- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062879194
作品紹介・あらすじ
愛国心問題とスピリチュアル・ブームの共通点とは?
感想・レビュー・書評
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国家と個人、そして宗教◆国家神道と自我の問題-「公」と「私」◆戦前の新宗教の弾圧-正統と異端◆知識人の苦悶-西田幾多郎と南原繁◆戦後憲法の読み直し-市民的公共性◆「個人」の疑似宗教の暴発-オウム事件◆「国家」の疑似宗教の暴発-愛国心と靖国と◆「公共の福祉」のために-環境と共生
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宗教というものを、「公共性」という観点から捉えて考察しています。
また、宗教とは「自我の再生」でもあるということです。
戦前の宗教は、国家神道が中心で、そのときに起こった天理教や大本教という新宗教は弾圧されました。
著者は、西田幾多郎は宗教哲学としての質の高い考察であったが、社会哲学への展開が極めて不十分であると批判し、カントの永遠平和論をもとに議論を展開した南原繁を取り上げています。
戦後は、国家から宗教が排除され、日本社会において、アイデンティティを確立すべき青年期に必要な宗教教育が行われておらず、
代表的にはオウム真理教などの「擬似宗教」のカルトを生み出すようになったと述べます。
近代国家は、また、「愛国心」という形で宗教を要請していると述べます。
著者によれば、民衆レベルでのスピリチュアルブームと、靖国参拝の問題は連動しているといいいます。
私が思うに本当に、今の日本人は宗教に無知でありますが、一方ではその反面新興宗教やスピリチュアリズムが勃興している。
そして、その潮流は二極化しているような気がしているのです。
人間にとって宗教とはやはり根源的な要請の対象であるにも関わらず、一種のベールに覆い隠されたままであるような気がするのです。
そういった興味からこの本を手に取りました。 -
第1週 1/11(水)~1/18(火)
テーマ「日本・日本人・日本語」
↓貸出状況確認はこちら↓
https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00172891 -
国家と宗教と個人の関係性とその問題点を指摘した本。全体を通して国家と個人の間に「中間集団」の必要性が強調されている。
興味を持った部分
・天皇=祭祀王(祭祀、儀礼の執行者)=現人神(祀られる対象)
・内村鑑三は2つのJ(Japan,Jesus)を敬っていたが、不敬事件(内村が一高教員時代に明治天皇の親筆に最敬礼しなかった事件)により免職された。
・利己性と個人主義、利他性と集団主義はイコールで結ばれることが多いが、もちろんこれは違う。ボランティア活動のように利他性と個人主義が結ばれることもあれば、戦時中のように利己性と集団主義が結ばれることもある。そもそも、個人と対応するのは集団で、自己と対応するのは他者である。
・religion(宗教)の語源はラテン語のreligio(結び)
・オウム真理教のような過激な宗教テロを防ぐためにも、日本でも学校での宗教教育が必要。スピリチュアリティのブームや教育基本法への「愛国心」条項の挿入も日本人の宗教への無理解と関係がある。
最後まで読んでも、「なぜ中間集団が宗教である必要があるのか」という疑問は解けなかった。宗教団体という形をとらなくても、地域や職場、または趣味という単位で何らかのコミュニティに所属することで「中間集団」の役割を果たすと思うが… -
[ 内容 ]
愛国心問題とスピリチュアル・ブームの共通点とは?
[ 目次 ]
序章 国家と個人、そして宗教
第1章 国家神道と自我の問題―「公」と「私」
第2章 戦前の新宗教の弾圧―正統と異端
第3章 知識人の苦悶―西田幾多郎と南原繁
第4章 戦後憲法の読み直し―市民的公共性
第5章 「個人」の擬似宗教の暴発―オウム事件
第6章 「国家」の擬似宗教の暴発―愛国心と靖国と
終章 「公共の福祉」のために―環境と共生
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[ 参考となる書評 ] -
本文の最初の方には書いてある事だけどタイトルに挙げられ本論で扱われている宗教というものは、伝統的・実定的諸宗教(キリスト教とか仏教とか神道とかそうゆうの)ではなくて公民宗教だった(これ多分理性宗教と呼ばれて良いものと思う)。前者の話を求めてタイトルだけで選んだので、その話が全然触れられていない話じゃないけど、其処は外したと思った、けど、この本で論じられている事はまあまあ興味深い。
あとこの本の最重要概念は公共性で、全体のテーマは公共性の確立を目指そうそれを育もうていう事なんだけど、タイトルにそれがあんま窺えないのは、何故だ。