ST 警視庁科学特捜班 エピソード1<新装版> (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778640

作品紹介・あらすじ

能力抜群の5人のスペシャリストの見事な捜査、ここに始まる! ST初登場編新装版。

多様化する現代犯罪に対応するため新設された警視庁科学特捜班、略称ST。繰り返される猟奇殺人、捜査陣は典型的な淫楽殺人と断定したが、STの青山は1人これに異を唱える。プロファイリングで浮かび上がった犯人像の矛盾、追い詰められた犯罪者の取った行動とは。痛快無比エンタテインメントの真骨頂!

感想・レビュー・書評

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    エピソード1 ST 警視庁科学特捜班シリーズ1作目《新装版》《文庫本》
    2014.05発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
    2023.08.20~21読了。★★★★☆
    ブックオフ、66円で購入2023.01.24

    異能の若者、科学特捜班の活躍の物語です。

    警視庁のキャリアである百合根友久警部30才は、科学捜査研究所の中でも異能の集団「警視庁科学特捜班」通称「ST」を率いて活躍する。
    中国人女性が殺された捜査本部に赴いた百合根警部たち6人は、警視庁捜査一課係長である菊川警部補45才から捜査は、本部で方針を立てチームプレーで動くものだと言われるが、科捜研の中でも異能な力を持つ五人の若者は、まさに一匹狼である。その一匹狼をまとめていくキャプテン百合根警部の活躍の物語です。

    ※本書は、1998年3月に発行されたシリーズ1作目「ST警視庁科学特捜班」の改題新装版です。

    【読後】
    テンポがよく、展開が早く、面白く読むことができました。テレビで沢口靖子さん主演の科捜研の女は、よく見ましたが。本で読むのは始めてです。これは、聴覚が、臭覚が優れているとかの異能の若者5人が事件を解決して行きます。このシリーズは、続編が多くあるので楽しみです。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    ST警視庁科学特捜班シリーズ一覧
    13.プロフェッション
    12.化合
    11.沖ノ島伝説殺人ファイル
    10.桃太郎伝説殺人ファイル
    09.為朝伝説殺人ファイル
    08.黒の調査ファイル
    07.緑の調査ファイル
    06.黄の調査ファイル
    05.赤の調査ファイル
    04.青の調査ファイル
    03.黒いモスクワ
    02.毒物殺人
    01.ST警視庁科学特捜班 2023.08.21読了
    ※シリーズを発行順に並べると上記のようになります。が、2023.08.21に読了した2014年5月に発行された「エピソード1」は、1998年3月に発行されたシリーズ1作目「ST警視庁科学特捜班」の改題新装版です。
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  • 軽く読める事件もの、シリーズ1作目。
    特殊能力を持つ捜査官が、活躍します。

    警視庁科学特捜班、通称STが創設される。
    束ねるのは、真面目な百合根知久警部。
    専門家のリーダーは、赤座左門。法医学担当。
    彫りの深い顔立ちで無精ひげに男の色気があり、女嫌いだが、周りに人が集まってくる。
    毒物などの担当は、黒崎勇治。武道の達人でもある。
    文書鑑定担当は青山翔。恐ろしいほど端正な美貌の青年。
    物理担当の若い女性は結城翠。セクシーな服装で、異常に聴覚が発達している。
    そして、僧侶でもある山吹才蔵。
    僧服で現場に駆けつけ、まずお経を上げるという。

    それぞれの分野でトップクラスだったのだが、優秀さと引き換えのように個性的過ぎて、組織からは浮いているメンバー。
    たたき上げの警官・菊川警部補からは反発され、百合根警部は気をつかいつつ、何とか彼らの才能を生かそうとする。
    ゴレンジャーのごとき色の付いた名前で、劇画乗りの展開とでもいいましょうか。
    連続殺人事件は鮮明に描かれていますが、現実味があまりないので怖くはないです。

    「隠蔽捜査」シリーズが面白かった今野さんですが、ものすごく多作な作家さんなんですよね。
    手っ取り早く読めそうで、傾向の違うものを探して読んでみました。98年にノベルスで出ています。
    ドラマ化もされたんですね~。
    百合根が岡田将生とは意外な~原作どおりなら美貌の青山を演じるところかな。
    最初は5人の特徴がばらばらすぎて、一人ずつの役割の印象はそんなに残らない。
    悩める凡人・百合根警部のほうが心情的にわかりやすい、ってところはあるかも。
    パーッと読めて、気晴らしになります☆

  • STはScientific Taskforceの略らしい。直訳すると科学特捜班だが、ウルトラマンを思い浮かべていたら、本文に同様のやり取りが出てきて、微笑んだ。
    科学特捜班は刑事とは異なり、科学的操作により刑事と力を合わせて犯人を見つけ出す。

    メンバーはキャリア警視庁警部の百合根友久が頼りなくも強者のメンバーをまとめていく。
    対人恐怖症で法医の赤城左門、プロファイラーであり文書鑑定担当の青山翔、先端恐怖症でありながら武道に長け臭覚が極めて高い黒崎勇治、宗教全般に強く僧侶の山吹才蔵、絶対音感と超人的な聴覚を持ちセクシーな結城翠の5人の活躍が面白い。それぞれの氏名に色が入っているので、ゴレンジャーを思い浮かべてしまう。
    特別な能力を持つ代わりに弱点もあるのもストーリーに幅をもたらしている。
    もう1人、捜査一課とSTを結ぶ役割を果たしていく菊川吾郎も重要な登場人物である。

    シリーズの1回目は、2件の女性の変死体の犯人を追いかける。STのメンバーは各自の能力を活かし、真犯人に迫る。特に結城翠の聴覚は、サイボーグ003を想起させられた。

    最終的には青山のプロファイルにより3件目の事件も起こり、そのプロファイリングの過程で他の4名の能力や知力が大きな役割を果たしている。
    そして真犯人は・・・。
    構成もストーリー性も登場人物のキャラクターもわかりやすく、読みやすかった。
    少しもどかしさを感じる作品である。

  • 知人から、安楽椅子探偵もの好きの君にぴったりだよと紹介され読んでみた。
    面白かった。特殊能力をもった5人の活躍。安楽椅子探偵的なのは青山。だが以外にも黒崎の格闘シーンに萌えた。

  • STシリーズの第一弾
    先にドラマを見ちゃったのでキャストが俳優さん達で再現されてしまう
    中国人ホステスが殺され、数日後にまた中国人ホステスが殺された。二人は敵対する組織のボスの愛人であり報復殺人かと思われたが。
    まぁそうじゃないんですけど。今回赤城さんはあまり出ませんでしたが 百合根警部殿が赤城さんを形容するとき必ず「なんともいえない男の色気を感じ」てて笑う。タイプなだけなのでは。黒崎さんがしぶくてよかったですね。翠さんも大活躍。
    しかしなんといっても菊川さん。彼がメンツとかでなく「犯人を間違えることなく逮捕する」ことを第一とした正しい警官でよかった。彼がいたからこそ百合根=STは活動の場を与えられたわけです。ミステリーとかではなくエンターテインメント作品ですね。ストーリーそのものは容易に想像できたので。ドラマに向いた作品かと。
    これはシリーズで追います。

  • 今野敏「ST警視庁科学特捜班シリーズ」第1作目(1998年3月単行本、2001年6月文庫本、2014年5月新装版)。
    「隠蔽捜査シリーズ」や「樋口顕シリーズ」のようなリアル感は無く、漫画かテレビドラマにありがちな登場人物設定のストーリー構成で、これは違うかなと思いながら読み始めたのだが、これはこれでなかなか面白いと引き込まれて一気に読み終えた。

    警視庁科学捜査研究所(科捜研)に新設された警視庁科学特捜班(ST)、そのSTに所属する5人のスペシャリストの活躍の物語である。リーダー格の法医学担当で女性恐怖症の医師(赤城左門)、第一化学担当で毒物など化学物質などを嗅ぎ分ける臭覚が発達し、古式武道柔術の達人でもある(黒崎勇治)、文書鑑定担当でプロファイリングの専門家であり秩序恐怖症のイケメン(青山翔)、物理担当で離れた場所の小声も聴き取れる特殊聴力の持ち主でいつも露出狂を思わせるような派手な服装の美人(結城翠)、そして第二化学担当で薬物のエキスパートで実家がお寺で自分も僧侶の(山吹才蔵)の5人だ。5人共警察官ではない、科捜研の一般職員の身分だ。それでも特捜班として捜査本部の捜査会議に参加する。
    捜査の刑事達との橋渡しをする役目でSTの実務面の運用を任せられたのがキャップの百合根友久、30歳のキャリア警部だ。そして捜査本部の警視庁捜査一課係長の菊川吾郎警部補45歳が当初STに懐疑的だったのが徐々にその能力を認めて信頼していくようになっていく。

    3人の女性が連続で殺害され、いづれも対立する外国人マフィアと深い繋がりがあったことがわかる。香港マフィア、台湾マフィア、そしてコロンビアマフィア三つ巴の新宿権益争いが発端の、愛人報復殺人事件と思われた。3件の殺人事件は手口も全く違い、猟奇的だが3件共被害女性の体内に遺された体液の血液型は全部違っていた。明らかに同一犯ではない別の事件だった。しかし捜査本部の方針に異を唱えたのがSTの青山だ。推理したプロファイリングを話す時、全く違う事件の真相を暴くことになる。

    この物語ではSTの各人の特技が発揮される場面で実に痛快に楽しめる。特に黒崎勇治、結城翠、青山翔の3人の特技が凄い。
    黒崎の柔術の腕前は超一級だ。香港マフィア7人を相手に一人素手で30秒で5人を倒し、2名は逃げ出す。そして刑事二人を倒したプロのテロリストエージェントを一瞬に倒す。これは痛快だ。
    結城の並外れた聴力も凄い。部屋の中の話し声をドアの外から聴いて有益な情報を取ったり、ホテルのフロントでの被疑者の会話をロビーの離れた場所から聞き取ったりしたりする。もっと凄いのが絶対音感を持っていて声紋鑑定と同じように人物を判別、被疑者を特定してしまうところだ。
    そして青山のプロファイリング、殺人事件現場に臨場しても当初なかなかプロファイリングをしなかった。それが終盤に理由がわかるのだが、犯人がプロファイリングを想定した偽装をしていたからだった。3件の殺人事件の手口とその理由を青山が語り始めるとまず 菊川警部補が言葉を失い、犯人一人説を相手にしていなかった捜査本部幹部も海外逃亡を企てているという推察に全捜査を投入するのだ。

    アメリカで表社会ではイタリアンレストラン経営を中核としたコングロマリットを経営し、裏社会でも麻薬市場を牛耳っているジュリアーノ・グレコ56歳、日本でもグレコ・ジャパンを設立して飲食店の経営等でグレコ帝国を確固たるものにしている。そして日本文化や伝統が大好きで将来引退したら日本に住みたいと思っている。更に中国に経済的にも裏社会でも日本が支配されることを憂慮していて、そうなるぐらいなら自分が支配したいという野望も持っている。
    グレコ・ジャパンは日本の化粧品会社を買収し新しい化粧品事業を展開しようとしていた。そのマーケティング調査にジュリアーノは中国系アメリカ人のリリィ・タン29歳を派遣してきた。細身だが強靭な体つきの美人だ。
    リリィ・タンの任務にはもう一つあった。日本の外国人マフィアに争いを起こし、組織を弱体化させることだと推察される。ジュリアーノは日本の文化・伝統を破壊する外国人マフィアを一掃させたいと思っているように伺えるのだ。リリィ・タンが任務を敢行し3人のマフィア関係者の女性を殺害し、任務を成功させたがSTに見破られ、逃亡寸前に成田空港で逮捕される。しかし殺害は自供してもその動機や共犯者あるいは教唆については喋らなかった。リリィ・タンは紛れもなくプロのテロリストだった。

    読み始めた時は、このシリーズの2作目はもういいかなと思っていたのだが、読み終えると2作目も是非読んでみたいという風に変わった。きっと回を重ねる毎にSTへの捜査員の信頼が積み重なっていき、STも活躍の場も増え、進化し、またSTの新しい魅力が見られるだろうと思う。どういう展開が待っているのか楽しみだ。

  • オーディブルで。登場人物のキャラが立っていて楽しい。
    結構、一気に読めた。シリーズ化されているので続編が楽しみだ。

  • 癖だらけの天才メンバーが事件を解決する感じ、よくあるけどやっぱりおもしろいし引き込まれる。
    キャラが濃すぎて感情移入はしづらい。

  • さてさてST班のメンバーが事件の解決をしていくシリーズの今のところの最後の作品
    3人の女性が殺された
    さてこれをどう解決していくかがみものです。

  • STシリーズは『為朝伝説殺人ファイル』から入った。STが捜査現場で初めて活躍する本書は、各キャラクターの特徴を読者に印象付けようという思いが伝わってくる。アメリカの巨大企業のボスが日本進出(支配)を狙って、日本国内の中国マフィア間の抗争をさせようとするが……青山のプロファイリングが最終的には解きほぐすが、もう少し早い段階で可能性の一つとして捜査本部で情報共有できるのでは? と思わないでもないが、司法警察官と警察行政職員との確執を考慮してのことなのだろう。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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