- Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062616546
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
母が失踪してしまい、失意の父と母の思い出のいっぱい詰まったケンタッキーの田舎の農場からオハイオ州のユークリッドへ引っ越してきた13歳の少女サラマンカが、母を追って祖父母とオレゴン州ルーイストンへ旅をする。アメリカ大陸横断の旅で、ラッシュモア山やイエローストーンなど名所も出てくるので、ロードムービー的な楽しさがある。
しかし、そもそも20年も前に出版された本をなぜ読もうと思ったかというと、シャロン・クリーチというこの作者がニューベリー賞とカーネギー賞を取っていることに興味を持ったからだ。そんな作家はいないから、かなりいいのではないかという期待をもって読んだ。期待しすぎると、そうでもなかったということが多いのであるが、これは期待を裏切らなかった。
まず本のそでの部分にあらすじが書いてあるのだけど、読んでも具体的にどんな話か全くわからない。読んでみたら、書いてある通りなのだけど、読んでいないと意味がわからないというのは、表紙の絵も含め、日本の読者にとっつきやすいとは言い難い。いい本なのに惜しい。
引っ越した先には父と親し気な女がいて、もちろん主人公はこの女に悪意を抱く。母がいなくなって間もないのに、父を誘惑して、愛する農場まで奪ってしまったと。その女の家の隣に住む少女が学校で同じクラスとなり、その少女の家庭でも、怪しい男が現れて、母が失踪してしまう。主人公自身の物語と、友人の少女の物語、そして旅物語が同時に語られるので、読むのが苦手な子供は挫折しそうな気もする(名前がそこそこたくさん出てくるのもハードルが高い)が、そこが大丈夫なら面白く読めると思う。
どんでん返しもあり、ドラマティックであり、インディアンの警句もぴったり。思春期の少年少女だけでなく、親、そして祖父母の心のありようまで描く。おまけに先住民の血を引く母の自然に対する思い、アメリカ各地の様子(そこでの出会いもある。特にサウスダコタで出会った少年は印象的)まで書いているのだから、相当盛りだくさんなのだが、本当にうまくまとまっている。
読み終わって落ち着いて考えれば、この旅の間に主人公が友人の話を少しずつ語るというのはちょっと不自然な気もするが、大きな欠点とは思えない。
本が好きな小学校高学年から大人に読んでほしい。
偕成社からでもいいから、もう一度出してほしい。 -
ロードムービー?
ニューベリー賞 -
「人をとやかくいえるのは、その人のモカシンをはいてふたつの月が過ぎたあと」
家を出たまま帰らない母親が旅した3000キロ。母親に会いに行くため、13歳の少女サラマンカは、このオハイオ州ユークリッドからアイダホ州ルーイストンまでのアメリカ大陸横断の道を祖父母と一緒に辿ります。退屈な旅の途中で、サラマンカは、親友フィービーをめぐる不思議な物語を語ります。旅が進むうちに、サラマンカは、フィービーの物語と祖父母との旅、そして彼女自身の物語が奇妙に紡ぎ合っていることに気づく…一連の旅を通して成長する少女の物語です。
物語が核心に迫るラスト50頁ぐらいが、とにかくすごい。バスに揺られながら読んでいましたが、涙を堪えるのに必死。まぁ、堪えられてませんでしたが…
青少年向けの作品ですが、大人になっても十分に感動できるお話です。そして、物語で登場するアメリカ・インディアンの警句。これらは、むしろ大人になってからのほうが考えさせられる言葉ばかりです。 -
アメリカの物語
-
モカシシを履く。
キスはブルーベリーの味。
思春期の女の子の心をなぞるような話。おじいちゃんの優しさが温かい。 -
小学生の頃移動図書館で度々借りて読んでた記憶が。
久しぶりに読みたくなった。 -
やはりGO WEST的な一直線逃避行が好きなんだと思う。
逃避行ではないけれど、意志ある旅だけど、やはり現在からの、過去からの逃避行だったのだ。
これにしても、やはり少女性がひきつけあったのだと思う。 -
家出した母親の真実・・・最後のほうで、あっと思わせる、心にくい構成。主人公サマランカの祖父母がとても素敵。『ルビーの谷』もそうだが、シャロン・クリーチが描く老夫婦のあり方は、実に味がある。