原発ホワイトアウト (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062931366

作品紹介・あらすじ

衝撃の告発小説!キャリア官僚が小説の形を借りて命懸けで明かす、原発の致命的な欠陥、電力会社と政治家の知られざる繋がりとは。

感想・レビュー・書評

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  • うーーーーーーーん。”中の人”が小説の体をとった告発本ってつもりで読んだんだけど、わりかしネットに転がってそうな陰謀・利権噺だった。ハニートラップの下りとかお決まり過ぎで鼻白むってこういう事かと…。

  • 自宅ソファーで読了。
    陰謀論と取るのか、ノンフィクションと取るのか、、、、。
    玉川京子のくだりが、オッサン妄想丸出しの表現で、読むに堪えなかった。

  • 百田尚樹『永遠の0』も、孫崎亨『戦後史の正体』も、話題になった時期を
    かなり過ぎてから読んだ。

    本書が話題になったのは2013年。既に2年も前の作品である。それを今頃
    読んだ。

    例えば年越しそばを年明けに食べるという「ずれて食う」なんての知人が
    をやっているが、私のはさしずめ「ずれて読む」か。

    著者は現役のキャリア官僚。分かっているのはそれだけ。いわゆる覆面
    作家である。あれだけ話題になったのだから、どんな凄いことが書かれて
    いるんだろうと思って期待した。

    期待したほどじゃなかった。肩透かしと言うか、がっかりだった。あれだな、
    「現役キャリア官僚が政官財の癒着を描くよ~」ってのだけが売りだった。

    フィクションとノンフィクションの部分が混在しているので、ノンフィクション
    部分が私にとっては非常に邪魔だった。

    だって、本書で登場する「新崎県、伊豆田知事」って新潟県の泉田知事
    だよね。脱原発の俳優で参議院の「山下次郎」は、ひとり牛歩作戦の
    山本太郎だもん。

    私の脳内は勝手に実在の人物名に変換してくれていた。なので、告発
    小説というよりニュースのおさらいって感じだった。

    『原発ホワイトアウト』というタイトルだけど、ストーリーのほとんどは官僚
    や電力会社、政治家の裏工作ばっかり。陰謀論と受け取れないことも
    ないな。

    政官財の癒着については古賀茂明氏が官僚時代に著した『日本中枢の
    崩壊』を読んでおけばいいし、本書の伊豆田知事が見舞われる贈収賄
    事件は元福島県知事だった佐藤栄久作氏の『知事抹殺』そのまんま。

    なんで告発小説を書こうと思ったのかな。小説にしても中途半端なんだ
    よね。北朝鮮工作員によるテロはちょっと唐突な気がするし、終わり方
    も消化不良。

    それに福島を常に「フクシマ」とカタカナ表記しているのがとっても気に
    なった。

    印税の一部が福島県の子供たちの為に使われるってことで文庫版を
    購入したが、「告発」ってほどにはインパクトがなかった。残念。

    同じ告発ならやっぱり古賀氏の方がインパクトがあったな。

  •  電力会社が官僚の天下り先なので、政府は原発を止めることはしない、当然の如く国民に事故補償費用の負担を強いることになる。原発の必要性を電力会社お抱えのジャーナリストも声高らかに宣伝する。事故検証も曖昧に政府も国民も痛みを忘れかけた矢先に事件は起こる。反社会的人物が原発テロを成功させ、文末には政府と国の混乱の模様描写しお話しはおわる。とっても怖い小説であった。

  • 経産省の「現役官僚」が書いているという前提で読んだ効果なのか、本当か嘘かわからないけれど全てが物凄くリアルに感じる。
    特に「脱原発」を掲げる知事をあの手この手で嵌めて辞任に追い込むくだりは圧巻。現実の政治家のスキャンダルも全部これと同じに思えてくる。
    電力会社の「総括原価方式」とかもわかりやすく知ることができ、とても勉強になる小説。
    余談ですが、いかにも「法学部卒」の人が書いた文章やな、と随所に感じられます。

  • 2013年刊行。少なくとも当時現役で官僚の著者。
    ハード。基本は偽名だが本名での一連著述の部分もあり。小説なので現実では無いが、現実の要素と思われる巨大組織が持つ既得権や政治・エリートと特権意識、巨大組織間のもたれ合い…。組織の階層の、上層と最下層の絶望的な違いとか。巨大という点では国も同じで、2023年時点でのロシアも彷彿とさせる。
    重いね。たまには陽に当たらない現実を知る事も必要だけど。「民度を超える政治は不可能」ってのは痛い。「ヒステリックな国民の反応」ってのは、その通りだと思う。

  • 書き出しとタイトルからテロ物だと思っていたら完全に政治の話でした。

    いやー、政治家は汚い。。

  • どこまでがフィクションなのかが分からないほどリアリティのある内容で大変興味深かった。
    既得権益層(電力業界)の揺り戻しが主題であったが、これは同時に議会制民主主義の限界を示唆しているとも言えるのではないかと思う。

  • 小説なのか、多少のフィクションの事実なのか、あり得る感じのする、怖さ。
    2016年、時間軸は別として、似たような動きになっているような気がして心配になる。

  • フィクションの形をとりつつ経産省、電力会社、政治家の構造を暴く。
    金の力を背景とした巧妙な持ちつ持たれつの構造に改善策はないように思える。
    そもそも改善する必要があるのだろうか。一体誰が不利益を被っているのだろう。
    しかし、自由化や発送電分離に伴う総括原価方式による電力会社の体力低下が避けられないとすれば、政官業のトライアングルの崩壊は近いのかもしれない。

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著者プロフィール

若杉冽(わかすぎ・れつ)

東京大学法学部卒業。
国家公務員1種試験合格。
現在、霞が関の省庁に勤務。
著書にはベストセラーになった『原発ホワイトアウト』がある。

「2014年 『東京ブラックアウト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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