- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062201520
感想・レビュー・書評
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日本生まれの在日韓国人ジニ。
日本人からは偏見の目で見られ、韓国生まればかりのコリア系の学校にも入れず、金一家の肖像画が飾られた朝鮮人学校で中学校生活を始めるが、何か違うと心が叫んでいた。
日本にいる朝鮮人の心にも38度線はあるのか……。
葛藤の中、うまく大人になれずにいるジニの取る行動が痛々しい。
色々考えさせられた。 -
第59回群像新人文学賞受賞作
第155回芥川賞候補作
一読、何とも読後感を表現しずらい作品。
朝鮮学校が、実際に北朝鮮にどれくらい依存しているかわからないが、「金一家」の肖像が常に飾ってあるなら、関係は深いといってよかろう。
いわば日本の中にある北朝鮮である。
これは、ジニでなくても、実際違和感を感じざるをえない。
(好きか嫌いかといえばないほうが望ましい)と言いつつ、干渉的なことは行わないのが「普通」だ。しかし、その違和感が、破壊的「革命行動」にまでつながっていくのが、ジニという人物だ。
自分の感じた違和感をあまりに不器用に、あまりにストレートに、表現する若さや生命力。大人になるか、暴れまわるかの選択において、朝鮮学校に入ったジニは、後者を選んだ。
いってみればただそれだけの話だが、その暴力性のわりに、音声なしのフィルムを見ているような落ち着きと静けさを感じさせる作品だ。 -
私的にはジニに共感(思春期の不安定感)し、おもしろかったけど、朝鮮学校を差別したい人に都合よく消費されたら嫌だなという気持ちもあって、勧めるときに人を選んでしまうのです。そういう私が正しいのか?もモヤモヤしつつ。
ホントは広く読まれてほしい…… -
2019.03.15読了
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コメントに困る本であります。差別は大嫌いだから自分はしない。でも昨今の国同士の問題にはイラつきを憶え、何度も同じ話を蒸し返す姿勢に不信感しかないです。でもそれとこれとは別物で、個人として向き合う姿勢は持っていたいと思います。
日本人にも、韓国人にも、朝鮮人にもなれない存在としてのジニが、戦う相手をどこに想定したのか。日本に沢山のジニが居るんだなと思うと、国同士の思惑で翻弄される人間が再生産されていく悲しさを憶えます。 -
今までに無い視点での青春小説で鮮烈だった。
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前置きである今現在(米国留学時代)がやや冗長過ぎるきらいがある。そのためジニがどういう経緯や感慨でステファニーと接しているかが解らず戸惑った。たとえば朝鮮学校時代の記憶と交互に織り交ぜて読ませれば良かったかとも思う。中盤からの展開は読み応えがあったので、それが余計に悔やまれる。
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「日本には、私のような日本生まれの韓国人が通える学校が、二種類あるんだ」――。1998年、テポドンが発射された翌日、チマ・チョゴリ姿で町を歩いていたジニは、警察を名乗る男たちに取り囲まれ……。二つの言語の間で必死に生き抜いた少女が、たった一人で起こした“革命”の物語。
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と内容紹介には書いてあったけど、ちょっと言いすぎ?小説だけど短編集や詩集みたいな感じでサラっと読める。内容はもっと重く感じるべきことなのだろうけど、そのせいかふーんという感じで終わってしまうのがもったいないかな。 -
日本の小学校を卒業し、朝鮮学校に通うことになった朝鮮語が話せないジニ。学校の金親子の肖像画を投げ捨ててしまったジニは精神病院に送られ、いまはオレゴン州の高校にホームステイしながら通っているが、その高校も退学寸前の状態。在日朝鮮人にとっての正義とは、ひとりの女の子の革命が痛々しく描かれている。