セックス・イン・ザ・シー (講談社選書メチエ)

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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062586597

作品紹介・あらすじ

2016年に出版され、大ベストセラーとなった話題の書、ついに邦訳刊行!
海の生物たちがどんなセックス・ライフを送っているのか、知っていますか? サンゴ礁の専門家が書いた本書では、さまざまな海中生物の性生活がドラマチックかつロマンチックに描き出されます。印象的なロブスターについてのくだりから。
「オスの前に立ったメスは、厳かにはさみを持ち上げ、オスの肩にそっと触れ、続いてもう片方の肩に対しても同じ動作を繰り返す。この合図は何らかのメッセージを伝えているように思われる――「今さら私を捨てたりしないでね」と。向かい合ったオスとメスは、互いに大量の「黄金シャワー」を浴びせる。その後、メスは隠れ家の奥に移動し、脱皮に移る。
メスの脱皮には最長で一時間あるいはそれ以上を要するが、メスが最後まで残った殻を脱ぎ捨ててからちょうど三〇分後、本番が始まる。ロブスターの交尾の様子は驚くほどロマンチックだ――ただし、時間は短い。メスの魔法にかかったかつての暴君は、心優しい恋人に変貌する。メスの脱皮が終わるとすぐ、オスは閉じたはさみを海底につけ、覆いかぶさるような姿勢でまだ体のやわらかい相手を守り、時には触角でそっとさすってやる」。
──人間の男女間で繰り広げられるドラマと見紛うばかりです。本書では驚きを誘う海中生物の姿が次々に紹介され、飽きることがありません。
しかし、著者は単に興味本位で本書を書いたわけではないことが徐々に分かってきます。
「私たちが魚を食することができるのは、その魚の餌になる微小な甲殻類が短い周期で繁殖してくれるおかげだ。……――その豊かさの源にあるのが、たくさんのセックスなのだ」。
そして、著者はこう断言するのです。
「海における性の営みが破綻すれば、人間も破綻する。水中で何が起きているのかを知ることが、地上の私たちにとって大切なのはそのためだ」。
興味を惹かれる「セックス」という入口から入って、とりわけ日本人にとっては欠かせない食物を提供してくれる海の大切さを認識すること。そして、海の生物たちを守ることに思いを致すこと。本書は、そんな大きなテーマにいざなってくれる、忘れられない1冊になるでしょう。

感想・レビュー・書評

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  • おしゃれな表紙にそそられるタイトル、気になるじゃんと手に取りました。大真面目な本です。おしゃれな雰囲気で素人にも分かりやすいように海の生き物の生態を紹介しています。
    種の存続のためにはセックスが必要不可欠なんです。これがなきゃ始まらない。ところが人類の環境破壊のせいで、セックスができない!生き物が数を減らす。人間の食糧も減るし、生態系のバランスも崩れてしまう。
    こんな具合におしゃれな文章で素人の注目を集めて、不思議な海の生き物の生態を説明しつつ、真面目に問題提起をし、最後にはあぁ、私は持続可能な社会を作るために何ができるのだろう、と読者に考えさせる良い本です。

    面白いです。1つ2つエピソードを覚えておけば、お酒の席で話すのにちょうど良い雑学になると思います。

  • ふむ

  • 請求記号 481.72/H 32

  • 海の中の生き物の驚きに満ちたイトナミ。
    ロブスターのメスは何度でも処女になれる!

  • 「あんたも好きね!」…では、なくて。
    海の生き物たちのXXXについての話。
    ビックリすることいっぱいで、楽しめる。最後は、考えさせられることもあり。

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