- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062570343
作品紹介・あらすじ
陸地ともいえず、湖とも河ともいえないエリア、湿原。私たちがあまり知ることのないその地では、命の源である豊かな有機物と多種多様な動植物が濃密にからみあって、複雑な生態系を構成している。亜熱帯のマングロープ湿地などを例に取り上げ、生き物たちのつながりを追いながら湿原の不思議な世界を追ってみよう。
感想・レビュー・書評
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前半は単なる湿原のトリビアでがっかり
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湿地が形成されるプロセスや栄養循環に関する記述には関心を持ったが、ブルーバックスにしては少し物足りない印象も受けた。
淡水湿地
・淡水の湿原は世界の陸地の6%を占める。
・浅い池や沼が植物で埋まっていき、植物に完全に覆われた状態が低層湿原でヨシが主役。さらに植物の堆積が続くと高層湿原となり、土の割合が少なく栄養状態が悪い条件に強いミズゴケ、モウセンゴケ、コタヌキモなどで占められる。栄養物質は周囲から供給されるが、中央部は貧栄養状態で分解が進みにくいため隆起する。低層と高層の中間段階の指標はヌマガヤ。
・湿原の平均堆積速度は1年に1mm。
・高層湿原は酸性が強く、それはフミン酸(腐植物質)によるもの。
・泥炭はヨーロッパでは燃料として、北海道では砂糖大根の生産培地として利用されている。
マングローブ
・温帯地域の河口付近には干潟や葦原が広がるが、熱帯地域ではマングローブ林が広がり、その陸地側には後背湿地が続く。
・大マングローブ林が見られる河口付近のほかに、海岸マングローブ林、サンゴ礁マングローブ林がある。
・マングローブの生体破片、動物死骸、糞粒などに細菌や菌類、原生動物が結合した粒子状の有機物をデトリタスという。
・ヤエヤマヒルギ類とオヒルギ類は良質の炭として、ヒルギ科はパルプ材として、中近東ではヒルギダマシ類が家畜やラクダの飼料として利用されている。 -
湿原、泥湿地、干潟の定義、マングローブの生態系などについての入門書。