- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062175807
作品紹介・あらすじ
阪神・淡路大震災の取材現場で無力感に打ちのめされた元神戸新聞記者が東日本大震災に向き合う本格ルポルタージュ。
感想・レビュー・書評
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<blockquote>結局のところ、わたしは何も理解してなかったのだ。震災遺族の本当の悲しみというものを(P.64)</blockquote>。
<blockquote>人間が何をどう想定しようと、陣地をはるかに超えた力を、時に暴力という形で解き放つのが自然だということを、私たち東北人は誰に教えられることなく知っている。だからこそ私たち東北人は、自然に対して謙虚に向かい合い、その厳しさに耐えることを当然としていき続けてきた。だから、今回の震災に対しても、失ったもののあまりの大きさに嘆きこそ刷れ、恨むことはしていない。ただ黙々とその日に出来ることをひとつずつ積み重ね、日常を取り戻す為の辛抱をするだけだ。(P.161)</blockquote>
<blockquote>そして、今回のような大災害があるたび、被災地やその周辺では、「復興特需」の公共投資に期待する声が生まれてくる。
つまり、東北の被災地は「怒らない」のではなく、「怒れない」構造になっている。
日本で有数の都市圏を局地的に襲った阪神・淡路大震災とは。そこが決定的に違う。(P.170 )</blockquote> -
<閲覧スタッフより>
阪神・淡路大震災を経験した二人の元新聞記者が3.11の被災地へ赴き取材をはじめた。そこで目にした被災地の姿は、16年前の震災とはまた違う様相を呈していた。復興へ向けて過去の震災経験をどう役立てられるのか、現地の取材を通じて二人の記者が自問します。
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所在記号:369.31||ニシ
資料番号:10213101
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また3・11が来るという最中、最後の「実は「11日」という日を意識しているのは、もう私たちのような当事者とマスコミだけじゃないのかなって」とい言葉に後ろめたささえ覚えた。その言葉に続いて書かれた「あの日から何も変わらない悲しみを抱えたまま、佇み続ける人たちがいる。「復興」の掛け声からこぼれ落ちていく想いがある」。
阪神大震災を経験した元神戸新聞記者のライター2人が「想い」に寄り添った本。上段から震災とは、復興とは、と語ることなく、端緒は常に被災者から。語られる生の言葉の一つ一つが深く印象に残った。 -
重量が軽い本だが、中身は重い。
阪神・淡路大震災を取材した二人の元神戸新聞記者が、東日本大震災の被災者、特に親族を亡くされた方の取材をしている。
ご両親と生まれたばかりの子供をなくしたご夫婦の話から始まって、本当に悲しい話ばかりで言葉もない。
東京で普通に暮らしているぼくらが申し訳なく思えてくる。
被災者の方々、親族を亡くされた方々、まだ、遺体も見つからない方々の思いを胸に、復興の仕事と災害法制の仕事をしたい。
自分にできる仕事をちゃんとやる。 -
目を覆いたくなる惨状や悲痛なエピソードよりも、ここに登場する人たちの人間的な魅力を強く感じて、思わず会いに行きたくなる人たちが数多く登場する。
妻を失っても愛する気仙沼のために、と市議選に出馬したカンコちゃんや、新宿ゴールデン街伝説のおかまキンコさんなど、愛すべきキャラクターと出会える一冊。
第4章の「東北の怒りと向き合う」での、ケセン語の研究者・山浦氏による日本の都市と地方に関する歴史的な考察はとても興味深い。