- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062921985
作品紹介・あらすじ
扇子に手ぬぐいというわずかな小道具のほかは、ただ演者の「一枚の舌」によって、庶民はもちろん将軍や大名を高座に呼び出すこともできれば、遊郭や冥界に遊ぶこともできる不思議な話芸、落語。この落語の面白さを支えているものは何か、少年時代からの落語ファンでもある言語学者が、「ことば」の面から分析した、異色の落語論。
落語は、マエオキ、マクラ、本題、オチ、ムスビ、という構造からなる「言語空間」である。先人が築いたこうした「型」の上に、多くの演者が才能を開花させていった。彼らの「ことば」にはどんな特徴があって、一般の言語活動とはどう違うのだろうか。噺家はなぜ、「えー、一席お笑いを申し上げます」とマエオキをいうのだろうか。そもそもなぜ、落語にオチが必要なのだろうか。落語の「演題」はどのように決められているのだろうか。
志ん生や文楽、円生、小さん、談志などの実演の例を多彩に引用しながら、落語という特異な芸能の特徴・構造・魅力を解読する。
1994年と2002年に平凡社より刊行された同名書籍の文庫化。
感想・レビュー・書評
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日本語学の専門家による「落語」という伝統芸能の研究。主役が英雄ではなく庶民であること、キレの良い落とし方が落語の特徴のようです。かなりディープだったので、さらっと読んでしまいましたが、落語ファンにはたまらない本かもしれません。
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落語についてその構成(マエオキ、オチ)、演題ごとに分類、分析を行うことを試みている本。
特にオチの分類が多く呼び名があるのが面白かった。ただ、具体的な演目名を見ただけでは、すぐに話のイメージがわかなかったので頭に入りにくかった。あと、マエオキは実際に聞くことが少なく、突然マクラが始まるのが私の印象だったので、マエオキの存在自体に気づけたのは収穫。
三代目柳家小さんの三段返しの逸話が面白かった。落語の演じ方でキキテを意のままに操るとか、常人のスキルではない。できたらすごい。
あとがきで筆者の落語に対する愛が伝わってきた。 -
上方落語にはほとんど触れられていないのが残念。