25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063107807

感想・レビュー・書評

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  • 生命への深い愛情を感じる作家だよなあと思う。

  • 表紙買いしました!
    独特の線の細い淡々とした絵柄でセリフのないコマが印象に残ります。
    全編SF、すこし不思議な話ばかりで先が読めず一気に読んでしまいました。25時のバカンスが好きです。
    「もっとちゃんと調べなさい」のとこが特に。

  • ああ、たまらない。
    シュールレアリスム的なストーリーに絡む、兄弟(性別は様々なので、兄、弟という意味でとらえると一般性を欠くのだけれど)関係の思慕というところが、おおむね描かれている対象なのだけれど、なんというか、読者の想像力が、という言い方では伝わらないな、想像力という「チカラ」のレヴェルが試されているような物語。それは単に、読んで味わえる感覚であるSense of Wonderなんて甘っちょろいものじゃなくて、まさに、悪夢のような表現にどこまでついてこられるかというトライアルであり、その試練に耐えうるならば、そこに表現された想いを、読者として、我が事のように味わうことを許容するであろうというような、そんな問いかけという感じ。
    人気なんだそうですね、特に、女性に。まあ、わからなくもないというか、そういう気分に浸りつつ、でも、その、自分が感じているものは、女性に人気とか言ったときの、その理由と同一のものなのかどうかについて、不安がつきまとう。そんな作品でした。

  • 不思議でさっぱり分からない。でも美しくて、哲学的で、ちょっとグロくて、何故か心に残る。なんだろう、この異様な世界観は。すごく繊細だな、と思う。

    一度読んだだけで評価しないでほしいかな。一度じゃこの世界観は分からないと思うのです。何度もこの世界を訪問することで、やっと少し近づける。やっと分かる部分がある。細かい描写に心を揺さぶられる。

    しかし、私はこの本を簡単には開けません。少し勇気がいる。月の葬式、優しい物語だからすごく好きだけどトラウマです。

  • 前作『虫と歌』もよかったが、本作もすばらしい。
    人の人格を持った「モノ」をベースに、「孤独」に正当な居場所を与えていく作者。
    同じ作風から多彩な物語を形成していく能力には嫉妬してしまう。
    普通なら自己模倣になってしまうもの。

    「寂しいのは悪いことではありません。他の存在に感謝できます。孤独は生まれてから塵に帰るまでの苦い贅沢品..」(市川春子『25時のバカンス』)

    孤独は贅沢品。自分にとって、それは根本的に新しい価値観。

    「これ以上近づけないのなら 今度は遠のく日がひどくおそろしい 最高得点で時を止めて逃げてしまえれば」

    共感と反発を同時に感じる言葉。
    人と人との関係性は固定できない。たえず変わっていくもの。
    でもそれが好きなタイミングで凍結保存できるものだとしたら?

    主人公は迷いつつも、別の道を選ぶ。
    過去にしがみついて、低温やけどする方がきついのだと。

  • 貝に浸食されていたり、土星の衛星に住んでいたり、月の病にかかったりと、それぞれの話に独特の設定があります。

    繊細なタッチで描かれた不思議な世界観。
    一作目の「虫と歌」もとてもすばらしい作品ですが、二作目のこちらもとても素敵です。

    語りすぎない、感じ取れ、の加減が絶妙でめまいがします。、
    ふだん漫画をあまり読まない方でも、文学作品として楽しめるのではないかと思うのでぜひ。

  • 月の葬式もすごくじわっときてポカポカするような話で好きでしたが、前回の短編集を含め、私のお気に入りは25時のバカンスです
    読み返せば読み返すほど兄弟の細かな気持ちが伝わる作品でした。
    空間やセリフの絶妙さがとても大好きです

    ですが、2本目のパンドラにては私の頭ではちょっと理解できませんでした(笑)
    もう…なんていうか…難しかったです

  • 虫と歌を読み終わってすぐ25時のバカンスも買いに走った。

    ・25時のバカンス
    天才研究者で変わり者な姉と事故で真赤な左目を持つ弟の話。

    それにしてもこの人の描く女体は美しい。
    シンプルな曲線でそれでいて動きがなめらかで見ていてうっとりする。
    弟が真珠を取り出すシーンは妙にドキドキした。
    冒頭で二人が自転車に乗っているシーンがあるのだけど、その時点で乙女さんの横顔にネジ穴(?)があるような気がするのだけど、研究者になってから貝を取り込んだはずじゃないのかな。それとももうそのころから真珠を作っていたのだろうか。


    ・パンドラにて
    地球から13億キロ離れた衛生にある女学校での話。


    ・月の葬式
    家出した天才高校生が北の村で月からやってきた王子と出会う話。

    失くしたリモコンを見つけたり千羽鶴が足りていないことに気付いたり剥がれた破片の数を当てたり、パッと見て答えが分かる「よみち」の設定が良かった。
    終盤、死ぬ直前の間さんは、なんというか、直視できない。ぞわぞわしながら見ていた。


    出会い→別れの前作と違って、今作は出会い→別れ→再会だったためか、読了後はなんだかほっとできたような気持ちになれた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「動きがなめらかで見ていてうっとりする。」
      綺麗で透明感のある絵が素敵。それはきっと、重力を感じない世界を構築している所為なんだと思う。
      今...
      「動きがなめらかで見ていてうっとりする。」
      綺麗で透明感のある絵が素敵。それはきっと、重力を感じない世界を構築している所為なんだと思う。
      今、連載している「宝石の国」が早く一冊に纏まりますように。。。
      2013/05/23
  • 前作、虫と歌よりほんの少し触れられる世界が広がった印象。読後、人は『ひとでなし』にはなれるのに、人でないものは『ひと』にはなれないんだよなあと何とはなしに夢想してみたり。

  • 星新一好きな方にはおすすめ。いい意味で不親切な漫画。不親切だから自分がどうにかして読み解こうとする。だから心に残る。

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著者プロフィール

投稿作『虫と歌』でアフタヌーン2006年夏の四季大賞受賞後、『星の恋人』でデビュー。初の作品集『虫と歌 市川春子作品集』が第14回手塚治虫文化賞 新生賞受賞。2作目の『25時のバカンス 市川春子作品集 2』がマンガ大賞2012の5位に選ばれる。両作品ともに、市川氏本人が単行本の装丁を手がけている。

「2022年 『宝石の国(12)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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