ヴェネツィア刑事はランチに帰宅する (講談社文庫 れ 6-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062750622

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  • 作者のダナ・レオンは第一作の「ヴェネツィア殺人事件」でCWA 賞を受賞。
    これはsmashさんにお借りした本です。

    ヴェネツィア警察の警視ブルネッティは、大学教授の妻パオラとティーン・エイジャーの子供二人との4人家族。ある日、パオラに教え子の少女クラウディアが「亡くなった祖父の受けた判決を撤回させ、名誉を回復することは可能か、警視に尋ねて欲しい」と頼んだ。パオラの仲立ちでクラウディアに会ったブルネッティは、聡明で注意深げな彼女に好意を抱いた。彼が、ファシスト政権下のイタリアで、美術品を巧みな方法で手に入れていた、悪名高い人物だったと知ったブルネッティは、個人的に祖父のことを調べていたが、ある朝彼女が刺殺された。彼女の銀行口座には膨大な額の出入記録があり、ノンナ・ハイジと呼んでいた老婦人の家には、家中に驚くべき数の美術品が置かれていた。彼女は戦時中の財宝をめぐって殺されたのか、それとも・・・・

    このお話の主人公は、ヴェネツイア、若しくはイタリアと言う国そのものかも。
    ヴェネツィアには、自動車も自転車さえもありません。犯人逮捕には船が出動します。当然といえば当然だけど・・・・なんかそれだけで楽しい(笑)。
    コネと賄賂が横行する国で、ブルネッティはどこへでも歩いて行き、ランチには帰宅して妻のパオラの美味しい昼ごはんを食べるのが日課です。そういうスロー・ライフの国にふさわしく、事件はゆっくりと、コネと人間関係を縦横に駆使して語られます。
    戦時中に悪辣な手段で手に入れられた美術品を通じて、ブルネッティは、彼とパオラとその父親たちやが持っている戦争への思いに触れます。第二次世界大戦を清算せずに今日を迎えたイタリアにはびこっている「昔はよかった」と言う老人たちへの批判には、強く頷くとともに、現代日本との相似性を見た思いです。
    随所随所に、女性蔑視への鋭い視線や、思わず共感する言い回しがあり、事件が解決した後にも残る真の悪を思うと、単純に生きることの難しさに思い至ります。
    あちこち寄り道しながら進む物語がとっても魅力的で、またヴェネツィアに行きたくなってしまいました。
    脇役陣も魅力満点、二人の子供たち、ブルネッティの友人たち、みんなとってもいい感じで、特に美人秘書のエレットラは、すごい!大好き!爽快です。
    ただ、何箇所か、「ドローイング」と言う言葉が出てくるが、これって「デッサン」と訳してもらうほうが判りいいんじゃないかなあ。そのほか、所々引っかかる言葉遣いなんかも有って、気になりました。
    お話が面白いんだから、そのほかの作品も次々訳して欲しい!

  • タイトルの面白さに惹かれました。ランチに帰宅して、キャンティ付きの食事に昼寝と羨むばかりで、日本の刑事ものにはないおおらかさが新鮮で

  • 読みやすく書かれている本だった。推理はいまいちだったけど、人間関係とか食べ物とか、あとイタリアの町並みなどの描写が面白かった。

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