知の教科書 スピノザ (講談社選書メチエ)

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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062585958

作品紹介・あらすじ

17世紀のオランダの生んだ大哲学者・神学者スピノザの著作は、その進歩的思想により、刊行当時禁書とされました。
18世紀後半になると、「汎神論論争」が起こり、スピノザの評価が大きく変化します。ヘーゲルは、スピノザがあらゆる哲学の出発点となったと宣言し、ニーチェはスピノザに先駆者の姿を見出しています。二〇世紀、フロイトやラッセル、アインシュタインもスピノザを評価しています。二〇世紀後半には、スピノザ・リバイバルが起こります。これはフロイデンタール、ゲプハルトらによる初期の歴史研究、原典研究に依っています。バリバール、ネグリ、ドゥルーズなどの現代思想家たちも影響を受けています。スピノザの思想の重要性は、現代において増大しています。
しかし、スピノザの思想は、ハードルの高いものです。というのもスピノザの思想は、形而上学、精神哲学、認識論、倫理学、政治哲学といった哲学的主題から、宇宙論や心理学、物理学までと幅広いこと。そして主著『エチカ』は、中世後期のスコラ哲学の語彙で書かれ、「幾何学的な秩序で」提示されることからも、大変難解です。
本書では、スピノザの生涯と思想形成をたどり、『エチカ』『神学政治論』『国家論』といった主要著作の概要がつかめるように、おおきくまとめて語られます。スピノザ入門(初級・中級)の決定版です。

感想・レビュー・書評

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  • 「エチカ」を精読するうえでの頼れるガイドブック、といった書である。逆にいうと、一冊でスピノザの思想をまるっとわかりたい、という私のような初心者には向かないかもしれない。

  • 少しずつ読み込んでいきたい。
    キリスト教下での禁書処分になるような考察、思想は現代のわたしたちにも財産となるのか

  • なかなか辛い文章構成、わかりにくいダラダラ文が多い。これだけで概要掴むのは無理かも。

  • 本書をこれ単独で通読することは、作業的な意味で辛い、と言わざるを得ない。カッコ書きや、殆ど意味の無い反復が極めて多く、とてもではないが洗練された文章構成ではないため、度々読み疲れを感じるという理由がある。
    しかし、エチカ原典と本書を同時に開き、箇所を対照しながら読むと、役に立つように思う。本来そのような使い方が望ましいだろう。
    また、スピノザに限らずこのあたりの哲学書全般は、ほぼアリストテレス哲学の基礎部分を理解できていないと読めないが、各所で不必要なくらいにその説明が入っている点では入門的である、と評価できる。さらに時々、他の西欧哲学者との思想の比較を、地政学的文脈まで踏まえて描いている点については、なかなか良い材料だと思う。
    本書序文には「哲学そのものについて全く予備知識がない読者も対象とする」とあるが、哲学そのものについて全く予備知識がない読者が、本書を読んでスピノザ哲学が理解できるかは、総評として余り自信がない。

  • 「エチカ」読了後、知識の整理のために購入。「エチカ」については著者が重要と考える定理のみを抽出のうえ解説し、その後で他の哲学者との比較や時代背景が語られる。各定理の説明については原著の単なる言い換えに終始している箇所が多く、正直なところあまり理解の助けにならなかった。一方、他の思想家との比較はかなり充実しており、定番のデカルトの二元論やカントの物自体との比較、アリストテレスをはじめとするスコラ学の影響についての解説は納得できるところが多かった。残念なのは、スピノザが与えた現代的な影響についての記述が、後記でわずか3ページ足らずに圧縮されてしまっていること。ここはこの何十倍かの分量で読みたかった。

  • 『エチカ』についてもけっこう詳しく解説してくれているので読みながら『エチカ』を読みたい欲望を刺激された。ので途中で放棄して『エチカ』を読むことにした。

  • エチカのおすすめの読み方という、表で各章がまとめてあるところが特に便利。

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