はじめての森田療法 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883856

作品紹介・あらすじ

考え方を変えれば心は楽になる。その極意は「あるがまま」である――
明治期に森田正馬によって誕生した森田療法は、現在、考え方の本質はそのままにしながらも、入院ではなく外来での治療が確立し、現代人の生活にも対応ができるようになってきました。
本書は、森田正馬が打ち立てたそのエッセンスを紹介しつつ、現代にはびこるうつ病や心身症などへどのように効果を発揮していくのか、実際の症例をもとに解説します。
生きづらさを抱えた人々に、悩みから抜け出るヒントを与える入門書です。

感想・レビュー・書評

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  • うつ病関係の本を読むと出てくる「森田療法」について知りたくて読みました。
    森田療法とは明治生まれの精神科医である森田正篤によって生み出された精神療法です。
    【入院森田療法の方法】
    元々の森田療法は入院による治療で、患者個人の悩みの原因は聞かずに、
    ・一週間何もせずひたすら横になって寝かせる(作業は一切禁止)
    ・動きたいという意欲が出てきたら心身の状況に応じてひたすら作業に没頭させる
    というストイックなものでした。
    大正昭和時代に編み出された方法ですがなかなか強引だなあと思う一方で、確かに何もしないと後ろ向きなことばかり考えてしまうし、辛いことがあった時は他のことに意識を向けるようにして、気がついたら悩みのことなんか考えなくなっていたというのは僕も経験があるので合理的な治療方法だとも思います。
    【森田療法の考え方】
    ・「苦」を「苦」として経験しないと「楽」は「楽」として経験できない。「苦」はあってはならないと決めつけてコントロールしようとすることが苦悩の源泉となる
    ・感情の強弱は自然なもので操作は不可能。時間の経過とともに弱まるのを待つ
    ・気分本位ではなく、事実本位で判断する。一日しっかり働いても暗い気持ちになったから駄目だというのが気分本位、気持ちが暗くてもきっちり働いたから良いとするのが事実本位。気分と行動を分けて考え、行動することが大事
    【治療の中での変化】
    ・現代人は、しばしば人の評価、期待に答えようとして自分を見失い、不安、抑うつ状態に陥る。病はそのような生き方は無理ですよ、と教えてくれる。そしてその生き方の転換を促す
    ・悩む人に訪れる危機は決して無駄なことではない。危機は、自分として主体的にどう生きていくのか、という重要なテーマに取り組む転機となる

  • 日本に昔からある森田療法はアメリカで今流行してるマインドフルネスを包括してるらしい。アメリカで東洋思想が流行るってことは西洋思想の行き詰まりなんだよね。むしろ日本の方がアメリカよりも進んでるから残念ながら。日本より後進のアメリカを見習えって意味わからない。あんな300年近い歴史しか持たない国とは訳が違うから。

    北西 憲二
    1970年東京慈恵会医科大学卒業。1972-74年スイスバ-ゼル大学・うつ病研究部門に留学。1979年から1995年まで慈恵医大第3病院で森田療法の実践と研究に従事。その後成増厚生病院を経て、現在森田療法研究所所長・北西クリニック院長。著書に『実践 森田療法』、『森田療法のすべてがわかる本』(講談社)など。

  • 気分と行動を分けて考え、行動しよう
    気分を感じきる。素直に〇〇したいという気持ちを大切に
    このような時は、焦らずにじっくりともう一度覚悟。決めて、不安に直面し、それをしっかりと抱えながらできることをしていく

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/16148

  • タイトルとは裏腹に森田療法関連の本を読んだのは『はじめて』ではない。
    しかし、この本を読んで新たな気づきもあった。それは個人的な悩みに取り憑かれている時いかに『理想の自分』に囚われている事が多いか、ということである。
    森田療法は行動を重視する療法であることはよく知られている。言い訳せずひたすら作業する厳しいイメージがある。
    そんな中、もし『理想の自分』にこだわったまま厳しい行動療法を続けたらどうなるだろうか?かえって苦しみは増すのではないか?大事なのは『現実の自分』をどう受け入れていくか。
    『こうありたい』という気持ちは森田正馬の言う『純な気持ち』だから必ずしも悪くない。向上心も大切だ。ただ自分を必要以上によく見せようとするのは健康的ではない。自分を受け入れて素直に生きることで自ずと『あるがまま』のヒントを見つけることができる。そんなことをこの本を読んで思った。

    この本と少しずれるが、『夜と霧』の著作で有名なオーストリアの精神科医、ヴィクトール・フランクルも『自分を忘れたとき、本当の自分を発見する。本当の自分を表現するとき、自分はいなくなる』と言っている。フランクルはユーモアや笑いの重要性も指摘していて、彼の提唱する逆説志向は森田療法とかなり類似している。

    それくらい『理想の自分』を手放すことは不安を緩和させる上での鍵となるのではないか。

    この本ではさらに現代の森田療法についても触れられている。メールを使った『日記療法』は新鮮だった。

  • 通っている病院が森田療法ベースなので読んだ。
    これまでに初心者向けの森田療法本を4冊ほど読んだが、これが最もわかりやすく、それでいて精神疾患を抱える人間にもよみやすく・優しく書かれていると思った。
    森田療法の基本となる考え方は、精神科通院の有無を問わず、多くの心理的な悩みに有効であると思う。
    あとがきでマインドフルネスとの違いについて触れられていたのも分かりやすかった。

  • あるがままに生きることの大切さ難しさを痛感した。
    強迫観念に悩まされる時は決まって暇な時である。暇な時は作業や読書に没頭する事が大切である。
    完治という概念は捨て去り症状が襲ってきた場合は無視してやるべきことを淡々とこなす。
    まるで幻覚や幻聴の対処法のようだと感じた。なかなか無視してやり過ごすことは難しいが時間が経つのに身を任せるしかない。
    強迫性障害のおさらいとしては良書。時々読み返さないとまた強迫観念の暗闇にハマってしまいそうである。

  • 森田療法の名前は知ってたが、詳細はわからないので読んでみた。当時の入院療法は、良さそうだけど余裕がないと無理。今でも外来であるようだけど、近場じゃなさそう。

  • 森田療法が生まれた背景から、現在における森田療法の実践まで。

  • インターネットの波の中で出合った「森田療法」という言葉。一体何だろうと興味を持って辿ったらこの本に行き着いた。古式ゆかしく、だからこそ新しい考え方。事実唯真。忘れずに生きたい。

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著者プロフィール

1946年生まれ。埼玉県出身。
[現職]森田研究所所長[専門]精神療法学(特に森田療法),比較文化精神医学
[著書]『森田療法の研究』(共編)金剛出版,1989。『「くよくよするな」といわれても』法研,1998。『実践 森田療法』講談社,1998。

「1999年 『癒しを生きた人々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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