愚者の知恵 トルストイ「イワンの馬鹿」という生き方 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062724777

作品紹介・あらすじ

トルストイの名作、民話は人類共有の福音書!エゴを捨て「愚」を求めれば「智」が見えてくる。トルストイが問うほんものの生き方。

感想・レビュー・書評

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  • トルストイの名作民話は人類共有の福音書!
    鏡に映る自分の姿がはっきりと見えてくる
    エゴを捨て「愚」を求めれば「智」が見えてくる。トルストイが問うほんものの生き方!

    エゴがあらゆる不幸の原因とわかっていても、そのエゴを捨てることができないのが、わたしたち人間です。(中略)愚かなわたしたちにも、一歩だけ神に近づける方法が、ひとつあります。それが何かといえば、自分の愚かさに気づくことです。それに気づいているのと、気づいていないのとでは、大きなちがいがあります。なぜなら、人間が他者に見せるあらゆる傲慢は、強烈なエゴを持ちながら、それを自覚できないままでいる自分に対する無知に原因しているからです。自分に対して無知な人間こそが、善人のふりをしながら、他者に対して、もっとも冷酷なことをやってのけるのです。『イワンの馬鹿』とそれに連なるトルストイの作品は、どこまでもエゴイスティックなわたしたち自身の姿を、ありありと映し出してくれる心の鏡だと言えます。

    ●愚者の深い知恵
    ●「イワンの馬鹿」とはタオのこと
    ●モノを作る喜び
    ●孫よりも元気だったじいさん
    ●欲張りもせず焦りもせず
    ●足るを知る知恵
    ●ただ<愛>で生きるのみ
    ●愛のために働き愛によって生きる
    ●今をていねいに生きる
    ●彼らはキリストだった

  • 自我意識を弱く、計らいをなくす。足るを知り、今与えられている環境に感謝すること。そんな脳みそからはほど遠いけれど、自戒のためにも読み返したい1冊。

  • (☆交換可能:マーキングあり)世の中、愚直が幸せの基本にしたいです。

  • この本は、トルストイの「イワンの馬鹿」をはじめとした数編の民話を通して、愚に徹して生きる大切さを説いています。「イワンの馬鹿」から愚者の深い知恵について 、「二老人」から人に尽す幸せについて、「卵ほどの大きさの穀物」からモノを作る喜びについて 、「人にはたくさんの土地がいるか」から欲張りもせず焦りもせず生きるとについて 、「人は何で生きるか」からただ愛で生きることについて、それぞれの教訓を説いています。

    これらの作品に共通していることは、エゴイスティックな人間の姿を嘲笑的にとらえていること。エゴを捨て「愚」を求めれば「徳」という大きなものが与えられますよということを教示しています。エゴがあらゆる不幸の原因とわかっていながらも、そのエゴを捨てることができないのが人間です。愚かな人間たちにも、一歩だけ神に近づける方法が、自分の愚かさに気づくことです。人間が他者に見せるあらゆる傲慢は、強烈なエゴを持ちながら、それを自覚できないままでいる自分に対する無知に起因しています。自分に対して無知な人間こそが、善人のふりをしながら、他者に対して、もっとも冷酷なことを犯してしまいます。「イワンの馬鹿」とそれに連なるトルストイの作品は、どこまでもエゴイスティックなわたしたち自身の姿を、ありありと映し出してくれる心の鏡だと言えます。

    著者は、「イワンの馬鹿」は人類の福音書である。トルストイが神への信仰に生き甲斐を見いだすようになってから書いた「イワンの馬鹿」は人類共有の福音書であると書いています。エゴを捨て愚直で正直な生き方をすることによって、こころの鏡に映る自分の姿がよりはっきり見えると書いています。

    そっくりそういう生き方をすることは、今の世の中ではかなり厳しいことですが、愚直に今を丁寧に生きること、足るを知る知恵を持って生きることの大切さは教訓になりました。

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著者プロフィール

1950年京都市生まれ。14歳で出家し、大徳寺にて修行。34歳の時に大徳寺を離れ渡米、ハーバード大学神学部で神学修士号、ペンシルバニア大学東洋学部で博士号を取得。シンガポール国立大学大学助教授、プリンストン大学准教授、東京外国語大学教授、広島大学大学院総合科学研究科教授を経て、現在、広島大学名誉教授。日本・アメリカ・ヨーロッパ・台湾などで「ありがとう禅」を開催している。著書に『法然・愚に還る喜び─死を超えて生きる』『山の霊力─日本人はそこに何を見たか』ほか。

「2016年 『講座スピリチュアル学 第7巻 スピリチュアリティと宗教』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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