青春オカルティーン! (星海社COMICS)

著者 : 小林ロク

• 星海社 (2016年11月11日発売)

作品紹介・あらすじ

華々しく高校デビューするはずが……入学早々謎の悪霊（中二病）に取り憑かれてしまった高砂橙。
学園の謎を解き、青春を取り戻せ！

感想・レビュー・書評

[小鳥遊ひよのさんの感想 · 2022年8月31日]

高校入学早々に謎の悪霊に取り憑かれてしまった高砂橙(だいだい)。「俺の死の真相を突き止めてくれ！」爽やかな笑顔でそう頼んでくる幽霊・佐久間純はなぜ死んだのか？！波乱の高校生活を描くホラーコメディ4コママンガ！

霊感によって面倒に巻き込まれるもやさしい橙と、ひねくれ中二病な純の会話劇が楽しい！二人が出会うシーンのインパクトがすごい！あれは見ちゃう(笑) 真相を突き止めるよう頼み込む純が「一生のおねがいっ！」と言った切り返しに「一生終わってるだろ」は秀逸すぎる。ホラーなのにこんなに笑えるとは！

呪いから解放してくれた橙に想いを寄せる幽霊・詩織、仏の道を志す真知、医学で幼馴染の橙を救おうとする矢崎。どのキャラも個性派揃い。最初はぶつかり合っていた個性たちが、進むにつれて別れがたい仲間になっていくのがいいよね。まさか泣かされるとは思わなかった。般若心経が心に響く。

地蔵菩薩のごとく適切な距離を保って橙を護る！という思いが強すぎて、ストーカー地蔵と化す真知には笑った。もはや悪霊(笑) 仏の力と医学の戦いの果てに辿り着いた橙の姿もシュールすぎる。そもそもあのカチューシャみたいな精神安定装置なんなんだよ(笑)

幼馴染を助けられなかった医学──自分と医学の存在意義を自問自答しながら進んできた矢崎。そんな彼に変化を与えた幽霊の詩織。
「矢崎さんは無力なんかじゃないです　その気持ちだけで救われてきたのではないでしょうか…何よりあなたがいてくれたおかげで　橙さんは一人ぼっちじゃなかったんですから」
そう言う詩織もまた、橙たちが現れたことによって一人ぼっちではなくなった。でも、大切なものが増えるほど未練もまた生まれてしまう。そこからあの決断をした詩織の強さが素敵だった。

純がどうして幽霊になったのか。その謎もまさかの真相だった。というか、まあ納得の理由というか(笑) なんやかんやあったけど、とても気持ちのいいラストでよかった。ホラーなのに爽やかな読後感。一冊でサラッと読めるのでオススメ。

著者プロフィール

小林ロク
広島県出身。本作『青春オカルティーン！』がデビュー作となる。怖い話とお茶が癒し。

「2016年 『青春オカルティーン！』 で使われていた紹介文から引用しています。」