光の曼陀羅 日本文学論 (講談社文芸文庫)

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  • 講談社 (2016年4月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (704ページ) / ISBN・EAN: 9784062903080

作品紹介・あらすじ

埴谷雄高、稲垣足穂、南方熊楠、江戸川乱歩、中井英夫ら、「死者たちのための文学」を紡ぐ表現者の連なりを描き出す第一部「宇宙的なるものの系譜」。折口信夫の謎めく作品『死者の書』と関連資料を綿密に読み込み、物語の核心と新たな折口像を刺戟的に呈示する第二部「光の曼陀羅」。『死者の書』を起点に、特異な文学者の稜線を照射する気宇壮大な評論集。大江健三郎賞、伊藤整文学賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • <あやかしの死者の書の世界にようこそ>
    「死者の書完結編」を以て折口信夫の新しい読み方を提示した安藤のバックグラウンドの分かる評論集。

    彼の偏愛する世界は澁澤龍彦の妖しい世界と重なる。
     埴谷雄高「死霊」
     稲垣足穂「弥勒」
     武田泰淳「司馬遷」
     江戸川乱歩「陰獣」
     南方熊楠「曼荼羅書簡」
     中井英夫「虚無への供物」
    を、<宇宙的なるものの系譜>として、いかにも楽しげに辿り、折口信夫の「死者の書」を<光の曼荼羅>として語っていく。

    「おおっ、どれもが俺の愛読書ではないか!」
    こうした本との出会いこそが、大げさながら人生の醍醐味だと思う。
    この分厚い本を手でさすりつつ、1ページ1ページじっくりと味わう快楽。
    シャンボール•ミュジニーのワインとサンマンセランのチーズを味わう快楽に匹敵する。
    (おおっ、フランス的になってきた-フランス駐在中に読んだのだ)

    安藤が折口信夫理解で到達した地点は、もしかしたら、ウチダ先生(内田樹)の言う、師を超えた地点にまで師折口信夫を連れて行ったのかもしれないと思わせる語り(騙り)だ。
    本を読むのはいつでも楽しいが、惑溺、耽溺出来る本はそうない。
    安藤礼二との出会いは、新たな耽溺、惑溺の対象との出会いと言える。

    その出会いは新たな喜びをもたらしてくれた。
    再度「死者の書」を紐解く機会を与えてくれたのだ。安藤の世界から見た「死者の書」は、新たな面白さを示してくれた。
    暗くジメジメした墓塚で甦る大津皇子の亡霊と、中将姫の見る山越え阿弥陀、その分裂と統一という安藤の視点で、読み直す喜びを味わった。

    「死者の書」が大きな物語の一部であったことを明かす衝撃の論考。
    「死者の書」と「口ぶえ」が同じ構造を持つことを示してスリリングだ。
    「死者の書」に天皇論、王権論が込められているという指摘は鋭い。
    (松浦寿輝が同様の見方を展開している)

    折口信夫復権を目指す<折口信夫可能性の中心>といえる。
    折口信夫のテーマは過去の遺物などではなく、現代のアクチュアルな課題であることを示す。
    <神々の闘争>が行われた昭和の課題は、現代の課題でもあるからだ。
    折口信夫を理解するためには、柳田民俗学以前の思想形成時代をさぐる必要がある。
    折口信夫の<可能性の中心>を、言語一元論の領域に見出すことで、従来の<(柳田)民俗学>というステレオタイプの見方を粉砕する。
    文芸評論の新たな可能性を示す、哲学的読み直し。

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著者プロフィール

多摩美術大学美術学部芸術学科教授、文芸評論家、著書に『井筒俊彦…起源の哲学』(慶應義塾大学出版会 2023)、『折口信夫』(講談社 2014)他

「2025年 『談 no.132』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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