- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062174251
作品紹介・あらすじ
台湾人の父と日本人の母、そしてかわいい妹。四人で暮らした思い出の家を取り壊すとき、段ボールの中から偶然見つかった「箱子」。そっと覗き込むと、「家族の記憶」が溢れ出した。家族の「果てない絆」をみずみずしい筆致で描く初エッセイ。
感想・レビュー・書評
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読書モニターで読んだ本。
「開けた瞬間、台湾から届いた手紙のにおいがした。」
父母が亡くなって何年も経ってから開けた母親の箱子。その中には、父母のラブレター、父親からの手紙、母親の日記、その他いろんな「思い出」が詰まっていた。1970年生まれ、台湾ハーフ、台湾五大財閥の一つの家に生まれた父親の環境を色濃く受けながら、それでもまるで一昔前のような親子の手紙のやり取り、細やかな愛情を一身に受けて、著書はこの家族物語を綴っています。
近くて、それでも韓国ほどには、まだ知られていない近現代の台湾の実像を知るよすがにもなり、とても興味深いエッセイでした。また、私の父母が亡くなった後に見つけたラブレターとも言えない手紙のやり取りの束のことも思い出してしまいました。
雑多な思い出箱の様に順序不動で描かれる家族の歴史の中に、著書はこれから生きる道標を見つける。それは多分どの子供にも共通する作業なのだと思う。
ただ、国民性なのか、全てを語らなけれは気が済まないかたりぐちは、エッセイイスととしては、どうかと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一昨年はじめて台湾へ行って以来、台湾に興味があり、
同じ頃、一青窈の姉が著者と知り、読んでみたいと思っていた1冊。
物語だと思って借りたのだが、実際はエッセイだった模様。
どちらかと言うと、台湾での生活や街の様子、もっと詳細に知りたかったのだが、どちらかというと生い立ちから家族のことがメインで、読みたい内容からは少し違っていた。
とはいえ、数少ない台湾の街並みの記述から伝わる雰囲気やにおいは、
わずかばかりだが感じることができた。
妹さんの活躍は知っていたけど、この方も歯科医兼役者など、多才なよう。
尤も台湾ではとっても有名な財閥のお嬢様とのこと。
なるほど。 -
一青妙のエッセイ。一青窈のお姉さんですね。
その姉妹が台湾人のハーフとは知っていても台湾で五大家の「顔家」の長男を父に持つ由緒正しいお家柄の娘さんだとは知らなかった。台湾の五大家とは日本統治時代の台湾において、政治・経済的に特に秀でた五つの名家の事を指す。基隆の顔家、板橋の林家、霧峰の林家、鹿港の辠家、高雄の陳家。板橋の林家は土地開発から始まり、現在でも土地を一番多く持っている。霧峰の林家は軍人として名を馳せ、現在の彰化銀行を作り上げた。顔家は鉱業から始まり石炭、金鉱で財を成した。鹿港の辠家は塩から始まり現在の台湾セメントや中国信託銀行を保有している。高雄の陳家は糖業から始まり、いまでも高雄周辺の多くの土地がこの陳家の所有。清朝時代からの2大家族の両林家に対し、この三家は日本統治時代から発展を遂げる。
姉妹の父、顔恵民さんは犬養毅の孫、犬養康彦さんと学習院時代からの親友で、戦時中の東京大空襲で顔恵民宅が焼失したときに自宅に住まわせていたという。その後も息子同然に過ごし、犬養家が松濤に引っ越した時に顔恵民も近くに引っ越したくらいに家族同然だったようだ。
顔家の始まりは孔子の弟子で一番の秀才だったという。だから顔家は代々儒教を重んじ、妙と窈とは孔子の教えから名前をもらったという。
という事を見てみると、一青姉妹は名家の出身なんだということがわかる。
そして戦時下という不運な時代でなければ、父の顔恵民さんは精神的に悩むこともなく生きられたのではないかと思う。ここにも戦争の犠牲者が生まれた。
父と母の出会いが気になったりするのだけれど、それは二人のみぞしるのかしら。
台湾が大好きだからか、ちょーーー長い引用と備忘録的なレビューになってしまった。
私の箱子(シャンズ)
台湾の“野猫(イエマオ)”
閉ざされた部屋
母が逝く
顔家物語
「顔寓」の主
台湾妙ーあとがきにかえてー
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中国語で箱のことを「箱子(シャンズ)」という。台湾人の父と日本人の母、そしてかわいい妹。四人で暮らした思い出の家を取り壊すとき、段ボールの中から偶然見つかった「箱子」。そっと覗き込むと、「家族の記憶」が溢れ出した--。
台湾屈指の名家「顔家」の跡取り息子として生まれた父、16歳の年の差を越えて国際結婚をした母。ふたりは娘たちを残して、相次いで早くにこの世を去った。歳月を経て大人になった筆者は、母が大切にしていた「箱子」の中身をひとつ、ひとつ確かめる。そこには、台湾と日本を往復した、結婚前の初々しい決意を示す両親の手紙や、母子手帳、父と娘の書簡の束、家族写真、そして、父のガン闘病の記録を綴った母の日記などがあった。それらに目を通していくうちに、筆者は封印していた自らの記憶を鮮明に思い出していく。
台湾で過ごした幼少時代、台湾語・中国語・日本語をあやつりながら周囲の顔色を観察して慎重に行動するようになったこと、6歳年下の妹の誕生、大好きだったおやつ、スパルタ式台湾教育、日本で始まった新しい暮らし、ふと閉ざされる父の部屋、突然の父のガン宣告、闘病中ある理由で口をきかなくった両親の伝言係を務めたこと、父との別れ、歯科大学入学、母の急逝、女優への挑戦--。
さらに「箱子」に導かれるように生前の父を知る人を訪ね歩くと、これまで知らなかった、台湾と日本の激動の歴史に翻弄された父の人生が浮かび上がっていく。日本統治下の台湾で日本人として生まれた父、太平洋戦争開戦の年に学習院中等科入学、国民義勇隊の一員として疎開先で聞いた玉音放送、終戦後「祖国」が戦勝国と敗戦国に分かれてしまった父の苦悩、失意の帰国と待ち受けていた熾烈な二・二八事件--。次から次へと迫りくる過酷な歴史の波と、名家の長男・財閥の後継者としてのプレッシャーに、ときにアルコールに溺れながら耐え続けた父がようやく辿りついたのは、かけがえのない大切な自分の家族だった。
子供の頃にはわからなかった「なぜ」の数々が明らかになったとき、果てることのない家族の絆と深い愛に包まれる。
爽快でみずみずしい筆致で描かれた、書き下ろし初エッセイ。(Amazonさんより) -
昔の人はどうしてこうも気丈だったのか…
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歌手の一青窈と同じ名字だなと思ったら、お姉さんでした。
そして一青という珍しい苗字が日本のものだと知り少し驚きです。
内容は、著者の父親と母親の生涯、著者自身の半生といったもの。
父親の顔家にまつわる記述が多めだったかな。
日本と台湾の関わりも含め、台湾で有名な財閥顔家のことなど、なかなか興味深く拝読しました。 -
文章がもうひとつ。
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お金持ちな台湾華僑のお話。
いろいろ持っていたからこそ、そこにある幸せに気づくことができなかったのかもしれない。 -
一青ファミリーを探る旅。
始めから終わりまであたたかくてやさしいままの文章が、
素敵だった。