- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062582636
作品紹介・あらすじ
横行するテロ、不吉な彗星の出現。晒し首見物と「ええじゃないか」に熱狂する刹那的な民衆-。「夜明け前」の京都は、門跡寺院坊官の目にどう映ったか。新発見の日記にあふれる好奇心を読む。
感想・レビュー・書評
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本書によれば、実相院は「もとは天台宗寺門派の寺院」で、「実相院門跡とも岩倉門跡とも呼ばれてきた」名刹。藤原兼基(鷹司家)子息、静基権僧正開基であるという。
その坊官と呼ばれる下級貴族が書いた日記が「実相院日記」であり、260年余りにわたり、書き続けられていた。
特に幕末の日記は、公家と武家どちらの情報も迅速に入るという門跡寺院ならではの事情や、書き手となった松尾刑部が若くて絵も達者であったことから上は天皇・貴族・幕府から下は町人の噂話や町中の様子までが詳細に書かれている。また、他の坊官と異なり、後日譚なども朱筆で書き加えるなどの工夫を凝らしている。
しかし、明治に入ると情報源から遠くなり、太政官布告や新聞などの引き写しが増えるなど、坊官たちの仕事が時代から取り残されていく様子がよくわかるという。
日記の一部が挿図写真にあるが、非常に端正な文字で読みやすい。
控えというのではなく、正式な業務日誌として書かれたものなのだろうか。
末尾にほんの少し、俳優の近藤正臣さんについての豆知識という感じの記述がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書著者は慥か国文の人ではなかったか。史学の面からも日記本体の翻刻を望む。
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変わった視点から読めるのは良いのだけれど…作者、ちょっと言葉の選び方に配慮が足りない。
殊更侮蔑する気も無かったのだろうけれど、普段見下してるだろう裏が見えて嫌。 -
2008.3.14