷信、祈り、裏切り、リンチ、見せしめ。。炭鉱の歴史に宿る生命が感じられる一冊。
-
文章と絵で昔の炭鉱の労働と生活が生き生きと伝わってくる。すばらしい一冊。
-
こういう本って何かの偶然でしか手に取らない.しかし,無二の本.
-
読み終わった。読書メモに、心に残った箇所の引用。
著者プロフィール
山本作兵衛の作品





