架空取引 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730402

感想・レビュー・書評

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  • 取り扱う金額が9桁、10桁ともなる
    大商いが伝票1枚で行われる。
    取引の実態やら、
    法廷内の様子などはとても面白かった。
    中年サラリーマンが
    己のためだけに復讐を企てる。
    左遷はされたものの
    デキル男の違いを見せつけられた!

  • 銀行系リース会社に勤める中年管理職の甲斐は、左遷の身だったが、八年ぶりに審査部長として呼び戻される。さっそく審査に乗りだすと、目にあまる不良債権、おかしな伝票、迂回取引の実態が浮かび上がる。会社を覆うどす黒い影の正体とは?一度は敗れた男が再生を賭け、企業悪と対決する経済サスペンス。(親本は1997年刊、2000年文庫化)
    ・第一章 着任 
    ・第二章 因縁
    ・第三章 架空取引
    ・第四章 不良債権
    ・第五章 実態
    ・第六章 疑惑
    ・第七章 尋問
    ・第八章 合併
    ・第九章 反撃
    ・第十章 弁護士
    ・第十一章 対決
    ・第十二章 送別
    ・エピローグ

    本書は、サラリーマン作家であった著者が、独立して初めての作品である。経済サスペンスの傑作として、もっと評価されても良いと思う。また、カバーの解説(上記で引用)からは本書の魅力が伝わってこないのが残念なところ。
    左遷先の九州で骨を埋めるつもりだった甲斐は、本社へと呼び戻されることになる。審査部長のなり手がなく、甲斐に白羽の矢が立ったというから、穏やかな話ではない。果たして会社の実態はどうなのか。役員の思惑、親会社である銀行の意向に翻弄されながら、再生への道を模索する様が、高任節で描かれており心地よい。サラリーマン人生に疲れた時に読みなおしたくなる1冊である。

  • 数年前に読んだ本だけど、ふと読み返してみた。

    中間管理職の悲哀も、少しは現実味を帯びた形で理解できる年になったのだろうか。

  • こんな多額の架空取引ってあるんだなぁ。って。そして正直者がバカをみちゃうんだな。

  • 001232

  • 前半がやたらと冗長で、読むのを辞めようと思ったが、後半の復讐劇は面白かったかな。

  • 『どうもサラリーマンというのは、自分の会社の本当の姿を、実は知りたくはないんじゃないかと私は疑うね。なぜだかわからんが、私が自分の健康状態を知ろうとしないのと似たようなものかもしれない。』

    リース会社で審査部長の甲斐は、不良債権が一千億円超と伝える。原因は親会社である銀行からの紹介、押し付けられた案件など。
    架空取引の実態、裁判の場面は印象に残った。

    慎重に、長い物には巻かれたい。。。

  • 主人公は、商社審査部の42歳の課長だった。
    主人公「甲斐」は、ちょうど50歳手前に設定されている。
    銀行から、銀行の子会社のリース会社(ノンバンク)へ転出。

    ノンバンクで、リースを舞台として、「架空取引」で、
    詐欺事件に遭い、大阪そして、福岡にとばされる。
    バブルが崩壊する。
    リース会社は、その中で不良債権にあえぐ・・。

    同期だった神谷が、突然の死。そして、甲斐は、呼び戻される。
    歓迎されない出迎えであった。
    そこから、会社の不良債権がどのようになっているのかを、
    調査を始める。
    300億くらいといわれた会社の不良債権が、1000億円を超えた。
    それには、リース会社の上層部だけでなく、
    銀行からのリース物件も含まれる。

    審査部は、取引先の与信管理、債権回収、
    担保物件の保全、訴訟などを手がける。
    バブルの時は、本当にさまざまな人が暗躍した。
    「猿橋常務」という典型をつくりだした。
    焦げ付きを不正な手段で処理し、延命する。
    この延命によって、筋でない人と結びつきがでてくる。
    そして再び、同期の営業第1部長の保坂が、
    同じ手口で、はめられる。

    小島という人物は、農民のようで、
    実に疲れたタイプの人間としてえがかれている。
    栗山という商社のエリートも、実に厚かましく、
    そして、そこにある知性のかけらもない。
     
    この事件を扱う弁護士は、事件に「夢とロマン」がなくなったという。
    法廷では、したたかな追求を見せる。

    ここにいる妻の元気さは、何ともいえない良さがある。
    「会社を愛しているの?」という、素朴な質問。
    結局は、会社に頼らないで、
    自分の意志で生活していく大切さを訴えようとする。
    したたかに、暴くが、しかし、結果としては、トップになれない。
    会社は、そのような人物を受け入れることはできないのだ。
    そういう会社とは、何か?

    会社に対する「未練」。
    会社に働き続けるのは、なぜなのか?
    そんなことを考えさせるに十分な素材を提供する。

    「失敗」を乗り越えるために、より多くの賭に出る。
    それは、冷静なる判断ができないので、
    結果として、よけいマイナスになる。

    人間は、どうやって、失敗した時に立ち向かうのかを
    考えると不思議である。
    銀行という組織にもかかわらず、
    個人で、ある程度のことまでできてしまう。

    トップの犯罪は、かなり大きいのですね。

  • リース会社の不良債権処理

  • 初めて読んだ長編小説。内容覚えてないよう・・・。

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