イスラーム的 世界化時代の中で (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062923064

作品紹介・あらすじ

アラブ・ムスリム世界を調査・研究のフィールドとしてきた社会人類学者が、イスラームの基本的概念と、20世紀終盤に世界的に見られた「イスラーム復興」の動きを解説する。
ユダヤ教、キリスト教と同じ「神」、同じ聖地をもつイスラームはどのように生まれ、発展したか。そして、近年の「イスラム原理主義」をどうとらえるか。著者によれば、いわゆる「イスラム原理主義」とは、キリスト教のファンダメンタリズムを安易にイスラームに当てはめた西側からの他称(レッテル)であり、イスラームへの誤解に基づいているという。そして、昨今の対外的戦闘行為を含む急進的な「イスラーム主義」運動は、けっして「近代化されていないから」「民主主義を知らないから」といった「近代欧米社会より遅れている」から発生した一部の特殊な勢力というわけではなく、1970年代以降に、近代化と近代教育を経験したムスリムたちによって担われてきた「イスラーム復興」の動きの中で生じてきたものだという。
本書は、2000年、すなわち「アメリカ同時多発テロ」や「イラク戦争」以前に執筆されたものだが、その後のイスラームをめぐる動向を的確に予見しており、この半世紀のイスラーム世界を深く理解するための必読書といえる。巻末には、京都大学大学院教授・小杉泰氏が解説を執筆。
〔2000年、日本放送出版協会刊の同名書籍の文庫化〕

感想・レビュー・書評

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  • ネットニュースとか新書とか読んで安易にわかったことにしようとしていた自分を恥じました。
    「本質的に彼らとは違うんだから」、という意見に断固としてしかし丁寧に抗う事。僕が人類学から学んだのはそういう事でした。

    時間と周囲との関わりの中で戦略的に選択されたイデオロギーとしての「イスラーム主義」
    だとしたら?相互に影響し合う事で状況は変わるんだという希望にもなる。
    どうせ共存は無理なんだから、正しい独裁だけが安定をもたらす、なんて決着のさせ方は間違ってる

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著者プロフィール

1949年生まれ。博士(社会人類学)。東京都立大学人文学部,同大学大学院社会科学研究科で社会人類学を学ぶ。国立民族学博物館,東京都立大学人文学部を経て,2005年より東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授(2006-2009年まで所長)。2009年死去。
主な著書に,『イスラーム主義とは何か』(岩波書店,2004年),『近代・イスラームの人類学』(東京大学出版会,2000年),『異文化としてのイスラーム――社会人類学的視点から』(同文舘出版,1989年)などがある。第2回アジア・太平洋賞特別賞(1990年),第56回毎日出版文化賞(2002年),第22回大同生命地域研究奨励賞(2007年)など受賞,紫綬褒章(2008年)受章。

「2014年 『エジプトを植民地化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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