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- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062582049
作品紹介・あらすじ
「叩かれて昼の蚊を吐く木魚かな」俳句、落語、古今東西の文学を駆使して漱石は明治を笑う。金権主義を風刺する『猫』。学校を笑う『坊っちゃん』。『それから』にこめられた文明開化へのまなざし。魯迅の笑いとの比較を通じ、漱石と彼が生きた明治という時代を捉え直す。
感想・レビュー・書評
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夏目漱石の作品におけるユーモアの性格について論じた本です。
『吾輩は猫である』を中心に、『坊つちやん』『虞美人草』といった初期の作品を主としてとりあげ、そのなかに見られる漱石のユーモアの特徴について考察をおこなっています。著者は、江戸文化の地口と、古今東西の文学・芸術・思想についての幅広い造詣が漱石のユーモアの背景にあることを指摘するとともに、日本における「近代」の受容という問題が、漱石のテクストのなかでさまざまな「笑い」をつくり出していると論じています。
そのうえで著者は、後期の作品にはユーモアが消え、「近代的自我の創出」というテーマが、真面目に、かつ深刻にとりあげられるようになったといい、さらに魯迅の作品における「笑い」との比較を通して、おなじ東アジア圏において西洋の「近代」と向きあい格闘することになった日本と中国のありかたのちがいについての考察へと議論をつなげていきます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こちらは中国の方が書いた漱石論文。魯迅と漱石の比較が面白い。
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