THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149(1) SPECIAL EDITION (サイコミ)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065092057

作品紹介・あらすじ

大人気ゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』に紡がれる、新たな輝きの物語。
プロデューサーも仕事も持たない、アイドル未満の少女達。
でも少女達は夢を見る。
素敵なドレス、素敵なステージ、そして素敵な王子様――。
小さなアイドル達と小さな新人プロデューサーが贈る、新しいシンデレラストーリーが開幕する。
特別版CDにはコミックス収録ストーリーの番外編新作ドラマ&本作に登場するアイドルが歌う楽曲も収録!! ここでしか聞けない超豪華な特別版をお届けします!


【収録内容】
◎アイドルマスター シンデレラガールズ U149 第6.5話(オリジナルボイスドラマ) [出演]/佐藤亜美菜、照井春佳ほか
◎ハイファイ☆デイズ(M@STER VERSION) 歌:櫻井桃華&橘ありす
◎Orange Sapphire 歌:市原仁奈&龍崎薫
◎お願い!シンデレラ(M@STER VERSION) 歌:橘ありす

感想・レビュー・書評

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  • このマンガ家さんはすごい重圧と戦っている!(と思う)

    最近、人気ゲームのコミカライズ(マンガ化)ってよくありますよね。
     僕はああいうのを目にするたびに、「マンガ家さん、大変だろうなあ」と同情するんです。

     もちろん、ゲームに出てくるキャラクターをそっくりに描かなくちゃいけないわけですが、それだけじゃないでしょう。
     たとえばアイドルものの場合、舞台に立って歌って踊ってるとこばかり描いてるわけにはいかない。楽屋裏や日常生活で起きるいろんなドラマ──泣いたり、落ちこんだり、けんかしたりといった、ゲームで描かれていない部分を想像して描かなきゃいけないわけです。
     しかも、それは自分のキャラじゃない。あくまでゲームの開発陣が創ったキャラ。だからイメージを崩すことはできない。ゲームをしっかりやりこんで、完璧にそのキャラクターを把握したうえで、なおかつ自分なりに考えてドラマを組み立てなくちゃいけない。
     おまけに人気ゲームならキャラクターのファンも多いでしょうから、うっかり変なことを書いたら、「こんなのは俺の好きな〇〇じゃない!」と抗議が来るかもしれない。
     ゲーム会社のチェックと、うるさいファンたちの視線にさらされ、いわば手足を縛られた状態で物語を描いていかなくちゃいけない。その重圧って、さぞや大変なものだろうって想像するんですよ。

     この『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149』は、人気ゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』(通称「モバマス」)のコミカライズです。僕もこのゲーム、もう5年近くやってます。
     でも、登場するのは、アニメ版に出てきた島村卯月や渋谷凛や本田未央のような人気キャラじゃなく、ゲームの中でもちょっと人気の落ちる、いわば二軍キャラばかり。しかも身長149センチ以下(だから「U149」)の小中学生を集めた「第3芸能課」が舞台。ここに配属されたばかりの新人プロデューサーが、いろんな女の子と仕事をこなしていきながら、少しずつ信頼を勝ち得てゆくという話です。
     ちなみに僕のイチオシのキャラ、結城晴も出てきます。というか、晴が目当てで読みだしたんですが(笑)。
     もちろん二軍キャラといってもファンは多いわけで、思い入れのある人も多いはず。いかにファンを満足させる作品を描いてくれるか、こちらとしても不安半分期待半分。当然、マンガ家さんの重圧も大変なものでしょう。

     この1巻目でスポットが当たるのは、表紙に描かれている橘ありすという12歳の女の子。

     えー、ものすごくメンドくさい子です(笑)。

    「ありす」という子供っぽい名前を嫌っていて、他人には「橘」と呼ばせています。大人のように背伸びして、いっぱしのアイドルのような口を利きます。おまけに努力家で完璧主義者。他の子のように無邪気に遊んだりはしない。
     でも、実は自分で思っているほどには完璧ではなくて、よく失敗をする。失敗したくなくて、さらに完璧主義に走り、その結果、いつも突っ張って生きている……そんな子なんです。

     この1巻では、そんなありすの最大の弱点が露呈します。
     子供用衣装の撮影の仕事をすることになったありす。撮影前に「予習はしました! 完璧にやってみせます」とプロデューサーに断言します。もちろん、そんなことをわざわざ口に出してしまうのは、あんまり余裕がない証拠なんですけどね……。
     案の定、他の子を撮った写真はOKが出るのですが、ありすの写真だけはNGが出ます。「自然な笑顔」じゃなかったという想定外の理由です。たちまち混乱するありす。

    「私……普段どんな時に笑ってましたっけ……!?」

     あまりにも完璧にアイドルを演じようと努力を続けたために、ありすは自分の「自然な笑顔」が分からなくなっていた……という、ゲームをやっている人間には衝撃的な(でも納得できる)展開です。
     この後の撮影シーンのありすの顔がいいんですよね。笑ってるんだけど、不自然にひきつってて、変な顔になってる。「これは違うよなあ」と、読者がひと目で分かる笑み。
     たぶんこの変な顔のありすを描くために、マンガ家さん、何度も描き直したんじゃないですかね。

     しかもこの後、プロデューサーの前で、「あれで納得いくわけないじゃないですか!」と本音を洩らして泣いてしまう場面が最高です。分かりやすい泣き方じゃなく、小さな水滴らしきものがひとつ宙を飛んでるだけで、涙をストレートに見せない。
     何にしても、この瞬間のありすは、ゲームでは決して見せてくれない表情です。少なくとも僕は、「あれで納得いくわけないじゃないですか!」と泣くありす──普段は見たことのないありすに、ぐっときましたね。もちろんこの後、プロデューサーの配慮で立ち直り、自然な笑顔を見せるんですが。

     ゲームに忠実に、なおかつゲームで描かれていないキャラクターの一面まで描いてみせる。こういうのこそ理想的なコミカライズじゃないかと思うんです。

     ところでこの1巻、ありすの歌とドラマが収録されたCDの入ったスペシャル版が同時発売されてるんですが、これって2巻にもつくんですかね?
     2巻は晴の話のはず。ということは、ついに晴に声がつくのか!? と、今から期待してしまうんですが。(実はまだ声がついてないキャラがけっこういるんですよね、モバマスって……)

  • 漫画アプリ"サイコミ"で配信されている廾之の"アイドルマスター シンデレラガールズ U149"の第1巻です。タイトルのとおり小さなアイドル達を主人公したお話です。第1巻のシンデレラは橘ありすです。本家の人気にのっかり手軽には売ってしまおうという作品かと思ったのですが、ありすの素直になれない心の動きが非常に丁寧に描かれています。そして特典CDの内容も非常に充実しています。ドラマパートもコミックを補完してくれるし、ありすのおねシンは必聴です。第2巻は赤城みりあですね。こちらも楽しみ。

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