催眠法心とからだの治る力を引き出す本 (KODANSHA SOPHIA BOOKS 魂 9-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062690492

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  • 面倒な話である。
    M先生はこの文明の無痛化を無痛文明論で否定した。それを読んだ私は弱者と強者が存在する理由を無視できない(ならば弱者の無痛化の責任は強者が取ればいい)という感想を持った。

    この構図はM先生にとっては「だって病を無痛化しまくったキリストは結果人類に殺されたじゃん。それって殺した方も人として死んでるじゃん」となる一方で、私にとっては「責任を取った一人が神の子になるだけの話。(生命にとって、人類として成功する個体は一人でも構わない。この成功にたぶん生死は関係しない)」と例えることができる。
    つまり私が見ているのは、命は何のために使えるのかということである。

    近年見かける広告に「依頼者様とお相手様の守護霊にアクセスして恋人にさせます。成功率100%」的なのがある。或いはVRよりもより理想的な異性との性行為とそのコスパ力を謳う催眠音声や、果ては現実の相手はもとよりアニメキャラとのリアル行為まで可能なのが売りの催眠業者まであったりする(実際の相手は術者。潜在意識にリアル行為を叩き込むことで現実化も可能という理屈になっている)。推しやロスなどの概念の一般化も、人格に対して自分に都合の良い消費財以上であることからの拒否あるいは逃避という意味でこれら催眠ツガイ活動と同様だろう。

    かつてM先生は相手を人だと信じる「決意」が"このわたし"が生きていることの証明だとおっしゃった。だが一度現実化されてしまった物証には逆らえない。その考えは美しいが字面通りに捉えるにはたぶんもう古い。
    命はなんのために使えるのか。生きているとはどういうことか。私たちは何によって存在できるのか。まずここを理解しておかないと催眠はたいへんに危険な道具になる。

    さてハンター先生の危なすぎる超能力に鑑みて「全ては自分の選択である」と言い切れる先生に私がやってほしいことが二つ。

    一つは、我々人類の知力がまだ単語を理解できるのみで文章を理解できるわけではない現状を十二分に踏まえた上で「病や貧困やレイプやセクハラに遭うのは自分の選択」とか「波動が低い証拠」とか「自己管理がなっていない」とか、或いは「死んだ赤ん坊や通り魔に殺された息子やパワハラで死んだ娘や障害を持つ個体は天使」などと本気で言い出す方々(本気はよくない)に配慮して書いていただくこと。

    もう一つは、先生には現場のお医者様という理論学者にはないアドバンテージがあるのでたとえ語弊になったとしても私たち人類が意志(便宜上そう呼ぶが)を最低二つ以上有している複合生命体であると言い切る勇気をもっていただくこと。つまり我々に何が理解できて何が理解できないのかにフォーカスした上で理解させることにプライオリティを持っていただく。

    そうすれば医療分野のみならず法律や政治、倫理社会学生命科学の分野も、ともすればたぶん先生も薄々感じているように物理学も捗るかも知れない。

    そしたらとてもありがたい本になりそうです。私が。

    【まとめ】
    起こる出来事は我々にコントロールできない。だがそれに対する態度は自分で選べる。つまり全ては自分の選択でしかない。
    たとえば人体でいえば、癌細胞は生きる限りは「否応無く発生」する。だがその癌細胞を「削除する意志」が我々の命をながらえるということである。

    しかし残念なことにその「意志」は中の人(潜在意識)の管轄であり自分(顕在意識)にどうこうできるものではない。ゆえに先生たちお医者様は中の人にアクセスする方法として催眠を学び、彼の「意志」を書き換え、彼の力でもって病を治す治療法を行うのである。

    なおそのメカニズムは解明されておらず術者はブラックボックスのまま経験則でこれを扱う。また催眠にかかるには本人の「意志」の力が必要となる(この「意志」は顕在意識の、という意味だろう。先生たち催眠術師の助けを借りることも含めて)

    つまり中の人さえ動かせれば病はどうにでもなるがそれは彼のご機嫌次第であり、今のところそのご機嫌伺いをするのが私たち顕在意識と補助する先生の役目であると。また将来的にはVRでそれをすることも考えている。
    と。

    催眠で病が治ることがわかったがこんなのは米国の富裕層のためのサービスにすぎない。私のこの痛みにはなんの役にもたたない。と思って最後のページをめくったら国内で催眠療法をしてくれる場所がリストになっていた。

    しかもその多くが近所だった。

    つまり私にはお医者様にかかるためのお医者様が必要らしいということがわかった(この分野に信用できる人間が存在する可能性はかなり低いと考えてしまう私の病を治してくれるお医者様)

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