自己を失った少年たち: 自己確認型犯罪を読む (講談社選書メチエ 228)
- 講談社 (2001年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062582285
作品紹介・あらすじ
「自分の姿が自分自身で感じ取れない」不安。"自己の病理"を抱える少年少女たちはどこへ行くのか。他者の欠如、自己の空虚感がストーカーを生み、凶悪犯罪を呼ぶ。現代人の病理を映し出す自己確認型犯罪を手がかりに、彼らの心の深い森にわけいる。
感想・レビュー・書評
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大量殺人犯を精神医学的に分析した本。高一の時読んで、当時は感動したが今思うと心理学と精神医学の連携の必要性を感じさせる本でもあった。
また、理解が不十分なところもあるので心理学を一通り勉強した後、再読して評価したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
多発する凶悪な少年犯罪の犯人達は、一体何を考えて事件を起こしたのか。「空虚」をキーワードに心理学的観点から時代の病理を探る一冊。
鹿爪らしい解説を序盤から展開している割りに、具体的事件と照応しながら記述がされる中盤以降は他の若者論とあまり大きな違いが見られない。序盤、心理学における「自己」の展開を叙述した部分は興味深かったが、どうにもこうにも読みづらい。
そもそも「多発する凶悪な少年犯罪」という文言自体、語弊があるような気がするのだが。本書で扱っている自己確認型、ようは「遊び半分の」犯罪を動機に対する結果の比率から凶悪と呼ぶのなら判らなくもないがややミスリード。凶悪な少年犯罪は事実増えているのだろうか?
加えて序盤に村上春樹、終盤に森鴎外の作品解説が入っているのが不思議である。現代の若者が好む作家村上春樹、近代的な自我の確立期にあって先見の明を持った森鴎外、と、そのまますとんと言ってしまっても良いのだろうか。特に前者に違和感を覚えるのは、出版が2001年で少々時間が経ってしまったからだろうか。