ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか―工学に立ちはだかる「究極の力学構造」 (ブルーバックス)
- 講談社 (2012年4月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062577687
作品紹介・あらすじ
ワイヤ駆動のヒューマノイドが、実はウマにそっくりだった!自走するお掃除ロボットは「生きた化石」に酷似していた!ガラスを割らずに掴むロボットハンドが似てしまった、人体の意外な一部とは?技術の粋を詰め込んだ先端ロボットが、なぜか生き物の体構造に近づいていく-。工学の視点から初めて見えてくる「生体」の精巧な力学構造を解き明かし、生き物の限界を超えるロボット機構学の挑戦を語る。
感想・レビュー・書評
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548-S
閲覧新書 -
著名なロボット工学者の鈴森康一先生の著書。鈴森さんの研究は25年以上前に一度学会で聞いて大変面白いものだと思い、その後はたまに論文を読む程度だったが、現在私が進めている競走馬のことにも触れていて興味深い。発想を転換する、なぜそのようなメカニズムになっているのか?の根本的な理由を考える、ということにおいてとてもためになった、
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ロボットと生物がなぜどう似ているのか、力学的、幾何学的に簡潔に解説されている。工学的技術的な解説も多く含まれるが、生物の形や動作は日常の知識や体感でわかるので、その辺りの分野に詳しくなくても読みやすい。特に、似ていない点(なぜ生物には車輪構造がないのか等)に関しては、類似点に比べ話題になりにくい点でもあり、新鮮で興味深かった。脱線するが、J・P・ホーガンの「内なる宇宙」を読み返してみたくなった。
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生き物に似てしまうロボット
力学と幾何学の制約
力学・・・サイズと強度(大きさが増えると断面積は2乗倍、重量は3乗倍)、歩く時の重心(支持多角形の内側に重心を納める動き)
幾何学・・・関節の自由度、人間の関節の冗長度
腕の先端を決めるのに3次元+先端の向きを決めるのに3次元でつごう6次元がマジックナンバー。人間は1次元多いので腕の先端の位置を変えずに肘を動かしたり出来る。
筋肉がモーターで腱がワイヤー
ロボットに真似させたい生き物の特徴
筋肉・・・出力高い、やわらかい動き ロボットは電磁モーターか空力が多い。
微細構造・・・構造色とか、水を撥ねたり
やわらかい動き、コンプライアンス
コンプライアンスがないせいでロボットは中腰のまま立てる。人間は筋肉が疲れてしまう。
筋肉は増速機を使っている(逆梃子)。バックドライブによる微調整⇔ロボットは減速機のギアで電磁モーターの回転からトルクを高める。
冗長な二関節筋、しかしそのおかげでキャッチボールが出来る
MEMSや自己組織化で段々と模倣が可能になってきた
それでも違う生き物とロボット
金属やプラスチック・・・生物は現地生産方式なので使えない。ロボットは高熱や圧をかけて材料を加工できる。
車輪・・・末端部への栄養補給が。。。 -
ロボットと生き物の意図せざる共通点。その事実と,背景にある力学的,幾何学的な理由が紹介されています。また「生き物を超える」ロボット作りについても,独自の発想や試みが語られています。ますますロボットが好きになりますよ。
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工学の視点から「生体」の精巧な力学構造を解き明かし、生き物の限界を超えようと試みるロボット機構学。エンジニアの発想vs.自然界の創造力。
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科学者が一生懸命知恵を絞って考えたロボットの構造が、実は既に生物に備わっていたという例が元文系の私にも分かりやすい言葉で書かれてて面白く読めました。