原点が存在する 谷川雁詩文集 (講談社文芸文庫)

著者 :
制作 : 松原 新一 
  • 講談社
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本棚登録 : 47
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062900676

作品紹介・あらすじ

五〇年代に彗星のように現れ、「東京へゆくな」「自我処刑」等、強い磁力をもつ魔術的な詩語を駆使した"メタファー詩人"谷川雁。また、「サークル村」に拠り、六〇年安保闘争、大正行動隊のカリスマ的オルガナイザーとして活動、「原点が存在する」等、自立した民衆のコンミューンを志向する先駆的評論を残す。六〇年、「『瞬間の王』は死んだ」と記し、突如詩作を止める-。激しく時代を駆け抜けた詩人思想家の詩、評論、随筆四〇篇。

感想・レビュー・書評

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  • 谷川雁は、15年前の1995年2月2日に71歳で亡くなった詩人・評論家・思想家。実兄の谷川健一は、柳田國男を批判的に継承して、在野で民衆的視点を貫き通す民俗学者ですが、89歳でご存命です。

    『原点が存在する』を手にしたのは、もともと中学生のころ初めて思潮社の現代詩文庫『谷川雁詩集』を読んだときに、強烈な印象を受けて記憶に残っていたのがあって、その後、高校生になって古本屋で偶然見つけたのが、現代思潮社(1970年)刊行の外箱入りの本書だったのでした。

    もちろん、そのころの私は、炭鉱もサークル村も大正行動隊も知らず、ひとりの詩人の書いた文章として読むしかなかったのですが、たちどころに、彼が単なる詩人ではないということがわかって、ただ右往左往するばかりでした。

    ちょうどそのころ、面白くもない授業や暗記中心の勉強と試験に反発して、授業中に教師に答えられそうもない難解な質問をしたり、いじめに対応するクラスメイトと教師の人としてのあるまじき行為・非誠実さなどにうんざりした私は、学校や学校教育そのものに疑問を持ち懐疑的になって、学校に行っても図書館に直行して一日中読書にふけったり、授業に出ても講義を無視して読書三昧だったり、終日音楽室でピアノを弾いたりして、無軌道な反抗心まるだしの不良でしたが、古書店で蒐集した本と図書館で見出し本をこねくり回したあげく、日本におけるジェンダー論の原初的生成、あるいは、高群逸枝の女性史の延長上に河野信子・森崎和江・石牟礼道子を発見していました。

    そして、何かの拍子でカチリとでも音を立てたのでしょうか、それぞれ別の方向から近づいて来た私の関心事が、こんなにもまわりの事象がピタリと繋がるとは思ってもみませんでした。

    谷川雁も石牟礼道子も森崎和江も河野信子も、すべて炭鉱・サークル村・大正行動隊で繋がっていたのです。

  • 新聞の詩の紹介の書籍である。詩だけだと思っていたら、分では炭鉱争議の理論や主義の戦いの正当化の文章であった。谷川雁に興味があって、谷川雁について卒論を書きたい人には必読書であろう。

  • 450 みちくさ

  • [目次]
    第1部 詩(『伝達』より;『大地の商人』より;『天山』より);
    第2部 評論(「母音」から「サークル村」へ;三池闘争・大正炭鉱闘争;「沈黙」から「復活」へ)

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