- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062921497
作品紹介・あらすじ
開闢以来第一の人物と同時代人に称賛された日本近世思想史の巨人、徂徠。将軍吉宗の下問に応えて彼が献上した極秘の政策提言書には悪魔的な統治術の数々がしたためられていた。反自由・反平等思想の表れか。近代的思惟の先駆けか。それは江戸の現実と病理に立ち向かった実践的思索の集積であった。いまも論争を呼ぶ経世の書を平明な現代語で読む。
感想・レビュー・書評
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著者:荻生徂徠(1666-1728、江戸(東京))
訳者:尾藤正英(1923-2013、大阪市)
解説:高山大毅詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『日本の名著16 荻生徂徠』(中央公論社 1974年)の改題文庫化。
【講談社の内容紹介】
悪魔の統治術か。近代的思惟の先駆けか。
江戸の〈病理〉に立ち向かった、日本近世思想史の巨人による政策提言集。
開闢以来第一の人物と同時代人に称賛された日本近世思想史の巨人、徂徠。将軍吉宗の下問に応えて彼が献上した極秘の政策提言書には悪魔的な統治術の数々がしたためられていた。反自由・反平等思想の表れか。近代的思惟の先駆けか。それは江戸の現実と病理に立ち向かった実践的思索の集積であった。いまも論争を呼ぶ経世の書を平明な現代語で読む。
<http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062921497> -
「政談」には興味を惹かれていたのだが、岩波文庫のほうはパラッと開けてみたらこりゃ読めんという感じだったので一生読まないと思っていた。こうやって抄訳現代語訳を出してもらえて、とてもうれしい。
内容は期待にたがわず面白い。吉宗に献上された「経世の要諦」である。巻1で(大げさにいえば)統治システムの考え方を細部の例示で描きだす。巻2は殖産経済の問題を処方箋として述べ、巻3は組織人事の話だ。
貨幣経済がようやく浸透することで、幕藩体制での武士による社会システムの運営が、行き詰まりを見せ始めていた頃の話である。徂徠は、基本的には「土地(封地)」と「米」に基礎を置き上下関係の礼を尊ぶ社会に回帰せよ、と復古を説く。
「礼法の制度を定めることと。旅宿の境遇をやめること、この二つが困窮を救う根本である」と。
徂徠は、やはり大学者で、社会、市井の細部の具体例を遍くとりあげて論理的な考察に基づく解決策を述べているが、さすがに経済のことについては当時のコンベンショナルな学者としてはとても扱いきれなかったようである。