- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062920308
作品紹介・あらすじ
「円」は、開国から維新にいたった日本の「世界経済への参入」を象徴する通貨単位である。両・分・朱という四進法の貨幣から十進法の円貨幣へ、なぜスムーズに移行できたのか。江戸期の複雑な「三貨制度」や列強との厳しい通商交渉を通じて、自力で近代化を進めてきた日本経済の実力と、新単位「円」誕生の秘密を探る。貨幣から見た幕末維新史の名著。
感想・レビュー・書評
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「両」から「円」へ。大改革はなぜ成功したのか。
近代日本経済の草創と世界市場への参入を、「貨幣」から見た幕末維新史。
「円」は、開国から維新にいたった日本の「世界経済への参入」を象徴する通貨単位である。両・分・朱という四進法の貨幣から十進法の円貨幣へ、なぜスムーズに移行できたのか。江戸期の複雑な「三貨制度」や列強との厳しい通商交渉を通じて、自力で近代化を進めてきた日本経済の実力と、新単位「円」誕生の秘密を探る。貨幣から見た幕末維新史の名著。
<http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062920308>
【目次】
はしがき(五十年五月中浣 京都、綾小路にて 三上隆三) [003-007]
目次 [009-012]
第一章 開題 015
一 円の平価 015
二 改正新貨条例 023
三 円貨幣制度と問題点 032
第二章 江戸時代の貨幣制度と貨幣的経済 048
一 三貨制度 048
二 「米遣いの経済」から「金遣いの経済」へ 057
三 新種銀貨の登場 071
四 計数貨幣としての銀貨の意義 085
第三章 外国貨幣との交渉 120
一 洋銀 120
二 洋銀一枚=一分銀一枚 126
三 同種同量の原則 146
四 洋銀一〇〇枚=一分銀三一一枚 153
五 貨幣問題の対策 167
六 貨幣問題の帰結 181
第四章 円の由来 210
一 明治新貨幣制度 210
二 銀本位制度の外生的根拠 26
三 銀本位制度の内生的根拠 232
第五章 円の誕生 278
一 金本位制度への旋回 278
二 価値尺度 286
三 一円銀貨と一円金貨 295
四 両から円へ 312
五 洋銀と一分銀 324
終章 円金本位制度の確立 331
補論 円の系譜 342
一 円の推移 342
二 『江川二代記』と高野長英 344
三 大庄屋の「御用留」帳 359
四 漢学書生の通語なりき 368
学術文庫版に寄せて――いささか長めのあとがき(二〇一〇年一一月一三日 冬は底冷え・夏は蒸し風呂で周知の京都は洛央の自宅にて 三上隆三) [374-378]詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【出会い】
往来堂の平積みで、そういえば知らないよな、と思い。
【概要】
「円」という通貨がどのように生まれたのか、いかにして江戸期の通貨とスムーズな移行が可能だったのか、数々の史料を基に詳細に論説。
【感想】
実に読みごたえがあり、細かい文献調査と論考には納得しきり。
原文史料の引用が多く特にそこは大変だったけれども。
貨幣論にはあまり親しみがなかったけれども、幕末の外交的な駆け引きを追っている部分はとりわけおもしろかった。
外的要因・内的要因、また維新の前・後という広い視野での分析はたいへん興味深いもの。