つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線 (ブルーバックス)

制作 : 理化学研究所 脳科学総合研究センター 
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062579940

感想・レビュー・書評

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  • 「つながる脳科学」
    理化学研究所の脳科学総合研究センターの研究員による脳科学研究の紹介である。
    9人の研究員により、記憶、時空間の認識、シナプスによる情報伝達、嗅覚のメカニズム、数理モデルと脳、感情と神経回路、脳研究のテクノロジー、脳と心の病気、親子関係と脳についての研究内容がそれぞれ紹介されている。
    そんなことまでわかるのかという反面、脳全体の研究という意味ではまだまだだという感じがする。
    とはいえ驚いたのはその実験方法の一つである。
    遺伝子改変マウスで特殊なタンパク質をニューロンに発現させ、そのニューロンに光を当てるだけで好きなタイミングでニューロンを興奮させたり抑制させたりする技術である。
    そういえば、テレビで頭に電線がつながっているマウスを見たことがあるがあれがそうだったのかと今さらながら思い出してびっくりした。もっともとても人間には適用できないが。
    マウスを使っていろいろ研究が進み、基本的な脳の機能は次第にわかってくるかも知れないが、果たしてどこまでわかるのだろうか。そして、それは人間にどこまで適用できるのだろうか。最終的には認識や思考まで解明することができるのだろうか。
    結局のところ医療分野での応用を除けば、人間もただの有機物による機械と同じだと言うことがわかるだけのような気がする。

  • 相当難しいことを、かなり分かりやすく書いてある印象。それでも自分にはちょっと難しいところもあったけど。脳ってまだまだ未知の世界なんですね。長い時間をかけて進化してきた生物の神秘。流行りのAIとは別物なんだなぁって思いました。またいつか再読して理解を深めたい一冊です。

  • ミトコンドリアDNAの変調が双極性障害に関連している可能性や、メスとの同居によりオスの子育て行動を促す部位が攻撃行動を促す部位を抑制する検証結果など、興味深い知見。社会性や愛情といった人間の営みを聖域化してそれらへの脳の関与を追求しないことは、社会性の上に生じる諸問題の解決を回避することになるのでは、という見解に考えさせられる。得られた知見をどう生かすか、科学者のみの責任に帰する問題ではなく社会が引き受けるべき問いであろうことを再認識。

  • 理研脳科学総合研究センターの研究者達が、
    脳科学の最先端の研究成果を解説した書。一般向けとのことだが、やはり専門的過ぎて分かりにくかった。まあ、脳科学が着実に進歩していることは分かったのだが…。

  • 最新の脳科学についていろいろとわかります。

    ただ各章をそれぞれ違う人が書いているのでちょっと読みづらい。

    専門的な話も多く全てを理解はできませんが脳科学に興味がある人にはとても興味深い内容です。

  • 割と本格的な研究や実験について述べられている本なので、気軽に読めるものではなかったが、それでもわかりやすく、エッセンスを読者に届けようとする構成であり、興味深く読む事ができた。
    まだまだ解明されていない部分が多い脳だが、最先端の研究では結構細部まで調べることができているようになってきていることを知れて、今後の展開に期待したい。

  • ノーベル賞の利根川進さんをはじめ、第一線の脳科学者たちが、わかりやすく、脳の中でなにがおこなわれているか、研究の最前線を説く。とくにおもしろかったのは、どのような実験をしてどのような結果があり、それをどのように解釈して次に進むかという過程が書かれていて、発想の豊かさや、苦労が見られる。日経の書評で見て面白そうだったので購入。

  • 理研の脳科学総合研究センターという研究所の9人の専門家による、脳科学の最先端を紹介した本。
    読めば読むほど、知れば知るほど、脳は神秘的で、不可思議、分からないことだらけ。それでも真実を解明しよう、病気の謎に迫り治療につなげたいとする専門家たちの思いが本書を通して伝わってくる。

  • 日本にはブルーバックスがある。本書は、日本における脳科学の研究施設である理科学研究所の脳科学総合研究センター(BSI: Brain Science Institute)の研究者が、創立20周年を機にその研究成果をまとめたものだ。こういうものを一般人に届く新書で出せるのはブルーバックスさんしかいない。研究者の人にとって自分の研究を一般の人に届ける手段があることは励みになることではないかと思う。複数の研究者の方々によって書かれたこの本はその限界もあり、とても素晴らしいという程ではないが、偉そうに言うことではなく、熱意も感じられるそれなりな本に仕上がっている。

    「アルツハイマー病」が少なくともその初期段階では「記憶が失われた」のではなく「脳のどこかにある記憶をうまく思い出せなくなった」と言うのがちょっと怖い今日この頃。その話も含めて第一章の記憶の話は面白かった。記憶の研究は「New Era」に入ったという。記憶だけではなく、脳を調査するツールが大きく進歩したこともあって、新しいことがこれから次々とわかるようになるのではと思った。

    とにかく、日本のブルーバックスって出版の中で特異な位置を占めているな、と強く思った次第。

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