虚構推理(10) (講談社コミックス月刊マガジン)

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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065151778

作品紹介・あらすじ

『絶園のテンペスト』城平京 原作! 怪異達の知恵の神になった少女と、怪異にさえ恐れられる男が、怪異に挑む[恋愛×伝奇×ミステリ]!!  “怪異”の知恵の神になった少女・岩永琴子が一目惚れした相手・桜川九郎は、“怪異”にさえ恐れられる男だった!?  2人に振りかかる奇想天外な事件と、その恋の行方は――!?


鋼人七瀬の事件で岩永琴子と戦い、姿を消した黒幕・桜川六花はいったいどこで何をしているのか‥‥ 彼女の日常とも非日常ともいえる日々が明らかに。そして、六花を追っていた琴子はついにその軌跡を掴み――!? 【姿なき黒幕“桜川六花”再登場の「第10巻」!!】

感想・レビュー・書評

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  • 「虚構推理」という作品が始まった当初から明確な敵として描かれてきた立花だけど、その人間性については見えない部分が多かった
    それがこの巻では少し見えたようなまだまだ見えていないような

    第23話は立花が事故物件に住み管理人と共に以前の住人について色々と想像を巡らせる話
    あらゆる怪異から恐れられる彼女からしたら自殺者が続く事故物件なんて怖くはないんだろうけど、周囲からしたら怖いと思ってしまうのは仕方ない話。1回目、2回目の自殺はどうにか偶然が重なったと片付けることが出来ても、間を置かずに2回目に自殺した女性の彼氏がやってきてやはり自殺したと言うなら何らかの霊的存在を信じたくなるのも無理はない
    まあ、結局琴子によって虚構の真実が組み立てられそれで一件落着となるのだけど、ここで面白いのは立花の動き
    立花が部屋を去る前に「あの娘がちょうどいい合理的なものを教えてくれるでしょう」と太鼓判を押したから管理人も突如やってきた琴子の推論を聞く気になり、そこで急遽組み上げられた虚構も信じてしまう結果となった。いわば立花は琴子のアシストをした形になったわけである
    琴子と立花は色々な意味で敵対した関係なわけだけど、今回の話ではまるで連携しているかのように見えてしまう。面白い関係である

    第24話は長編の前振りエピソードだね
    琴子の高校時代に触れつつ、彼女の底しれなさを改めて描いている。
    この話でも琴子は虚構の真実を組み上げて皆に披露しているのだけど、ここで琴子は事態の沈静化を狙っているようでいてその実臭いものに蓋をしている
    琴子が示した虚構によって、肝試しからの体調不良によって生じかけた風間玲奈の交友関係の危うさは一先ず落ち着き、ミステリ研がオカルト研になりかねなかった事態も防ぐことが出来た。何よりの効果として得体の知れない解決をしたことで、岩永琴子を詮索しようとする者はこれまで以上に減ったのだろうね。それが後々天地学の伯父藤沼への忠告へと繋がっていくわけだから琴子にとっては良い事ずくめだったはず
    ただ、物事は不思議なものであれだけ岩永琴子の奇々怪々さを提示されたというのに藤沼は遺産相続の課題を持ちかけられたために岩永と関わらざるを得なくなるのだから悲しい話である

    第25話は長編の始まりの部分である為、謎が提示される展開
    いや、あれを謎と呼んで良いのか迷うけど。
    狐と取引して妻を殺してもらった音無剛一。勿論完全なアリバイも有るし、そもそも狐が犯人なんてそうそう信じられる話じゃない。また、妻の死によって子供達は望む未来を手に入れらたし、会社は上向きになった。良い事ずくめの話である
    でも、音無は子供達に「死による報いは存在するのだ」と説くために自分が自分が犯人であると子供達に信じさせて欲しいという。
    妻の死によって誰もが得をしたし、そもそも証明が不可能な犯罪を納得出来るようにした上で損が存在すると信じ込ませなければならないという。中々厄介な話であると同時に城平先生お得意の展開でも有ると感じられる

    単純に琴子が真実を話しても意味は無いし、虚構を組み上げるにしても素人の子供達にどうやってそれをさせるのかという問題が付き纏う
    この難題に対して琴子がどう向き合うのか、そして暗躍しているっぽい立花は何を狙っているのか、次巻の内容が楽しみだね

  • 鋼人七瀬事件で姿をくらました六花の現在が描かれる「六花ふたたび」。馬券を当てるためにトラックに当たって死んで蘇り、心配する人に「峰打ちというものだったのでしょう」とけろりと言うのがシュール。
    九郎について「このままいけば従弟はそれこそあの娘にひどい捨てられ方をして不幸になるだけなんですが…」と語った言葉が気になる。単なる独占欲から来ているのか、それとも何かを見通しているのか。九郎も六花も世の理から外れた存在で、どちらかと言えば秩序を乱す側ではあるんだよね。九郎や琴子が六花をどう止めるのかという部分での齟齬が生まれたりすると、二人の仲にも波乱が訪れるのかもしれない。

    琴子の「心の中の罪悪感は常に共にあって逃れることはできません」も印象深い。現実で生きているぼくたちにとっては、罪悪感の方が離れがたく恐ろしいものかもしれないなと。
    六花が住んでいたアパートの話、琴子のミステリ研時代の話と続き、ラストは六花が仕掛けた「スリーピング・マーダー」編の導入へ。大富豪・音無剛一の「妻を妖狐に依頼して殺した」という告白。しかも、それを遺産相続の優先権をかけた課題で推理させようとするという、虚構推理らしい捻くれたストーリー。琴子は虚構をどう真実にするのか、そして秩序をどう守るのか気になるね。

  • 「六花ふたたび」は次に続く「スリーピングマーダー」の前日譚にあたるのでしょうが 六花さんが
    怖かった・・・
    悪意なく人を殺しそうなこの人が普通に暮らしてるということ自体が怖かった
    最後に九郎のことで「私のものになるはずだったんですよ」と言った時の表情
    背筋が凍りそうでした
    どう考えても 琴子より六花さんの方が断然、危ないというかタチが悪い気がする
    前に紗季さんが葛の葉、雪女、清姫とたとえたり、
    琴子が磯女、隙間女、濡れ女に例えていましたが
    まさに妖しいが似合うような人ですが、
    もう既に人間やめていませんか?この人
    法に触れるようなことはしていないと言っていましたが この人の場合、法では裁けないというだけで 人は殺してますよね
    あと 思ったのですが 六花さんって本当に悪意がないんでしょうか
    琴子と面と向かって 九郎に嫌われているとか
    捨てられてるも同然と言ったり
    自分が九郎に大事にされていると自覚し、自分でもそれを琴子に言っている
    今回も周りに琴子を悪く言ったりしていましたし
    どう見ても悪意を持って やってるようにしか見えない
    やっぱり 私は六花さんが紗季さん以上に好きになれないです というか嫌いです
    前半はあまり気分がよくありませんでしたが
    最後に琴子が九郎に怖いものを聞かれ
    「男女間は秘密の一つもあった方がうまくいくものですよ?」答えた時の琴子は何処かミステリアスで
    底知れない感じがして 綺麗でした
    後半は 可愛い琴子が見れて 満足でした
    欲しがってるものはともかくとして ほしい、ほしいって駄々こねてるところが可愛かった
    こういうギャップも琴子の魅力ですよね
    だから 高校生の琴子が周りに思いのほか 辛辣に言われているのが 驚きだった
    今と違って 下ネタも言ってないし、品も良さそうだし、容姿もいいし、頭脳明晰だし、それなりにモテてもおかしくないと思うのだけれど

    何でこの漫画では六花さんは好かれて、琴子は嫌われてるんですかね


    おまけ漫画はとてもよかったです
    九郎が布でくるんだら眠ってしまったマンドラゴラを琴子と重ね合わせて微笑んでいましたが
    琴子としては複雑でしょうね(笑)
    最後に琴子がマンドラゴラの根(スケベ薬)を食べたようですが その後が ものすごく 気になります

  • 「私の左足と右目を奪ったのは神にするためということですか。悪い交換じゃあないですね」

    マガポケのサイトで紹介されていたのが面白そうだったので読みました。
    https://pocket.shonenmagazine.com/article/entry/kyokosui_20190724

    子どものころに神隠しにあい、右目と左足を失って戻ってきたヒロインが妖怪・怪異の力を借りて事件を解決する、伝奇系ミステリ小説を原作にしたコミック。
    真実は妖怪や幽霊がさらっと教えてくれるけど、それじゃ関係者を納得させられないので説得力のある虚構を作り上げるというお話。

    ヒロインがお嬢様だけどお下品というキャラクターで面白可愛い。作画担当の絵作りが上手くて良かった。オリジナル要素っぽいところも良いし、コミカライズとしてはかなり成功っぽい。岩永可愛い。義眼義足にこんな色気があるとは。10巻限定版付属のYES/YESYES枕欲しい・・・いや欲しくはない・・・。

    本職ミステリ作家による緻密な理論組み立てが魅力。

    10巻は、若いころに妻を妖狐に殺してもらった実業家が、「父による母殺し」を子供たちに立証させようとするお話の導入編。
    どういう虚構を語るのか、続刊が楽しみですぞ。

  • まさしく「虚構」推理

    「スリーピングマーダー」というタイトルに、推理小説ファンなら心震えるよね。後編待ってます。

  • 次の巻はまた文字数が多い読み物になる予感!

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著者プロフィール

【片瀬茶柴(かたせ・ちゃしば)】
本作にてデビュー。

「2021年 『虚構推理(15)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

片瀬茶柴の作品

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