- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062879149
作品紹介・あらすじ
『古事記』『日本書紀』『万葉集』…「歴史」はひとつではない。
感想・レビュー・書評
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『古事記』と『日本書紀』のテクストそのものの差異に着目し、両者を一体のものとしてあつかう「記紀神話」という枠組みに対する批判をくり返しおこなってきた著者が、異なるテクストによって語られる複数の「古代」のありようについて、具体的に検討をおこなっている本です。
著者は、『日本書紀』においては紀年が記されているのに対して、『古事記』では紀年が記されておらず天皇の崩年干支の注などが記されていることに注目して、両者がえがく「歴史」が異なるものであると論じています。
また著者は『古事記』と『日本書紀』のみならず、聖徳太子の事跡を記す『上宮聖徳法王帝説』や『聖徳太子伝暦』にも、異なる「歴史」が語られていると主張します。さらに、『万葉集』が天皇代の歌による構成をとっていることに着目し、『万葉集』というテクストもまた、一つの「歴史」を歌によって語るものとみなすことができると論じています。
一般的には「歴史の物語論」という主題のもとで論じられていることにそくした議論ということができるかと思いますが、『古事記』や『日本書紀』をはじめとする、じっさいのテクストにそくして複数の「古代」のありようがていねいに論じられていて、おもしろく読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古事記には「日本」という国号が一切出てこない。中国の事は出てこないし、仏教の事にも触れられていない。天皇の年代記として同じような事跡を語っているのに大きな編集方針がことなる=異なる史観で描かれてるという事である。また古事記は推古天皇までを叙述の対象としており、序文を信じて日本書紀と同時期に編纂されたとしたら、古事記は書かれた年代に於いて古事とされる時代を対象としており、日本書紀は歴史として奈良朝の手前までを描いているという違いが出てきそうである。
本書は紀年を切り口に日本書紀と古事記が描く古代が異なるモノであること、さらには願興寺縁起や法王帝説さらには万葉集と言った二書とはまた違った古代を描いた書物がと言うことを論考している。
やや固くて読みにくい本ではあるが歴史の見方としては示唆に富むモノである。 -
史書資料の数だけ「古代」がある。
聖徳太子関係の年代考察が面白かった。 -
難しい…。