だいじょうぶ3組 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773423

作品紹介・あらすじ

松浦西小学校に5年3組の担任としてやってきたのは、手と足がない先生、赤尾慎之介。「フツーって何だろう」「一番を目指す意味って?」-個性豊かな28人の子どもたちと赤尾先生は、幾つもの"事件"を通して、大切なことに気づいていく。三年間の教員生活から生まれた著者初の小説。

感想・レビュー・書評

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  • 『五体不満足』の著者、乙武さんによるフィクション小説となります。

    実際に小学校の教師もやられていたとことで、
    その実体験に基づく教育への造詣の深さも感じられる、素敵な一冊でした。

     「結果的に一番になることが重要だとは思っていない。
      でも、一番になろうと努力することは大事なんじゃないかな。」

    子供のうちに挫折を知る必要があると、仰っています。
    あくまで教育は機会の均等であって結果の均等ではないと、、おおいに同感です。

    何かと問題が指摘される「ゆとり教育」の本質は、経験重視型であったとのことですが、
    結果論で見れば、その「結果の均等」のみに拘泥してたのではないでしょうか。

    結果に平等を求めたがゆえに、失敗が許されない、多様性を認めない、
    それが故に自身の考えを涵養できないような、そんな個性のない画一化された教育。

    ここまで来ると、もはや「教育」と言える内容でもないと思います。

    その失敗の原因がどこにあったのか、担い手である教師の質も含めて、
    きっちりとした分析がほしいところですが、、さて。

    これを推し進めていた日教組のヒトビトにとっては、責任のある専門職ではなく、
    ただの労働従事者でいる事ができて、楽園だったのでしょうけど、、閑話休題。

     「人間は挫折をくりかえすことで学んでいく」

    子供のうちに失敗を重ねて、自身の適正や興味を培っていく、
    教師はその自立するまでの伴走者であって、恣意的な導き手ではない、、と思います。

    なおこちらですが、小学校高学年であれば読めるように、ふりがなが多めです。
    来春映画にもなるとのことで、、これは是非見に行きたいです。

  • 赤尾先生の一生懸命さ、生徒それぞれが成長している姿、どちらも同じように切磋琢磨しているようで、
    応援したくなる。
    色を名前に使ったと言うエピソードから分かるように、色んな人が居てもだいじょうぶ!!だと思える学校になって欲しい。

    実際の乙武さんが担任教師となった生徒のその後を見てみたい気がしてくる。

  • これほんまにノンフィクション?!

    と思わずにはいられない、実話。

    生徒と真っ向から熱く向かい合うことで
    乙武さんも生徒とともに成長していったんだろうなあ

    映画化もされたようなので観てみたいところ

  • 昨年末より、ひょんなことから乙武くんをツイッターでフォローするようになった。たぶん、大野更紗さんとの対談を読んで以来だと思う。個人的に大野さんの「困ってる人」を読んで感銘を受け、それ以来なんにもできないけど、気持ちだけは常に応援していて、その動向をやっぱりフォローしているのだが。

    乙武くんに話を戻すが、彼はまさに同世代で、その存在を知ったとき、
    正直ほんとに衝撃的だったのを覚えている。
    (「紀子は、今」の白井のり子さんの映画を観たときくらいの衝撃。
    いや、それ以上だったかも。)

    わたしだけじゃないと思う。
    いろんな意味ですごい人が現れたと思った。

    それでも、これがわたしの性悪なところだろうが、あまりに素晴らしすぎて逆に、当時は引いた。その言動だったり、行動だったり。
    だから、一応「五体不満足」も読んだはずだが、彼がどんな言葉であの本を結んでいるのかも、正直思い出せないでいる。それくらい丁寧に彼の著書も読まないでしまった。
    唯一覚えているのはなぜか、彼のお母さんが、なかなか会わせてくれないわが子にようやく会わせてもらったときに、その姿を見てすぐに言い放ったというひとこと「わぁ、かわいい」なんてすごいお母さんなんだと思った。これも衝撃だったが。その件しか覚えていないなんて・・・

    あれから程なくして、しばらくメディアで彼の姿を見ることがなかったが、最近またちょこちょこ姿を見るようになったのは、どうやら小説を書いたこと、それも自身が教師として3年勤めていたこと、さらにはそれが映画化になったからだということを知った。

    折りしもフォローをはじめたのと同じ頃だったと思う。
    若かりし頃に自分が抱いていた気持ちが変化したのは、乙武くんの毎日発信する「ことば」からだったり、そこから知ることができた活動だったり。特に彼が「保育所運営」に携わっていると知ってからは。自身も2児の父になっていたと知った以上に。

    あの頃どこかで、その同世代に、あまりに「聖職者」のような心の持ち主で、わたしのような人間にはまぶしすぎるくらいだと感じていたがは、当人はというと、あの頃と何も変わらず、しかももっと成長して経験と行動を積んでいることを知ったとき、諦めず前を向き進んできた人にしかできない道を、見たような気がした。自分もある程度挫折と成長を繰り返し、その中で今どうも人生の停滞期を抜け出せずにいるからこそ、ようやく彼のすごさを心から尊敬できるのかもしれない。

    そんな彼の小説の内容が、かつて形は違うけど「こども」と向き合う仕事をしていたわたしにとって、「教師」として子供たちと関わり、成長していくその物語を、映画化になるというのも後押しして、読んでみようと思ったのは、今の自分には意外だったが、これもタイミングなんだろうな。
    読んでよかったし、これまたよく泣けた。こんなに泣ける話だったとは。

    個人的に助手役の国分くんは、わたしもイメージぴったりだと思います。
    そのイメージでずっと読み進めてしまった。

    あとがきに書いてあることもわたしには印象的で、
    これはあくまで「小説」。事実は決して同じような結末にはならない、という乙武くんの学校での経験が、少なからずわかるだけに、せめて物語の中ではハッピーエンドにしてくれた彼の優しさが伝わってくるようだった。
    実際の教育現場は、そんなに甘くない。きれいごとだけではすまないことのほうが断然多い。でもそれは、ここに表現する必要はないものね。
    わたしもそれでいいと思う。

    「子供たちはあまりにも純粋で、白いものを黒だと教えたら、黒だと信じてしまいかねません。毎日ある種の怖さをもって、教壇に立っていた。だからこそ全身全霊でぶつかっていった。」というあとがきでの乙武くんのコメントが印象的なのと同時に、すごく共感できたし、ここでもやっぱり彼の人柄のよさを感じた。

    数少ない乙武先生に受け持ってもらった生徒さんが、どんな影響を受けて、どんな大人になったのか、その後も個人的には知りたくなる。

  • 1章に付き2回くらい泣いてる有様(爆)。
    違う意味で人前で読めない。

    生徒と一緒に成長していく先生の話。
    ざっくりいうと
    『普通とはなにか』
    『普通じゃないことの何がいけないのか』
    ということがテーマだったように思う。
    『世界にひとつだけの花』の解釈は横っ面張られたような衝撃だった。
    小学生でこういう先生に出逢えたら、幸せな大人になれる気がする。

    あとがきの乙武さんと国分さんの対談を読んだらちょっと切なくなった。
    このお話が絵空事じゃなくなることを切に願う。

  • 乙武さんが自身の小学校教員経験をもとに書いた小説。困ってる人がいたら助けるとか、みんなちがってみんないいとか、大人になると忘れがちな気がした。ちょうど彼自身にもいろいろあったから、レビュー荒れっぷりが凄いけど。有名人は大変だ。

  • シリーズで読みました
    面白かったですしか言わない、書かないってお母さんに注意されます

  • これは、小説なのでしょうか?

    乙武くんが、小学校の先生をしていたと聞いていたので…
    その時の経験を書いた本かな?と、思っていました。

    読みだすと…主人公は「赤尾慎之介」
    五体不満足の新任の先生が、5年3組の担任になって…
    というお話。

    すごく面白いですし、泣けます。
    でも、小説を読んでいるような文体。
    読みやすくて、一気に読んでしまいました。


    中1の長女も読んでいましたね。
    「感動したよね~」と、彼女に感想を聞くと…
    「こんな先生いないし~」
    「先生そんなにかかわらなくてもいいかな。もっと放っておいて」
    「転校する子を、あんなに盛大に送ってあげないし」

    そうね~去年、長女のクラスで上履き無くなる事件あったが、
    解決してなかったよね…。
    勉強出来る子が、水泳出来なくても、放って置かれるわね…。
    大人は、こういう先生いると素敵ね~と、感動するけど…
    子どもは、実体験からあまりにも、かけ離れ…
    サメテしまうのかしら?
    でも…熱心に読んでいたわよね、彼女。

  • 乙武さんの考え方や人間性にとても共感しています。ただ読み物としては物足りなく感じた。感動して泣いたという感想が多かったが、この本で伝えたいことは既にわかっているつもりだし、それを文章力で引き込まれるということはなかった。最後まで読めなかったし。
    実体験に基づいた小説なのだろうが、綺麗な側面の上澄みだけを救って書かれた感じ。
    児童書としてはおススメかも。

  • 「だいじょうぶに込められたメッセージ」

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/detail?rgtn=B12752

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著者プロフィール

1976年東京都生まれ。早稲田大学在学中に出版した『五体不満足』(講談社)が600万部のベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活躍。その後、教育に強い関心を抱き、新宿区教育委員会非常勤職員「子どもの生き方パートナー」、杉並区立杉並第四小学校教諭を経て、2013年2月には東京都教育委員に就任。教員時代の経験をもとに書いた初の小説『だいじょうぶ3組』(講談社)は映画化され、自身も出演。現在は、執筆、講演活動のほか、インターネットテレビ「AbemaTV」の報道番組『AbemaPrime』の水曜MCとしても活躍している。『自分を愛する力』、『車輪の上』(以上、講談社)、『ただいま、日本』(扶桑社)、『ヒゲとナプキン』(小学館)など著書多数。

「2021年 『だから、みんなちがっていい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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