- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062578363
作品紹介・あらすじ
すべては真空から始まった!
ピーター・ヒッグスと南部陽一郎が挑んだ「奇妙な空間」の正体とは?
何もないはずの空間がざわめき、「無限のエネルギー」を生み出す――。
光さえ存在しない真っ暗闇の「無の世界」で、
無数の粒子たちが生成・消滅を繰り返していた!
「質量の起源」と「宇宙の進化」に不可欠な「真空のエネルギー」とは何か?
ヒッグス粒子誕生の秘密からカシミール効果まで、
謎に満ちた空間のふしぎを、わかりやすく解き明かす。
【著者プロフィール】
山田克哉(やまだ・かつや)
一九四〇年生まれ。東京電機大学工学部電子工学科卒業。米国テネシー大学工学部原子力工学科大学院修士課程(原子炉理論)、同大学理学部物理学科大学院博士課程(理論物理学)修了。Ph.D.。セントラル・アーカンソー大学物理学科助教授、カリフォルニア州立大学ドミンゲツヒル校物理学科助教授を経て、ロサンゼルス・ピアース大学物理学科教授に就任。二〇一三年六月に退官。アメリカ物理学会会員。主な著書に『原子爆弾』『光と電気のからくり』『量子力学のからくり』(いずれもブルーバックス)などがある。一九九九年には、講談社科学出版賞を受賞した。
感想・レビュー・書評
-
コメント0件をすべて表示
-
『真空』というタイトルだけ見て買うと痛い目を見る典型的な本です。実験屋さんだと装置の真空を思い浮かべるかもしれませんが、本書はバリバリの素粒子の本です。
非常にわかりやすく、かつ数式を使わずによくここまで素粒子を説明できるなと感心します。著者のからくりシリーズは当たり外れがありますが、これは当たりです。
大学は理系だったけど、素粒子に興味がある人は多分読めます。そうでない人はちょっと難しいかもしれません。この本だけではないですが、素粒子の啓蒙書は一般向けと言われててもやはり難しいです。 -
真空に起きた自発的対称性のやぶれから素粒子が質量を獲得する。真空が単に何もない空間ではなくエネルギーの揺らぎを発生させる空間であることをわかりやすく説明する。しかし、後半に話が進むとだんだんと頭が混乱してくるな。
-
強い力、弱い力、電磁気力の説明が分かりやすい。私は、特に弱い力の説明が気に入っています。
-
「質量の起源」と「宇宙の進化」に不可欠な「真空のエネルギー」。ヒッグス粒子誕生の秘密からカシミール効果まで、謎めく空間のふしぎを解明。
-
最新の理論物理学では、真空はからっぽの空間ではなく、絶えず揺らぎにより仮想粒子が発生する空間である。最新の素粒子物理学をできるだけわかりやすくという著者の意図が伝わる好著。
ヒッグス粒子の発見により注目を浴びてはいるが、やはり直感的理解が難しい。
ただ、自発的対称性の破れによる真空の相転移、そこから質量が生じる過程については、すこしだけそのイメージを持つことができた。
それにしても不思議な世界だと思うとともに、そのことを解明し、その先に進めていることについても畏敬の念を感じる。 -
ヒッグス機構とヒッグス場、ヒッグス粒子の違い、質量の起源などを真空を切り口に段階を追って丁寧に説明した本。量子力学を学んでいると本書の記述はより正確に理解できるだろうが、分からないとなんとなく煙に巻かれた感じになるかもしれない。
・場と仮想粒子
・場の振動と実粒子の発生
・現在の宇宙ではヒッグス粒子は存在しないが、ヒッグス場は存在する
・パートンと電子の衝突によって、1968年、クォークとグルーオンの実在が証明された。
・物質の割合
・電荷、色荷、弱荷、質量
・不確定性原理と仮想粒子。ゲージ場
・反粒子はマイナスエネルギー。相対性理論から。
・ゲージ粒子が質量をもつと対称性が破れる。
・アイソスピン。陽子と中性子
・スピン角運動量はエイチバーの整数倍がボーズ粒子、2で割った値はフェルミ粒子
・弱アイソスピンのZ成分が弱荷。クォークもレプトンも持っている。
・温度と相転移
・ヒッグス場はスカラー場で、発生源のない場
・ヒッグス粒子は4種類?
・弱荷を持たない光子とグルーオンだけがヒッグス場とは作用せず、質量ゼロ。
・クォークの質量の内訳