台風の眼 (講談社文芸文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062900423

作品紹介・あらすじ

悪性腫瘍の手術後、作家は最後になるかもしれない小説を書きはじめる。自分が確かに生きていたと思える、記憶に深く刻み込まれた情景をつなぎとめながら。世界というものをふいに感じた四歳の頃の東京・赤坂、小学時代を過ごした植民地・朝鮮の田舎町、京城の中学時代、焼跡の中の旧制高校、特派員として赴いたソウル、そしてサイゴン。自伝と小説の間を往還するように描かれた、新しい試み。

感想・レビュー・書評

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  • 素晴らしい密度。全ての文章に意識が張りつめている。癌手術後の生と死のあわいに揺らめく思念を、もう一人の自分「ゴースト」との対話を通して振り返る自伝的小説。初めて日野の小説『夢の島』を読んだ時、この作家は自分と同じ魂の眼で世界を見ていると恐れ多くも確信して以来、幾度も日野の描く魂の風景に魅せられてきた。植民地京城の破滅的に甘美な都市の風景、武蔵野の雑木林の枯枝の織りなすタペストリー、旧制一高の聳える孤高の時計台も、実際に見たこともないのに既視感を覚える。この感覚を共有する者がいる限り、日野は決して死なない。

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著者プロフィール

1929年東京生まれ。幼少期を朝鮮で過ごす。新聞記者ののち作家活動に入る。主な著書に、『抱擁』『夢を走る』『夢の島』『砂丘が動くように』『Living Zero』『台風の眼』など。2002年逝去。

「2015年 『日野啓三/開高健』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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