沈黙の艦隊(8) (講談社漫画文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062604208

感想・レビュー・書評

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  • はじめてこの作品を読んだ頃、大滝党首のいう「やまと保険」の仕組みがよくわからなくて、何度も考え込んだのを覚えている。今読んでも僕の浅い知識ではもうひとつイメージがはっきりしないけど、まったく新しい発想の安全保障だという印象は強い。現実のものにならないのは、やっぱり実際には無理があるからか、これだけも覚悟を決めることが実際には誰もできないからか。大滝の魅力は、こういう奇想が出てくるところと、それをきわめて魅力的に語り人を納得させていくところだろう。テレビ討論会での、最後の彼の発言は、取りようによっては何もいっていないことになるのかもしれないが、僕にとってはとても魅力的だ。

    コミックの中とはいえ、これだけ堂々とした選挙を見せられると、なんだか悔しくなる。悪役扱いの海渡幹事長でさえ、彼の心の中にあるのは私心ではなく、日本をどうしていくのかという切実な危機感であり、そのためには汚名をきることを覚悟さえしているのだから。

    イギリスのロイド保険の役割などをみていると、少し前に登場したフランスと同様、さまざまな国を定義づけをして、物語の中に取り込んでいることがわかる。よくできているし、いい感じだ。

  • ここまでは連載時に読んでたので再読。当時とは全然世界情勢の違う今読むとまた違った感じ。これからの展開が楽しみ☆

  •  「核」と平和をテーマに展開される、戦争・政治・国家……全ては人間の、人間臭さに通じるドラマを8年かけて描いた、わずか2ヶ月の物語。

     民自党から分裂した新党、鏡水会党首、大滝淳は北極海で『やまと』艦長海江田と会談を行う。全世界に報じられたその会談で大滝が口にしたのは、「やまとに保険をかけること」。本来、沈むことが前提の軍艦に保険はかけられない。大滝が「新たな安全保障」と位置づけた保険はどうなるのか?

     竹上の新民自党、海渡の民自党、大滝の鏡水会、そして、河之内の革新連合。4つの政党は、やまとを認めるかどうか、どのような理想・思想で、どのような手法で政治を行うか、それぞれの主張を中心に選挙戦を繰り広げる。数時間に及ぶ党首討論を経て、“雪の”投票日、そして首班指名を迎える。

     海渡「日本で政変が起こるときに雪が降るというのは本当だな」
     竹上に語りかけたこの言葉の意味は!?

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著者プロフィール

1948年、広島県尾道市生まれ。本名は川口開治。明治大学で漫画研究会に在籍、在学中の1968年「ヤングコミック」掲載の「夜が明けたら」で漫画家デビュー。卒業後は本格的に劇画作品を執筆、竹中労とのコンビでは本作のほか、「博徒ブーゲンビリア」などを描く。「ハード&ルーズ」で人気を得、87年「アクター」、90年「沈黙の艦隊」、2002年「ジパング」で講談社漫画賞を3回受賞、2006年には「太陽の黙示録」で小学館漫画賞と文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受けるなど、五十年余にわたって第一線で活躍する。他の代表作に「イーグル」「僕はビートルズ」「空母いぶき」など。

「2023年 『黒旗水滸伝 大正地獄篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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