- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062753234
作品紹介・あらすじ
精神の異変か、それとも死霊の憑依か?
ホラーを超えた衝撃
若くして成功した夫との新しい生活。だが予期せぬ妊娠に中絶という答を出した時から、夏樹果波(なつきかなみ)の心に異変が起こり始める。自分の中に棲みついた別の女――精神の病か、それとも死霊の憑依なのか。治療を開始した夫と精神科医の前には想像を絶する事態が待ち受けていた。乱歩賞作家が描く、愛と戦慄の物語。
感想・レビュー・書評
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新婚の夫婦、楚々とした妻とフリーライターの夫。ほどなく妊娠したが夫は経済状況を考え中絶を勧める。妻は従おうとするがある日、私の中に誰かがいる、と性格が一変する。妻の一変した様子に、多重人格か? 憑依か? など多少オカルト的な面もからませ、感情の変化を描き出す。
人知を超えた現象に巻き込まれたか、と思わせ読者をどきどきさせる。が、最後はこうなったらいいな、と思う着地点。周りの医者、仕事がらみの人、妻の幼馴染の友人の相手、などみんないい人に描いている。
2003.2.4第1刷 図書館詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホラーでいいのかな?死霊的な意味でも自分にも起こりうる悲劇という意味でもとても怖かった。
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途中、これはホラーかな?と思うほどゾクゾクしたけど、それ以上にこの難解な状況に何度も逃げ腰になりながらも立ち向かう修平。
結果、誰も悪い人はいなかった…感じがハッピーエンドで良かった。
高野和明さんの本はやっぱり面白い! -
夫の修平から中絶を迫られた妊婦果波に親友久実の死霊が憑依し、胎児を守るために次々頑強な抵抗を試みる。超常現象を認めない精神科医の磯貝は、全てを医学的に説明づけていくが、果波の状況は悪化していき…。胎児の命の尊さに改めて気付かされる、ホラー仕立てのミステリー。
途中、オカルトチックな展開に怖さを感じたが、読み終わってみれば爽やかな読後感。なかなか読みごたえのある作品だった。それにしても、著者の作品はどれも秀作ばかりで外れがないな。 -
「ジェノサイド」、「13階段」、「6時間後に君は死ぬ」等、この作家さんも好きな作家さんの1人ですが、あまり多く作品が無いのが残念です。
そして、前から気になっていたこの作品をやっと読みました。
思っていた以上に面白くて一気読みでした。
精神的な妄想なのか、死霊の憑依なのか、読んで行くにつれてどちらか分からなくなってしまいますが、最後はそんな事はどちらでも良くなる、結果的に後味の良い作品でした。 -
13怪談が面白かったような記憶があったので、
作者で手に取った一冊。
あらすじも読まずに購入。
オカルト系ではあったが、やっぱりこの人の文章は読みやすい。
情景が想像しやすく、話の展開も早くて飽きさせなかったと思う。 -
収まるところに収まってよかった。
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男女の愛と命の尊さの精神的肉体的な感覚を、これだけ感じさせる筆力に圧倒された。泣いた
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構成がシンプルで、それでいながら抑揚大きく読み手をグイグイ引き込む。ネタばれにならぬ程度に言うなら、妄想に取り憑かれた人の意識に絡みとられ、まるで自分自身もその妄想を見ているかのような。現実なの?妄想なの?それとも心霊、ホラー??というようなストーリーへの誘い。結局どっちだろう。要所要所にギミックあり、まるで映画館にいるかのよう、いや、お化け屋敷か…。