虚構推理 スリーピング・マーダー (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065161579

作品紹介・あらすじ

<アニメ化決定! 岩永琴子役:鬼頭明里 桜川九郎役:宮野真守>
<本格ミステリ大賞受賞作シリーズ!>
<シリーズ累計200万部突破!>

私たちは概ね嘘で出来ているのですけれど、理(ことわり)だけは通しているのです。お読みになればお解になれます。
ーー京極夏彦、歓喜!

全てが嘘なのに面白い。怪異【不合理】を虚構【不真実】でねじ伏せる、定石破りの屁理屈推理バトル!
井上真偽、驚嘆――!

「二十三年前、私は妖狐と取引し、妻を殺してもらったのだよ」
妖怪と人間の調停役として怪異事件を解決してきた岩永琴子は、大富豪の老人に告白される。彼の依頼は親族に自身が殺人犯であると認めさせること。だが妖狐の力を借りた老人にはアリバイが!
琴子はいかにして、妖怪の存在を伏せたまま、富豪一族に嘘の真実を推理させるのか!?
虚実が反転する衝撃ミステリ最新長編!

【虚構推理シリーズ】
『虚構推理』
『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』
『虚構推理 スリーピング・マーダー』(2019年6月発売)

感想・レビュー・書評

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  •  『名探偵に薔薇を』を読んだら『虚構推理』シリーズに戻りたくなった。虚構推理の世界はなかなかルールが複雑でついていくのが大変なのだが、『〜薔薇を』を経たあと読むと、「謎」と「謎解き」だけでなく、その周辺、特に謎を解く人の事情を描きたかったのかもという視点が持てる。
     パズルやトリックに凝りすぎるミステリー小説は、テーマが前に出すぎると、人間らしいリアリティがないといった批判をされるが(初期クイーンなど)、虚構推理は、そんな批判は織り込み済みと言わんばかりの振り切った前提が潔い。前提というのはつまり、岩永琴子は怪異と呼ばれる妖怪やもののけのたぐいにとっての知恵の神であり、相棒の桜川九郎やその従姉は不死身で未来決定能力がある、という設定のこと。また、一般人である他の登場人物の言動についても、小説の都合に従った多少の無理は淡々とした説明口調で押し切ってしまうのだが、そんな図太さもむしろ小気味いいくらいだ。主人公たちのアニメ的なキャラの濃さが、そんな文体ともマッチしている。
     表向きは殺人事件を解決する(本当はちょっと違うがもう説明めんどくさい)名探偵コンビである琴子と九郎だが、文字通り人間離れしたこの二人の屈折した恋人関係こそが、まわりまわってこのシリーズの人間らしさ、温かみを感じるところとなっている。前に読んだときは、まあよくわからないけど萌えどころかなという程度にしか受け取っていなかったが、『〜薔薇を』の切実さを見たあとだと、ああ一人じゃなく二人で本当に良かったねとホロリとしてしまう(びっくりするほどの塩対応と下ネタでだいぶ覆っているが、その加減もうまい)。それだけに、従姉の六花さんがこのあとどう絡んでくるのか、続きが気になる。
     『スリーピング・マーダー』はクリスティのミス・マープル最後の作品、ということは先程調べてわかったが、未読のためどう関係していたのかは全くわからない。本作では、琴子が高校生のときミステリー研究会に所属していたことが明かされた。当時の部長と部員も良い脇役を演じている。私、今どこかに入学したら、ミス研入っちゃう。

  • 虚構推理シリーズ 3作目 前作は短編集やったけど今作は長編!!

    長編やけど途中に小ネタ?小事件があって解決しながら本題に入っていくので短編集のように楽しんでいける!単純な事件を関係者が納得いく形に嘘の真実をでっちあげるこのシリーズやけど毎度毎度きれいに偽の伏線を回収して収める感じはすごいなぁ〜

    ミステリーにはいろんなジャンルがあるけどこんな感じな作品はこのシリーズオリジナルな感じで面白い

  • '22年8月22日、Amazon audibleで、聴き終えました。

    いやあ、面白かった!凄い!岩永琴子、恐るべし!

    長編ですが、長さを感じさせませんでした。楽しく聴けました。
    でも、ミステリーっぽくはないかなぁ…。

    「ペイズリー柄」に、笑ってしまった!そりゃあ、ないよね╮(╯_╰)╭

    次も、聴きます!

  • 岩永の高校時代のエピソードがわかる短編と、それに続く長編小説。アリバイがあるのに過去に妻を殺したと自白し、それを子どもたちに信じさせろと岩永に依頼した老人。だが真犯人は別にいた事を岩永が暴く。
    岩永の冷静さと公正さ、そして品が(あるかないかはともかく)きちんと描かれた作品だった。まんがもいいけど小説の続きも読みたいな。

  • 【目次】第一章 岩永琴子は高校生だった/第二章 六花ふたたび/第三章 明日のために/第四章 スリーピング・マーダー(前編)/第五章 スリーピング・マーダー(後編)/第六章 岩永琴子は大学生である
     大富豪の老人・音無剛一の琴子への依頼。それは、昔妖狐と取引して妻を殺害させたが、自分が犯人だということを親族に認めさせてほしいというもの。
     なかなか食えないジジイだが、琴子に依頼したために想定外の事実を知ることになるのは痛快。相変わらずの琴子のプラス思考、苦笑しつつ見守る九郎のしれっとした異能ぶりが楽しい。そして六花の不気味さが後を引く。

  • いつもは妖怪の相談役となっている岩永だが、今回はむかし妖狐と取引して人を殺してもらったという大富豪の老人からの依頼。親族に自分が殺人犯であることを知らせたいが、妖狐の力を借りた彼にはアリバイがある。怪異の力を伏せたまま親族に納得させることはできるのか。
    変な依頼だが、ラストで岩永の苛烈さが冴え渡る。
    前振りとして岩永の高校時代のエピソードや六花の話もあり、なかなか面白かった。
    岩永や九郎は特殊な設定なので、前作や短編集を読んでからの方が楽しめると思う。
    アニメ化決定だそうでそれも楽しみ。

  • アニメで興味を持ち読み始めたシリーズ、うっかり2巻をとばして、この3巻を読んだ(通りで第二期アニメでやってない内容)。岩永琴子が高校生だった時のお話。その時にミステリ研に誘った部長のおじさんが相続争いのようなことになっているので、話が繋がっていた。ホテル王の音無は当時の経営で邪魔だったカリスマ性ある社長=奥さん、音無は婿養子、を妖狐との契約で殺したのだという。
    そこはあやかしの頂点に立つ琴子なら簡単に解決なのかと思いきや、何時ものように何転も結論が変わって行くのが凄かった。そもそもよくこの独白転回の話をアニメにしようと思ったよね。アニメ、鬼頭明里独断場みたいになってるもんな~。話の間に六花さんのとある日常(ディープ)がありました。

  • 普通に面白かったですが、前作に比べて知恵の神の感じが薄いのと、九郎の能力もあまり生かされていなくて残念でした。
    どんどんシリーズが出て欲しいです。

  • アニメの出来がすこぶるいいので原作も読みたくなった、読む順番を間違えたのか、今やってるアニメとはちょっと違った。どちらかと言うと米澤穂信の日常系推理のようでそこに怪異の影がちらほらする程度で、本作の本題はなんともややこしい遺産相続の解決にあった。捻りに捻った展開は怪異の力も借りながら、なんとも言われぬ展開となり、本当にこれで良かったのかと言うことになってしまった。しかし琴子というキャラクターはアニメにはもってこいで、この2020年冬クールで一番の出来になりそうだ。しかし、この超深夜に一体誰が見るのだろう。

  • 真実とは異なるが誰もが納得する虚構の真実を構築する。これが、虚構推理の構図です。今回もその前提でストーリーが展開するのですが、、、。

    真実の奥にある衝撃の事実に、気づけた読者っているのでしょうか。読者でさえも欺く展開に驚愕し、一気に読んでしまいました。続編もあるということですし、楽しみに待ちたいと思います。

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著者プロフィール

【城平京(しろだいら・きょう)】
奈良県出身。代表作に漫画原作『絶園のテンペスト』『スパイラル~推理の絆~』、小説『虚構推理 』『名探偵に薔薇を』『雨の日も神様と相撲を』など。

「2021年 『虚構推理(15)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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