理系のための口頭発表術―聴衆を魅了する20の原則 (ブルーバックス)
- 講談社 (2008年1月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062575843
作品紹介・あらすじ
どんなにすばらしい研究成果をあげても、その発表がつまらなければすべてが台無しである。あらゆる理系学生や研究者にとって、学会発表や講演で成功するか否かは将来をも左右するのだ。米国で「講演の名手」として知られる著者がユーモアたっぷりにその経験則を凝縮した本書には、聴衆を魅了する発表のために必要なテクニックがこれでもかと公開されている。「発表」に悩むすべての人の福音となること間違いなし。
感想・レビュー・書評
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良書 アメリカの大学生・研究者のバイブルとある。TEDの理系論文発表版のようだ
わかりやすい、写真や、図表が要所要所にあって親切と感じました。
優れた思考の持ち主は、優れた発表者でもあることが多いのである。
■準備
鍵となるのは、コミュニケーションである。発表は、聴衆との対話であって、一人芝居ではない。聴衆の要望と興味を気にかけること
口頭発表術のキー・コンセプト、それは、発表者は聴衆に受け入れられるべし、ということだ
聴衆を知ること。それは、コミュニケーションを容易にし、親しく好ましい関係を作りだすのに役立つ
発表準備の次のステップは、話の概略をつくることだ。発表者はこの制限時間を超過しないこと。
60分の発表時間が割当られたら、45分から50分で話を終えるよう準備して、紹介と最後の質疑応答のt目に十二分な時間を残しておこう。
経験則としては、割り当て事案の80%の長さに話をとどめるのがよい。
発表タイトルの下に、きちんと考えた2,3の文章からなる要約をつけるように、大学院生に指導している
発表の主要ポイントと聴衆への「お土産メッセージ」に、明瞭に焦点を合わせていることが保証される。
発表の内容を短い時間で簡潔に説明できなければならない
自分のセミナーを、二言三言で即座に要約できるよう、常に心掛けている
三分割
①導入部:背景と展望 これから、何の話をするのかを話し、
②本題:聴衆に新たな情報を提供する核心部 そいつを話し、
③結論:発表をひと言でまとめ上げる 最後に、今何の話をしたのかを話せ
パワーポイントのスライド1枚につき、1分がめやす
発表のたびごとに、予行練習をするように心がけること
ふさわしい服装にする 伝統的な礼儀作法に敬意を払いたがらない人物に、重要な地位を与えることをためらう
■おもしろい話
演題は発表の文脈を設定する手助けになるものでなければならない
一般的な演題に続けて副題をつけ、実際に話をする範囲を限定して示すのはうまいやり方だ。
見出しと副題は、どちらも短く端的で、しかも受けがよいことに注目しよう
動詞をタイトルにいれると文章になってしまうので避けること
事実をただ集めて要約することと、刺激に満ちたおもしろい物語を語ることの間にはまぎれもない違いがある
一貫した話ができるということは、つまるところ、一貫した思考ができるということだ。
ただ一つの焦点をもち、唯一の大きなメッセージを伝える 物語はかくあるべし 決して、一つの物語をこまぎれにするなかれ
複数のトピックをまぜないこと、聴く側にとってみれば、新しいトピックへの頭を切り替えるには、相当なエネルギーが必要なのである
科学発表は単一のトピックを語り、ひとつの考えに焦点を合わせて進めるべきである
講演が説得力をもつためには、その焦点がぴたりと合い、また首尾一貫していなければならない
聴衆とうまくコミュニケーションをはかるには、大げさな物言いや、専門用語はできる限りさけるべし
結論は、常に、簡潔なひと言にまとめる
結論を述べたら、あとは、ただ、ひと言、ありがとうございました と言って話をやめよう
■視覚素材
一つの発表で、パソコンとOHPを両方使うという手もなくはない
視覚素材の最も大切な前提条件は、 ①入念に作成してあること ②単純であること ③話の筋書きに必要であること
おのおののスライドは、それぞれ、ただ一つのポイントを示し、発表全体と同様に、唯一の焦点をもつべきである
視覚的に単純化したり、題名をつけたり、短くまとめたひと言を図の下にいれるなど言葉も工夫する必要がある
スライドの文字が大きすぎるということはない
文章を出すとき、いちばんコントラストのはっきりした、白と黒がよい
統一した背景、フォント、サイズ、色でスライドをつくる
発表の終わりには、結論の一言をスクリーンに映して、お土産メッセージを強調する
まとめの文章は、常に、簡潔にして的を得たものにする
複雑な図表を単純化するためには、①一連の単純化した要素へ分割することが必須である ②色をうまく使うこと、要素を色分けし、一連のスライドで、一貫した使い方を保てば、聴衆の理解を助ける
忘れてならないのは、視覚手段も結局は発表の伴奏にすぎないことだ。発表の主役はいつでも、科学的メッセージである
パワーポイントのスライドのデザインは、控えめで抑えた背景を選び、発表全体で一定のトーンを保つようにする
背景はオフホワイトかブルーの背景がよい、オレンジ、ピンク、黄色は見にくい
文章のフォントと色は、発表全体で一葉にし、十分大きくして遠くからでもよく見えるようにする
切り替え効果は、ワイプがよい、派手な効果はさけたほうがいい
どんな環境で発表できるかがわからないので、インターネット接続は避けたほうがいい
PCで発表するとき、パワーポイントのバージョンや、PCの種類を確認しておいたほうがいい、バックアップとして、USBと、CD-ROMを用意することにしている
配布物をつかうなら、①発表を補助する文章 ②発表終了後に読むための文章 であるべき
■話し方
発表の成否は話し方にかかている。声、視線、ポーズ、ジェスチャー、情熱にかかっている
話し方がしばしば忘れがたい印象を残す
とにかく何度でもリハをすること、また、話す言葉が聞き取りにくくても、スライドに物語の大半を伝えるように構成すること
大声をだすこと、そしてマイクがあれば必ず使え、そしてはっきり発音すること
観客と目をあわせること、それが、力強い話し方の一要素である。
ゆっくり話せ、ゆっくり構えて、普通に会話するときの速さを越えないようにする
話し言葉でどこかを強調したいなら、①声の大きさを変える ②語句を繰り返す ③間を置く
姿と身振りにも、抜け目なく気を配る
もっとも残る印象を与えるためには、自分の姿が、ちゃんと見えるようにしなけばならない。
ひとつの位置にとどまらないこと、ときどき場所を変えて、できれば演壇上を歩き回る
話当人が発表内容に対する興奮を持ち合わせていなえれば、聴衆のひとりにすら興味をもたせることはできない。情熱こそ、武器だ。
質問は、発表者の都合でうけつける、話の途中で受け付けてもいいし、発表が終わってまとめて受け付けてもいい。
目次
はしがき
訳者まえがき
序論 どんなにすばらしい研究もダメ発表がダメ研究にする
第1章 いかに準備すべきか
1 発表は聴衆との対話
2 時間配分の原則とは
3 確認とリハーサル
4 当日に準備すること
第2章 「面白い話」の構造
1 まず「展望」を示せ
2 「本筋」と「ノリ」
3 「論理的」に話すには
4 結論の述べ方
第3章 視覚素材にこう使え(使うな)
1 パソコンを使うなら
2 そのほかの素材
3 ポスター発表の心得
第4章 「話し方」の技術
1 声で魅せろ
2 視線で魅せろ
3 情熱こそ武器だ
ISBN:9784062575843
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:229ページ
定価:900円(本体)
発行年月日:2013年03月01日第9刷詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
挿絵に出てくる作者と思しきオッサンが素敵。
プレゼン1ヶ月前に読んで準備に活かし、
3日前に読んで練習に活かし、
最後に前日夜〜当日の移動中に読んで確認する。
3回読むだけで発表のクオリティが上昇しそう。
文系ですが十分役立ちました。 -
£4.50
新品同様
【定価:880円(税抜)】 -
発表はコミュニケーションである。1人芝居ではない。聴衆のニーズを絶えず自問し、時間配分を考え、ストーリーを構成して話さなければならない。かける時間は重要性を反映させるべきだ。
発表内容は、正確で完全で、そして明瞭に表現されなければならない。リハーサルを怠らず、リラックスし、適切な服装で臨むこと。勢いやノリは重要だが、それはただ単に論理を積み上げてゆくだけでは生まれない。適切に脇道を固めていくことは重要だが、やりすぎると焦点がぼけてしまう。最小限にとどめ、本筋を絶えず明確に再確認すべきだ。
図は効果的だが使いすぎはやはり禁物である。結論をはっきり示すべきであり、展開に機能を果たす図のみを厳選しなければならない。具体的なモノを見せて説明するのは幼稚な手法だと思うかもしれない。だが小道具が聴衆に与える効果は、老若男女を問わず絶大である。
そして重要なことは話し方である。声、視線、ポーズ、ジェスチャーをうまく使うことは、平凡な発表を熱意あふれる忘れがたい発表に変える。科学的な成果の学術発表でさえそうなのだ。ビジネスプレゼンであればなおさらだろう。聴衆にインパクトを与えるためには、沈黙、すなわち「間」も効果的である。沈黙は言葉を聴衆に染みこませる効果を持つ。黙ってただ相手を見つめることは発表者にも勇気がいるだろうが、うまく使えば言葉にまさる。
単に話すだけでは聴衆は聴き続けてはくれない。講演は「公演」でもある。スクリーンに向かって話し続けてはいけない。聴衆を情熱と興奮で魅了せよ――。
この手の本に書かれていることは概して同じだが、絶えず繰り返し頭に入れておくべきことが簡潔にまとめられている。
熱意にあふれ、論理明晰で優れたプレゼンテーションは、聞いていて気持ちがいい。発表に感銘を受けるだけではなく、聞いているだけで自分の頭の働きまで良くなったような気がするものだ。そうなればプレゼンは勝ったも同然だろう。
重要なことは、これらが「技術」だということである。つまり、学んで身につけることができるのだ。外国人の発表がいくらうまくても、彼らだって、最初から発表がうまいわけではないそうだ。本書のような教科書で学び、トレーニングし、実地で経験を積むうちにうまくなっていくのだ。もちろん持って生まれた性格によって得意不得意はあるだろうが、それを乗り越えることは可能なのだ。 -
※2008年購入
2008.3.7読書開始
2008.3.24読了
2008.10.12売却済み -
理系の大学院生だが、あまり参考にならない部分も多かった。
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自己啓発
サイエンス -
人前で話をする研修があったので、家にあった本書を読んでみた。
たくさんプレゼンをする人には当たり前のことかもしれないが、
改めて、「そうなんだ!」ということが多く、とても勉強になった。
理系の研究者に限らず、プレゼンをする機会がある人は、読んでおいて損はないかと思う。
私も研修はまずまずだった・・・はず。
ただ、最後の締めの言葉「スタイルで魅せろ!」というのは、
単に原著のタイトル“Dazzle'em With Style!”を訳しただけで、
太字にするような意味のある言葉ではない。
[more]
(目次)
はしがき
訳者まえがき
序論 どんなにすばらしい研究も、ダメ発表がダメ研究にする
第1章 いかに準備すべきか
1 発表は聴衆との対話
2 時間配分の原則とは
3 確認とリハーサル
4 当日に準備すること
重要ポイント 準備における10の原則
第2章 「面白い話」の構造
1 まず「展望」を示せ
2 「本筋」と「ノリ」
3 「論理的」に話すには
4 結論の述べ方
重要ポイント 話を面白くする4つの原則
第3章 視覚素材はこう使え(使うな)
1 パソコンを使うなら
2 そのほかの素材(ビデオから黒板まで)
3 ポスター発表の心得
重要ポイント 視覚素材で効果をあげる3つの原則
第4章 「話し方」の技術
1 声で魅せろ
2 視線で魅せろ
3 情熱こそ武器だ
重要ポイント 「話し方」で魅せる3つの原則
付録A 発表のチェックリスト
付録B 評価シート